旅行の醍醐味はここにある!海外スーパーマーケットの魅力 〜イギリス・フランス編〜(トラベルライター)

●海外のスーパーマーケットには、観光地以上にその国を知るための素材が多く存在している。
●食材、人々の働き方、利用の仕方からお国柄や国民性の違いまでも推測できる貴重なスポットでもある。
●イギリスはロンドンを中心にグローバル化に合わせ豊富な食材を取りそろえたスーパーが多く、「イギリスの食べ物はまずい」という定説を覆す現状がある。
●日本ではお金をかけないと味わえない贅沢グルメが、10ユーロ以内で満喫できるフランススーパー。

皆さんは、海外のスーパーマーケットに足を踏み入れたことはありますか?「せっかくの海外旅行なのだからレストランで贅沢したい!」という意見や「観光地巡りがメインだから、食べ物なんて二の次」などという意見もあるかと思いますが、侮れないのが現地の人々が利用するスーパーマーケットです。

筆者も学生時代はヨーロッパに魅了され、西欧・中欧を中心に一人旅で周遊しました。学生の一人旅ということで贅沢はできない中、行く先で立ち寄ったスーパーマーケットでグルメを発見したり、安く仕入れた食材をホステルで調理して食べる楽しみを満喫したりしたものです。新鮮で美味しい食べ物をお手ごろな価格で獲得できるという点は勿論のこと、現地の人々が日常的に利用するスーパーマーケットは、観光を目的に設置された場所よりもその国のリアリティや国民性まで垣間見えることもある要チェックスポットです。

そこで今回は、筆者が訪れた中で特に印象に残っているイギリス・フランスを例に、海外スーパーの魅力を徹底解明してみたいと思います。

「イギリスの食事はまずい」は本当?それとも偏見?

「今度イギリスに旅行に行くんだよねー」
「へぇ、食事はまずいらしいけど羨ましい!」

こんなやりとりをされたことはありませんか?私自身、一人旅をしていた頃は国内外問わず経験しました。実際、英国を訪れるまでは後者の立場だったことも……。
「実際には食べたことはないけれど、イギリスの食べ物はまずいらしい」という食わず嫌い的な都市伝説に翻弄され、粗末な扱いを受けることも多かったであろう「イギリス飯」の名誉を挽回すべく、私が現地で出会った美味フードを紹介したいと思います。

多国籍で多忙な町、ロンドン

一口に「イギリス」と言っても地域によって文化も風土も異なりますが、首都ロンドンの多国籍性とスピード感は独特でした。観光客だけでなくビジネスマンや学生も多いインターナショナルシティで出会った、美味フードをご紹介します。

【1】HOUMOUS(フムス)

まずは現地の留学生に聞いたおすすめフード、フムス。茹でたひよこ豆をペースト状にして様々な味付けを施したディップ素材のフムスに、パンや野菜スティックをつけて食べると格別です。元々は中東の伝統料理ですが、ロンドンのスーパーでは30種類以上のフムスが取り扱われていることもあります。値段も1パック1~2ポンドとお手ごろなことから、今やロンドンの人々には欠かせない一品のようです。ヘルシーでかつ濃厚なテイストを味わえば、リピーターになること間違いなしです。

【2】SCONES

お次は日本でもお馴染みのスコーンです。スコットランド料理ではありますが、ロンドンのスーパーでは4つで1~2ポンドで手に入ります。私がはまったのは、レーズンやラズベリーが練りこんであるフルーツスコーンです。サクサクというよりはしっかり食すという感覚の生地。ほどよい甘さのため重たさはなく、なおかつ腹持ちがよいという点は、旅人にうってつけであると言えるでしょう。

【番外編】FISH & CHIPS

「いやいやせっかくイギリスに来たのだから、もっとイギリスっぽいもの食べたいよ!」という方にはぜひ、FISH&CHIPSの食べ比べをしてほしいです。ロンドンに限らず英国内には数多くの専門店がありますが、現地の人曰く「店によってクオリティに差がある」とのこと。因みに私は「英国で2番目に美味しい」と現地の方が推してくれたWALES地方のFISH&CHIPS店を訪れ、海を見ながら食した思い出があります。海辺の街ならではの新鮮な鱈とホクホクのポテトが忘れられない一品でした。

高級フレンチにも勝る最高峰グルメが並ぶフランスのスーパー

さて、海を渡ってお次はフランスのスーパーに潜入したいと思います。イギリスとは異なり、元々「美食国家」と称されるフランス。高級フレンチに頼らずとも美食文化を堪能できます。代表的な食材といえばチーズとワインですが、驚くべきは生産国ならではの種類の豊富さと値段の安さでした。今回は特にチーズに焦点を当て、豊富な商品の中から特におすすめの商品をピックアップしてみたいと思います。

