お客様は神様にあらず?旅行前に知っておきたいフランスと日本の習慣の違い(海外ライター)

●「お客様は神様」精神は存在しないフランス。フランス人店員の接客サービスは日本と比べてとってもクール!
●フランスのレストランで注文が決まったら、こちらから呼ばずに「店員さんが来るのをじっと待つ」のがスタンダード。
●会計時に「キリのよい数字」でお釣りをもらおうとするのは日本人だけ。
●フランスのカフェでは「コーヒー」を注文すると「エスプレッソ」が出てくる。
●フランスのポケットティッシュは分厚く、肌触りも固め。
●フランス人店員が英語での対応をしてくれないのは「面倒くさい」から?
●フランス・パリでの路上駐車に要注意。フランスでは車のバンパーは「他の車を押すための装置」と心得ておく。
●異国の習慣、文化を知ることで人に寛容になれるかもしれない。

日本で見る外国人のマナーや態度に違和感を覚える人も多いのではないでしょうか。しかしその逆も然り。私たち日本人が当たり前と思っていることが、外国では奇妙な言動と捉えられていることがあります。

当記事では、2年間のヨーロッパ在住経験と10回以上のフランス滞在から知った、フランスと日本の文化・風習の違いを紹介します。現地の友人や、現地在住の友人やフランス語学校の教師から指摘された「フランスではしないこと」とは?

【1】「お客様は神様」精神は存在しない

日本ではお店に入ると、店員さんから「いらっしゃいませ」「何かお探しですか」と声をかけてくれますよね。しかし、フランスのお店では「客側」から挨拶をして入店するのが当たり前。「試着したい」「他のサイズを出してほしい」など、スタッフさんに質問したい場合も客側から声をかけて質問するのが一般的です。
レジに長蛇の列ができていても、根気よく待つのは客側です。日本なら「お待たせしました」と低姿勢で接客してくれそうなものですが、フランスのスタッフさんはいたってクールでマイペースな応対でした。

当初は苛立つこともありましたが「えらいのは働いている側」ということを心得てしまえば、こちらものんびり待つ習慣が身につき、心と時間にゆとりがあるときにショッピングをするようになりました。

【2】レストランで「すいませーん!」と店員を呼んではいけない

レストランで注文が決まったとき、皆さんはどうしますか?呼び出しベルがある場所以外では、私はスタッフさんに向かって手を挙げて「すみませーん!」と大きな声でアピールしています。
この習慣については、語学学校のフランス人教師に注意された記憶があります。その理由は「スマートじゃないよね」だそう。フランスでは「じっと待つ」ことが基本なんです。せっかちな人はフランスでは忍耐が必要になるかもしれませんね。

そうはいっても、こちらのオーダーを忘れ去られていたり、オーダーしていない皿が来てしまったりすることもありますよね。そんなときは人差し指を立てて「excuse-moi(エクスキュゼ・モワ)/すみません、の意味」。日本では人を呼ぶときに手の平を向けて「パー」の状態で呼ぶことが多いですが、ヨーロッパでは不快感を示す人もいるので、人差し指を立てて呼ぶとよいでしょう。

【3】フランス人は計算が苦手?日本と違うお会計の不思議

パリの朝市で買い物をしていたときのことです。「38ユーロ」の買い物をしたので、お釣りをキリよくもらうために「58ユーロ(50ユーロ札と8ユーロの小銭)」を支払いました。すると店員のフランス人マダムは困り顔。しばらくの間があった後、8ユーロの小銭を私の方に返した後、12ユーロのお釣りをもらいました。
蚤の市や朝市で(特に年配の方と)このようなやり取りを繰り返した後、キリよくお釣りをもらうための風習がないのだと理解しました。後日、フランス人の知人にこのことを話すと「そういう会計の仕方はあまりしないかな〜」との回答でした。

【4】カフェで「コーヒー」と注文すると高確率で「エスプレッソ」が出てくる

フランスのカフェで「コーヒーをひとつ」と注文して運ばれて来たのは「エスプレッソ」でした。
エスプレッソを普段から飲む習慣のあるフランスでは、「コーヒー=エスプレッソ」なんですね。フランスでは、日本で飲んでいるようなブレンドコーヒーを飲みたいときは「Café long(カフェ・ロン)」または「Café allongé(カフェ・アロンジェ)」と注文すると間違いないでしょう。

【5】キッチンペーパーのように分厚いポケットティッシュ

フランスのスーパーでポケットティッシュを買ったとき、一枚のティッシュの分厚さに驚きました。まるでキッチンペーパー!日本のティッシュに慣れてしまっている人にとって、フランスのティッシュはちょっと残念な品質に思えるかもしれません。
ちなみに、鼻水をすするより、人前で思い切り鼻をかむ方がスマートと捉えるフランス人。私は食事中や電車の中などの人前ですと、思い切り鼻をかむことを躊躇してしまいます。一方でフランス人(だけではないかもしれません)にとっては、「鼻をすする音の方が不快音」なのだそうです。

【6】フランス人店員はフランス語でしか接客してくれない

フランスでは、格式あるレストランやホテル以外ではこちらが英語で尋ねてもフランス語で返ってくることがあります。
ヨーロッパに引っ越したての頃のこと。ファストフードの王道「マクドナルド」に入り、英語で注文した際、「menu(ムニュ)?」と聞かれました。聞き直しても「ムニュ?」と繰り返すばかり……。
後日、フランス語を学んで知ったのは「menu」とはフランス語で「セットメニュー」を表すフランス語だと知りました。そしてフランス語での接客を最後まで貫き通したのは、知人曰く、「彼女が英語を喋れないわけではなく、『切り替えるのが面倒』という理由かもね」ということでした。

【7】パリでのレンタカー利用は要注意。車のバンパーは「ぶつけるためのもの」!?

パリで縦列駐車をしている車の脇を通り過ぎたとき、その違和感に気付きました。車と車の間に全く隙間がない!バンパーが前の車に完全に密着していたのです。「無理やりねじ込みました」といった感じの路上駐車。パリの路上には絶対駐車しないと心に誓った瞬間でした。
フランス人の旦那さんを持つ友人に確認したところ、「前後に駐車してある車に自分の車を軽くぶつけて(押し付けて)スペースを作ることがある」という信じられない発言を耳にしました。

異国文化を理解すると自分を正当化しなくなるかも……

海外で生活してみて初めて気付く、日本と異国文化の違い。最初は「なぜ?」「変だよね?」と疑問や苛立ち、焦りを感じることもありましたが、その数が増えれば増えるほど、「ま、仕方ないよね」に変わりました。だって育った環境が違うんですから。
そう考えられるようになると、日本にいても、他人や海外からの観光客のびっくりマナーを目にしたときに動揺しなくなりました。いろんな国の習慣を知ると、自分の癖や習慣が浮き彫りになるので、見直すきっかけにもなります。
もし誰かのマナーや癖に疑問を感じたら、自分を正当化せずにその背景を想像してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

お客様は神様にあらず?旅行前に知っておきたいフランスと日本の習慣の違い(海外ライター)

SATO YUKA

編集/ライター

茨城県出身、東京都在住。
7年間、企業内編集部にて広告物やフリーペーパーなど紙媒体の編集、ライティング作業を担当。現在はフリーランスとしてWEBや書籍、雑誌などで執筆中。海外在住経験有り。
得意ジャンル:旅行、グルメ、ライフスタイル、アウトドア、町歩き
好きなもの:チョコレート、コーヒー(勉強中)、フランス(フランス語勉強中)

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