アジアビーチで旅育!離島好きトラベラー直伝「子連れ家族旅行」の極意(トラベルライター)

●子連れと大人だけの旅行はまったく別物。「楽しいはず」という思い込みを捨てる。
●家族旅行の成功の可否は計画段階で決まる!
●旅行シーズンは念入りにチェック。
●あえて静かなところを選び、予定はなるべく少なく、ゆったり過ごす。
●子連れの行動範囲は限られているのだと割り切る。
●リゾートホテル滞在型か離島!クラブメッドもおすすめ!
●とことん遊び込むことこそ「旅育」。

子供の長期休み。家族で思い切って海外旅行ともなれば楽しいイメージでいっぱいです。しかし、蓋をあけてみれば家族げんかだらけの疲れる旅だったというのは実はよくある話。他人には言えませんけどね(笑)

そもそも、子供にとって長時間の移動は苦痛です。街歩きにショッピング、観光地巡りも魅力的ではありません。
子連れと大人だけの旅行はまったく別物。旅のスタイルを誤ると、「楽しいはず」なのに思い通りにいかない苛立ちで夫婦げんかも勃発しかねません。そんな地雷だらけでハードルが高いのが子連れ海外旅行なのです。

では、どうすれば楽しくかけがえのない子連れ海外旅行ができるでしょうか。幼児連れで数々のアジアビーチを旅してきた筆者の持論では、成功の可否は旅行前の計画段階でほぼ決まります。

日本から近く、子供も楽しめる「アジアビーチ」で人気が高いのは、サイパンやセブ島(フィリピン)、プーケットやサムイ島(タイ)、ランカウイ島(マレーシア)、バリ島(インドネシア)、最近では直行便もあるダナン(ベトナム)でしょうか。アジアビーチといっても無数にあり、国、旅行シーズン、アクセス、宗教と食事、娯楽や飲食施設の充実度、海の透明度、ビーチが遠浅か否かなど選ぶときのポイントは多々ありますが、ここでは最低限のポイントをおさえましょう。

行き先の選び方

旅行シーズン

雨季といっても短時間のスコールだけであまりこだわらなくてよい場所もあれば、シーズンでまったく違う場所もあります。例えば冬休みにダナンに行っても肌寒くて泳げませんし、雨季のプーケットだと連日の雨に高波で泳げないリスクもあります。
あえてベストシーズンを外して高級ホテルにお得にステイ、なんて手もありますが、ビーチなのに泳げないのは、子供にとってはおやつを目の前に食べるなと言われるようなもの。シーズン情報は念入りにチェックしましょう。

ビーチエリアにこだわる

大人とは勝手なもので、ビーチでゆっくり癒されたいと言いながら、それだけでは物足りず、ショッピングにアクティビティもと欲張ってしまいがちです。しかし、子供はあそこもここもというより、じっくりと遊び込みたいものです。

例えば「プーケット」や「バリ」といっても、ビーチエリアはたくさんあり、どこに滞在するかで同じ島でも周辺の様子や海の綺麗さも違います。話題の施設や店、アクティビティなどの選択肢が多いと、ゆっくりするつもりでも気になって、結局忙しく動き回ることになりがちです。快適な宿泊先とある程度の食事の選択肢があれば十分と考えて、なるべく静かなところを選択しましょう。

具体例をあげれば、プーケットなら有名なパトンビーチではなく、もう少し南のカロンビーチにする。あるいは思い切ってピピ島まで足を延ばして、ピピ島に宿泊する。バリならクタ&レギャンエリアではなく、ヌサドゥアやジンバランなどのリゾートホテルでの滞在型にする。またはバリからフェリーでロンボク島やギリ三島に渡ってしまうという具合です。

近くにショッピングセンターがあれば立ち寄りたくなりますが、遠ければ気にもならないものです。そうして予定はなるべく少なくします。静かなエリアは海の透明度も上がるので、自然とビーチで過ごしたくなります。
もし離島まで足を延ばすなら、日程に十分余裕がある場合を除き、乗り継ぎ以外の目的で本島にも宿泊しようと欲張らないことです。どのみち子連れの行動範囲は限られているのだと割り切ってあきらめましょう。

ホテル選び

遺跡巡りやシティ型の旅行以上に、アジアビーチの場合はホテルで旅の印象がほぼ決まります。ほとんどの時間を過ごすホテルは妥協しない方が無難です。ホテルの居心地が悪いと、外へ出かけたくなり、それで忙しくなるだけでなく余計な出費もかさむので、それでは本末転倒です。それならホテルに費やした方が総合的にはお得です。

