【初心者必見】バレエ歴20年のベテラン直伝!“大人バレエ”のための教室選び(カルチャーライター)

●バレエの歴史は、常に舞台とともに進化し、時代や背景がさまざまな流派(以下、メソッド)を育んできた。
●日本では、「~メソッド寄り」という教室が多数で、「ワガノワメソッド」と「ロイヤルメソッド(以下、RADメソッド)」が多い。
●教室選びの決め手は、先生のバレエ教授への情熱と生徒の反応がいい雰囲気であること。生徒がイキイキしている教室を選ぼう。
●レッスンで進歩を感じたら、しっかり振り返るクセを!実は、自分なりの目標設定が上達への近道に。

「小さい頃からずっと憧れだったんです」

その想いをずっと胸に、近年では成人後に初めてバレエを習う方、もしくは再開する方が増えています。実は、筆者もそんな1人。20年前は、そんな大人向けレッスンはなかなか見つからない時代でした。それが今や「大人バレエ」という言葉も定着するほど、多くのバレエ教室が、美容目的クラス始めさまざまな大人向けクラスを併設しています。

始めれば本気で励む方も多く、その奥深さは底知れず。その第一歩である「教室選び」は、あなたのバレエをどのように彩っていくかを示す大きなヒントとなります。興味のある方は必見!大人バレエ暦20年以上の目で、教室選びの外せないポイントをピックアップします。

国を超えて育まれた舞台芸術「バレエ」

まずは、バレエの歴史を学びましょう。バレエは、ひと言で「イタリアに生まれ、フランスで育ち、ロシアで成人した」といわれます。常に舞台とともに進化し、時代や背景がさまざまな流派(以下、メソッド)に反映されています。

16世紀にイタリアで発祥、17世紀にフランスで体系化

16世紀、イタリアの宮廷ダンス、「Ballo(バロ)」が起源。
17世紀フランスにてルイ14世の庇護のもと、バレエ誕生。その後、宮廷ダンスから職業ダンスとなり、オペラ座の設立とバレエ学校のバレエ教育とともに発展。

18世紀後半、フランスで「ロマンチックバレエ」誕生

フランス革命によるロマン主義の影響で生まれた、妖精や悪魔が登場する物語形式のバレエ。現存する最古の形式です。代表作は「ラ・シルフィード」「ジゼル」など。トゥシューズ(以下、ポアント)の技法を駆使した軽やかな動きが特徴です。

【参考】ふわりと舞うようなポアントづかい(「ラ・シルフィード」-オペラ座バレエ団-)

19世紀後半、ロシアで「クラシックバレエ」誕生

ロマンチックバレエから独自に発展し、マリインスキー劇場監督がフランスより招いた振付家、マリウス・プティパによって確立。3大バレエ作品『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』『白鳥の湖』が生まれます。ロマンチックバレエの物語要素に無関係なダンスシーンを取り入れた形式で、グランパドドゥや32回フェッテなど複雑な技法も含まれます。後に、アンナ・パヴロワによるワガノワメソッドがロシアのバレエ学校で主流に。

【参考】黒鳥の誘惑がダイナミックで優雅なパドドゥ(「白鳥の湖」-ボリジョイバレエ団-)

日本で習えるクラシックバレエメソッド

ひと口にバレエといっても、その種類はさまざま。前述の背景から、いくつかのメソッドも誕生しています。代表的な3大メソッドとして、「ロイヤル(以下、RAD)」「オペラ座」「ワガノワ」があり、世界3大バレエ団で採用されています。

・RAD=ロイヤルバレエ団(イギリス)
・オペラ座=オペラ座バレエ団(フランス)
・ワガノワ=マリインスキーバレエ団(ロシア)

このうち、日本の教室でよく耳にするのは「ワガノワ」と「RAD」でしょう。ただ、日本では教室がどのメソッドで教えているかが厳密に分かりにくく、多くが「~メソッド寄り」という状況です。

日本で一番知られている「ワガノワメソッド」

ロシアで国家的に定めている世界的にも有名な教授法であり、腕や上体、頭のコントロールを重要とし、ダイナミックで叙情性豊かな表現へ導きます。

【参考】ワガノワバレエアカデミーより

80カ国以上で用いられる「RADメソッド」

もとはロイヤル・アカデミー・オブ・ダンシング(the Royal Academy of Dancing) という英国王立機関による教授法。習得段階が細かく分けられ、昇級試験でレベルを上げていきます。また、教師も資格が必須。とても丁寧で品のある表現です。

