【ドイツ・ベルリン】ビールとソーセージだけじゃない!美味しいグルメ食べ歩きレポート

●「グルメ不毛の地」と思われがちなドイツ。しかしあります!美味しいもの。今回はベルリンを舞台に、はじめての方も試しやすいB級グルメ食べ歩きにご案内。
●「B級」と侮ることなかれ。定番に、並々ならぬこだわりあり。お肉屋さんで食べられる驚きのドイツグルメや、ベルリン名物カレーソーセージをご紹介。
●ドイツ各地のグルメも、ストリートフードならお気軽に。ヨーロッパの国々とのつながりを感じながら、ベルリンで周遊気分!
●歴史的背景から、トルコ移民が多く住むドイツ。ドネルケバブのサンドイッチは、なんとベルリン生まれだった!本場さながらの味を、ストリートフードで満喫。
●好奇心もお腹も満たしてくれる街、ベルリンに行こう!

旅先として根強い人気を誇るドイツ。多くの方が思い浮かべるのはきっと、メルヘンな町並み、本場のオペラ鑑賞など……楽しみは様々ですね。では、ローカルグルメはいかがでしょう。
食べることの大好きな筆者が、ベルリンに留学した学生時代。以来、幾度となくかけられた悲しいこの言葉。

「でも、ドイツって、ごはん美味しくないんでしょ?」

……何てもったいない!たしかに、周辺国の華やかさの影に隠れていることも事実。しかし、筆者に各国料理食べ歩きのおもしろさを教えてくれたのは、他ならぬベルリンなのです。
そこで今回は、首都ベルリンを舞台に、皆さまをストリートフード食べ歩きへご案内。この街には、メルヘンも古城もありません。しかし、アートやカルチャーが注目を集める国際都市ベルリンの魅力は、ご当地グルメはもちろん、その立地や複雑な歴史に由来する「食」からも、存分に味わうことができます。

気軽に試せる定番B級グルメを紹介することで、「美味しいドイツ」を体験していただくきっかけになればと思います。

ドイツで食べ歩き!?おすすめお肉料理

ビール、ジャガイモ、ソーセージにパン……ドイツの食を象徴するこれらのキーワードは、もちろんドイツグルメの代名詞。日本の私たちにとってもなじみがある食材ですね。ありふれた食材のようにも思えますが、これらはぜひ現地で味わっていただきたく思います。なぜなら、ドイツの日常にありふれたこれらの品々は、実は歴史と共に育まれ、こだわり抜かれた逸品だからです。

それを象徴するもののひとつが、ビール純粋令(Reinheitsgebot)。ビールの原料は麦芽・ホップ・水・酵母のみと定めた法律で、なんと500年の歴史を誇ります。そんな厳しい法整備の下で育まれた、日本ではまず食べることのできないドイツグルメをご紹介しましょう。

生の豚肉オープンサンド!?メットブロートヒェン(Mettbrötchen)

ベルリンでは、ハッケペーター(Hackepeter)と呼ばれています。

味つけされた豚赤身ミンチを、玉ねぎなどと一緒にパンにのせたもの。街角のお肉屋さんで、新鮮なものを気軽にイートインできます。肝心のお味は、臭みなどまったくなく、程よい塩味とともに、赤身であっさりとしたお肉のやさしい旨みが感じられます。食感はネギトロに似ており、トッピングの玉ねぎが、シャリシャリとアクセントに。

豚肉を生で食べるなんて、ぎょっとするかもしれません。しかし、ドイツではごくメジャーな食べ物です。なぜこんなことが可能なのでしょう?それは、ドイツにはひき肉に関する法律(Hackfleischverordnung)があり、製法や加工環境、資格に至るまで、厳重に管理されているからなのです。ドイツでも、加熱用ひき肉とは明確に分類されていますし、小児には推奨されていません。決して日本の豚肉で真似をしないでくださいね。

超定番!これを食べずしてベルリンは歩けない、カリーヴルスト(Currywurst)

肉製品に対するこだわりをご紹介したところで、ベルリンのご当地ソーセージ料理についてお話ししておきましょう。

大阪人はたこ焼き、ベルリナーはカリーヴルスト!

カリーヴルスト(Currywurst)とは、日本のレストランでもカレーソーセージとして供されることの多い、ベルリン名物のB級グルメ。一口大にカットされたソーセージに特製のケチャップソースをかけ、カレースパイスで仕上げたシンプルな一皿ですが、その味はお店によって様々。凝縮された、混じりっ気のないお肉を感じるソーセージからは、噛むたびに肉汁があふれ出します。これが甘酸っぱいソースとあわさることで脂っぽさを和らげ、スパイスの香りが爽やかに鼻を通り抜けるのです!ピックが添えられ、店先のスタンドで立って食べるのが現地スタイル。こだわりと気軽さのバランスは、ちょうど、大阪におけるたこ焼きのような立ち位置にあります。

使用されるソーセージには皮あり(mit Darm)と皮なし(ohne Darm)があり、お店によっていずれか、もしくは両方を取り扱っています。筆者のおすすめは皮なし。「パリっと感のないソーセージなんて」などとおっしゃらず、ぜひ一度お試しください。まわりが焼かれてクリスピーな層になっており、その先入観が覆りますよ。それに、日本ではお目にかかれないご当地感も味わえるはず。