【1】カマンベールチーズ fromage Camembert

日本でもお馴染み、カマンベールチーズ。フランスのスーパーでは20種類以上のカマンベールチーズに出会えます。また、業者ではなくチーズ生産者が直接卸した新鮮なチーズも販売されており、値段は1~4€でした。匂い、味、共に日本のものより濃い印象です。

【2】ブリ―チーズ fromage Brie de mieux

カマンベールと同様、フランスの代表的な白カビチーズです。個人的には、「1度でいいから三角形に切り取られたチーズにかぶりついてみたい」という潜在的な願望を存分に果たしてもらったチーズでもあります。味はカマンベールよりもクリーミーで食べやすく、日本で販売されているブリ―チーズよりも塩気が少ない印象です。値段は1~3€程度でした。ブリ―チーズを嫌いな人なんているのだろうか?と思えるほど美味な食材です。

【3】シェーブルチーズ fromage de chevre

シェーブル、つまりヤギのチーズを食したことはありますか?丸太のような形状・純白な白カビに覆われた風貌。切ってみると、層によって多少異なる色合いで見た目にも美しいチーズです。白カビと内部のチーズの間がトロッととろけており、まろやかでかつヨーグルトのようなさっぱり感も味わえる至極の一品。値段は1.5〜4€程度が一般的です。

青カビチーズ派、ハードタイプのチーズが好みだという方も多くいるかと思いますが、どのタイプのチーズも豊富な種類に出会えるのがフランスのスーパーです。同じく店内で販売されている1€程度のバゲット、3~5€程度の国産本格ワインと共に、10€でお釣りがくる本格お手頃グルメを味わってみませんか?

「お客様は神様」ではない?「自由と平等」を体現するような海外スーパーマーケット

取り扱う食材もさることながら、海外スーパーには着目すべき点が他にもあります。
野菜・果物は大抵パック詰めされておらず、種類別にばら売りされています。そして、商品をそのままレジに持っていくと、「自分で測って値段貼ってきて!」と、ため息混じりに門前払いされてしまいます。やれやれと売り場に戻り地元の買い物客に秤の利用法を聞きながら自分で値段を貼り、別のレジへ向かうと、そこにはリンゴやお菓子を食べながら働く店員の姿が……!

日本ではまず見られないこの光景ですが、個人的には不快感というよりもむしろ「客と店員の対等さ」に心地よさを感じたことを覚えています。
さらに、「お客様第一ではない」風潮は営業時間からも伺えます。フランスのスーパーは大抵19時には閉店してしまうし、まして日曜日は営業しません。これは、日曜日を安息日と定めるキリスト教の影響もあるのでしょうが、客が休む日は店員も休むというスタンスに初めは驚きや不便さを感じました。しかし、これがまた不思議で、慣れてくると便利さだけが最優先事項でない社会もまたフランスという国の魅力のひとつのように思え、自然と順応できてしまうのです。

このような点から日本と海外の価値観の差を考えてみると、個人差はあるにせよ日本は「集団秩序の中で個人はどう在るべきか」という視点が強い一方、海外では「社会の中で個人は各々をどう形成していくか」ということに重きを置いて生活を営む人が多いのかもしれません。

スーパーマーケットで社会を感じよう

今回紹介できた商品はほんの一部でしたが、気になる商品はありましたでしょうか。イギリスのフムスといいフランスのチーズといい、パンとワインやお酒を合わせるとそれだけで贅沢グルメに変貌してしまうから驚きです。
筆者は旅行中、ホステルに宿泊しつつ、昼間はロンドンの大英博物館前の広場や、パリのルーブル美術館近辺の広場で、これら3点セットを片手にゆっくりと時間を過ごすことが大好きでした。拙い英語やフランス語を用いて現地の人々とやりとりをする楽しみや、日本では珍しい野菜や果物、商品を発見する楽しみもあり、観光客でごった返す定番スポットよりもよほど「海外に来た感」を味わえるスポットではないかと思います。

海外に行かれた際は、ぜひスーパーマーケットに立ち寄りお気に入りの商品を発掘しつつ、その国の社会を肌で感じる機会を持っていただければ嬉しいです。

この記事を書いた人

旅行の醍醐味はここにある!海外スーパーマーケットの魅力 〜イギリス・フランス編〜(トラベルライター)

山村桃子

ライター

岩手県出身 東京都在住。
一児の母。学生時代に国際開発学を専攻し、20カ国程度周遊・滞在した経験から、海外の人々のライフスタイルや国際協力系の記事を執筆。現在は子育てをしながらライターとしてのスキルを習得中。
趣味は水泳、ピアノ、映画鑑賞、特技は、 英語・フランス語。
ライタースキルと並行し、趣味・特技のレベルも各々高めていきたいと試行錯誤の真っ只中。
今後は学生時代に経験したことだけではなく、現在の生活の中で得た経験についても執筆していけたらと考えています。

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