プライベートビーチ、プール、ビーチが遠浅かどうかは必須ポイントです。岩場だらけでは泳げませんが、砂浜だけより、見える範囲に多少岩場がある方が、魚や蟹などが豊富で魚とりなど子供の遊び方が広がり、潮干狩りも楽しめます。
子供が海で長時間遊べるか不安な場合は、プールを重視しましょう。スライダーが1つあるだけで、遊び心に火が付くこともあります。

ただし離島の場合は、ホテルの施設にあまりこだわらなくても十分満足できることがあります。一段と綺麗な海なら浅瀬のシュノーケリングだけで飽きませんし、潮の干満で変わる様子を楽しんでいるだけで、あっという間に一日が過ぎてしまいます。

大きな島と違って、島の中心にちょっとした半屋台風のレストランとミニマーケットが集結しただけの離島は、ホテルの外に行くといっても水着で行けます。わざわざ部屋に戻って着替えなくても過ごせる気軽さ、コンパクトさ、素朴さがとても心地よく、ゆったりと過ごせます。

いろいろ検討するのが面倒、不安でいっぱいという方には、食事もすべてパッケージに含まれたクラブメッドが手堅い選択です。アジアではバリやプーケット、マレーシアのチェラティンなどにあります。
最大の魅力は、子供向けプログラムが充実していて、安心して子供を任せられること。子供は大自然の中で様々なアクティビティにチャレンジでき、目を輝かせて一日中遊ぶこと間違いなし。なにより異文化体験できるのが大きな魅力でしょう。その間、大人はカクテル片手にゆっくりくつろげるという贅沢さ。

同年齢の友達と遊びたくて仕方がないやんちゃ坊主や、兄弟の年齢差があって共通するアクティビティ選びに困るという家族にはうってつけです。いちいちお財布を気にしなくていいので、グループ旅行にもおすすめです。

ただし、3歳以下向けのプログラムは追加料金でできることも限られるので、クラブメッドならではの醍醐味という点ではアウトドア体験の幅が広がる4歳以上におすすめです。
客室などは意外に素朴なところもあるので、ラグジュアリーさにこだわる方はお目当てのクラブメッドをよく調べてください。

「旅育」にまで発展させよう

近年、「旅育」という言葉が注目されています。旅を通して、家族の絆や人間性、生きる力を育てようというものですが、せっかくなら「旅育」も意識してみましょう。旅行前には、地図を見せながら話題に取り上げます。
子供が大きければ、行き方を調べてもらうのもよいでしょう。地図は、航路がわかる日本からその国までの広域の地図、目的地全体の地図、ホテルの周辺地図をインターネットで探して印刷しておき、機内や移動途中で活用します。地図を子供に渡して「任せたよ」と言えば、それだけでもう大冒険の始まり。小さい子ならホテルの館内マップだけでも、興奮するものです。

無事到着したら、とにかくとことん遊ばせましょう。こんな時代だからこそ、遊び込む体験がなにより貴重ではないでしょうか。ビーチで何をしてよいか戸惑う子供もいるかもしれません。それでもすぐにプールに引き上げるのではなく、まずは一緒に砂で山を作ってみます。そのうち貝やヤドカリ、蟹と出会うはずです。やがて蟹の逃げ方や砂の中にもぐる様子、砂浜と岩場での生物の違いや色の違いなど、子供ならではの視点でいろんなことに気づくでしょう。潮が引けば潮干狩りタイムです。

子供連れの家族旅行は費用、準備、体力、どれをとっても相当なもの。しかし、子供が大きくなったら一日中ビーチで過ごす旅を選ぶでしょうか?「いま」ならではの旅のカタチです。

「1時間遊んだら着替えてお出かけよ」などと大人のペースを強要するのではなく、子供の時間の流れに合わせてゆったりと過ごす、これが子連れ旅行の極意です。

この記事を書いた人

アジアビーチで旅育!離島好きトラベラー直伝「子連れ家族旅行」の極意(トラベルライター)

和田麻紀子

翻訳・ライター

クアラルンプール在住。翻訳から、雑誌、本、ウェブコンテンツの取材・執筆、リサーチまでフリーランスで幅広く活動中。休みのたびに子連れでアジアビーチを巡る、離島好きトラベラー。

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