【参考】ロイヤルバレエ団リハーサルより

RADの教室には、必ずバレエ教師がいます。しかし、ワガノワも、現地公認のバレエ教師資格をとって日本で教授する先生が増えています。今後は、さらに理論的で個人の身体の資質によるアプローチを取り入れるレッスンが期待できるのではないでしょうか。

これだけはチェック!教室選びでのポイント

始める前から、自分に合う教室か判断するのは難しいので、手順と分かりやすいチェックポイントを挙げました。最後の決め手は、先生のバレエ教授の情熱が生徒といい雰囲気を保っていること。子どもも大人も表情がイキイキしています。

【1】ネットや口コミで情報収集

ネットでは、教室の規模と歩み、発表会やコンクールの参加など活動、レッスンスケジュール、費用、交通アクセスなどをチェックしましょう。もちろん、口コミがあれば、なお良し!

<チェックポイント>
自宅や職場から通いやすい範囲の教室か
→通うことがストレスにならない。
□レッスン料のシステム
→大人の場合は、月謝制かチケット制もしくは両方になり、月謝のほうが安価。
□レッスンスケジュールは自分に適しているか
→通える時間帯に対象クラスがあるか。大人の朝クラスは、比較的初心者向けが多い。オープンクラスは、人数も多く、レベルもばらつきがち。

【2】見学は必須!最後は自分の目で

興味のある教室は、連絡して見学を。通いやすさとレッスンの様子をチェックしましょう。
レッスン内容は、大まかにバーレッスンとセンターレッスンに分けられます。始めに、バーで基本ステップ(以下、パ)の確認、その後にセンターでいくつかのパを組み合わせた踊りのレッスンへ。布または革製のバレエシューズで行い、ポアントで行うにはある程度以上の上達が必要になります。

<チェックポイント>
充分な奥行きのあるスタジオか
→奥行きが狭い、また柱の位置が中央寄りであるスタジオはセンターレッスン時の踊りやすさを左右する。
□1クラス20人未満
→先生の目が充分行き届く人数がよい。
□参加している生徒のレベルや年齢層はどうか
→あなたが始めやすい雰囲気であること。
基礎に充分時間をかけた指導生徒一人ひとりに細やかな指導を先生がしているか
→かなり重要!全レベル共通。

できれば、体験レッスンを!無料で受付している教室も多く、上記のチェックポイントを肌で知るチャンスです。最初は「全くついていけない」でも、大丈夫。皆同じ経験をして理解していますので、ご安心を!

上達のカギは「目標設定」にあり

しばらくは、バレエ自体に慣れるのに大変でしょう。なかなか成果が出なくても、バレエはある意味、忍耐力が必要です。レッスンの流れがつかめてきた、など進歩を感じたら、しっかり習得度を振り返って目標を決めましょう。もしかしたら、教室選びの再考もアリ。実は目標設定が上達への近道に!

【目標例1】発表会などに出たい

通う教室が、地域ホールでのイベント出演など発表の場を設けているならチャンス。詳細は、出演した方に聞きましょう。出演料、自分が受けているレベルの生徒の配役などは重要。チャンスがなければ、他の教室の発表会鑑賞もアリ。自分のレベルと照らし合わせ、納得した形で参加できるかどうかをポイントに再考できます。

【目標例2】正しく身につけ、長く踊りたい

「きちんとした動きを身につけたい」と本気で思うならば、バレエ教師の資格を持つ経験豊かな先生がいる教室をおすすめします。他の教室を再考するならば、体験レッスンでそのメソッドに沿った身体の使い方を体感しましょう。

「向上心」こそが最大のポイント

最後に、教室選び以上に重要なポイントは「向上心」です。「もっと上手くなるためにはどうすればいいか?」を常に念頭にレッスンを受ければ、上達度はグンとアップ。目指す形を思い描いて、自分のバレエを積極的に楽しみましょう。

この記事を書いた人

【初心者必見】バレエ歴20年のベテラン直伝!“大人バレエ”のための教室選び(カルチャーライター)

ふじ かおり

ライター・コーディネーター

愛知県出身、名古屋在住。
医療系出版社にて編集、通販会社(エクササイズ系、化粧品、雑貨商材etc.)にてコピーライターを経て、現在は主に調香師としての知識を深めながら個人プロジェクトで活動。フランス発ハーブティーやヨーロッパの調香クリエイターと香水コラボなど進行中。
趣味は、クラシックバレエ、旅、アールヌーボーのアートめぐり。特技は、英語、フランス語、出会いを楽しめること。

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