ドイツ各地の美味しいもの、あれこれ

続いては、マルクトなどで手軽に味わえる、ドイツの美味しいものをいくつかご紹介しましょう。

ドイツ版マカロニチーズ?シュヴァーベン名物、ケーゼシュペッツレ(Käsespätzle)

シュペッツレとは、主にドイツ南部で食されている、独特の食感を持つ卵麺。ショートパスタ状ですが、マカロニと違い、表面がなめらかではありません。これにチーズソースを絡めてローストオニオンやネギなどをかけたものです。もちもちとしており、荒削りな表面に、チーズがよく絡んで絶品です。

お待ちかねのジャガイモ料理!ライベクーヘン(Reibekuchen)

ジャガイモ大国ドイツには、数々のジャガイモ料理が存在します。屋台名物のひとつが、ライベクーヘン。荒くおろしたジャガイモのパンケーキで、クリスマス市などでも発見することができます。
揚げたてのライベクーヘンは、まわりがサクっとカリっと小気味よく、ほっくりとした内側も、程よくジャガイモの食感を残しているため、単調になりません。これにアップルソースをつけて食べるのが定番です。しょっぱい+甘酸っぱいの組み合わせは、いつの間にかやみつきに。傍らに写っているお酒も、実はドイツのとっておき。

秋だけのお楽しみ!発泡ぶどう酒、フェーダーヴァイサー(Federweißer)

毎年、9~10月頃の限られた時期にだけ出回る、ワインになる途中のお酒です。いわゆるスパークリングで、フレッシュなぶどうが香る上品な味わい。アルコール度数も低め(4~10%程度)で飲みやすいので、見つけたらぜひ気軽にお試しください。限られた場所でしか味わえないのは、店頭に並んでもなお醗酵が続きガスが発生するため、瓶が密閉されていないから。

いくつかご紹介しましたが、「ヨーロッパの他の国でよく似たものを食べた!」という方もいらっしゃるのでは?こうしたことは大陸では珍しくなく、9か国と国境を接するドイツではなおのこと。ご当地料理の広がりからも、その地理的、歴史的なつながりを感じることができます。

ベルリンで、トルコを味わう!

お肉が回転する街ベルリン、ドネルケバブサンド(Döner kebab)

香ばしく焼けたお肉を削いだら、フレッシュ野菜と一緒に挟み、特製ヨーグルトソースやスパイシーソースをお好みにあわせて。こちらは超有名店のもので、チーズと揚げ野菜が決め手。
ドネルケバブとは、味をつけたお肉を回転させながらローストした、トルコ料理の代表選手。これをパンに挟んだ専門店は、日本でもすっかりおなじみになりました。このサンドイッチスタイルは、実はベルリン発祥なのです。ドネルサンドの発祥については諸説ありますが、1972年、イスタンブール生まれのトルコ移民「Kadir Nurman」が考案したといわれています。
ドイツには、第二次世界大戦後の経済発展に伴う労働力不足を補うため、多くの外国人労働者を受け入れた歴史があります。そして、移民最大勢力となったのがトルコ。その子孫を含め、今も多くのトルコ移民が住んでいます。ベルリンには「リトルイスタンブール」と呼ばれる地区もあり、本場さながらのグルメも楽しめます。

こんな絶品も!目の前で焼き上げるトルコ風クレープ、ギョズレメ(Gözleme)

こちらはトルコ生まれトルコ育ち。ギョズレメという、トルコのクレープに近いスナックです。たっぷりのヨーグルトソースをつけていただきます。薄い生地の中身はバリエーション豊富ですが、定番は白チーズとほうれん草で、とってもヘルシー。
写真は、マルクトの人気店のもの。目の前で生地を伸ばし、具を包んで専用の鉄板で焼き上げる、鮮やかな手さばきを眺めていれば、行列もあっという間です。

美味しいドイツ・ベルリンを食べ歩こう!

今回は、ベルリンで味わえるストリートフードのうち、はじめての方にも見つけやすく試しやすい、オーソドックスなものをいくつかご紹介しました。ここではご紹介しきれませんが、レストランやカフェで味わう美味やドイツのスイーツ、トルコだけではない異国のグルメなど、まだまだたくさんの魅力で溢れています。

これからドイツにご旅行の皆さん、どうぞグルメにもご期待ください。そうでない方も、ぜひ、お腹を空かせてベルリンへ!

この記事を書いた人

【ドイツ・ベルリン】ビールとソーセージだけじゃない!美味しいグルメ食べ歩きレポート

井上 燁子(イノウエ アキコ)

ライター

大阪府出身、東京都在住。
大学時代、学芸員課程を通してドイツ・ベルリンに惹かれ、留学。現在は会社員生活の傍ら、海外ひとり散歩をライフワークとしている。港町と海外の路地裏をこよなく愛し、現地のグルメやファッションとの出会いも楽しむ。得意分野は旅行、グルメの他、アート、料理、ダイエット、港湾風景など。趣味は各国料理食べ歩き、声楽、音楽鑑賞・ファッション。

このライターに記事の執筆を相談したい

関連記事