ザリガニ料理は贅沢品?知られざる上海の美味しい食文化のはなし(グルメライター)

●中国の給与は最近急増したと言われるが、日本と比べるとまだまだ安い。大卒の初任給は約73,000円。
●食事は定食300円などと安価。朝食は150円以下。
●上海の食文化、朝・昼・晩は大体外食。
●ザリガニはまるでエビのような味で、素材は淡白だけど辛い味付けでクセになる。
●上海蟹の本名は大閘蟹(ダージャーシエ)。オス・メスで違った味わいがあり、味噌や卵、白子はとても濃厚で美味しい。

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人口約13億5千万人の中国は、世界一人口が多い国です。なかでも上海は中国最大の経済都市と言われており、人口は約2400万人。北京に次ぐ人口であり、そこには様々な地方から文化・技術・人が集まっています。

そんな中国の食文化について、私たち日本人の目にはどのように映っているのでしょうか。衛生やマナーの面で悪いイメージが挙げられ、敬遠する風潮があるかもしれません。事実、中国へと訪れた出張者で料理に使用した水が合わず、トイレにこもりっきりになった人もいます。しかしながら、激安店を避けて店を選べば基本的にお腹を壊すようなことはありません。

上海の子会社に出向して以来2年以上を上海で過ごしている私は、様々な中華料理を食べながら、上海の良さを感じてきました。こちらでは、上海の社会的背景を踏まえ、魅力的な上海の食文化についてご紹介します。

中国食文化の経済的背景

中国全体では現在大卒の初任給が平均4,800元(約72,000円)程度であると言われており、地方では職場の寮に月々無償~数十元程度で入ることができます。一方、上海は中国政府が定める国家中心都市であり、経済の中心となっているため、アパート・マンションの価格は年々高騰しています。例えば間取り1DKのアパートで月3,000元(約45,000円)と所得に対して住居費の割合が高くなります。

そのため、上海での生活は家族で一箇所に住むことが基本となっています。多くの人は所得の関係から両親・両祖父母6人の財布で一人の子を育てるという、いわゆる「6(シックス)ポケット」で生活をしています。

※金額・レートは2016年の参考値。1元=約15円。

朝、昼、晩と外食が基本

上海では住居の面で苦労が絶えませんが、食事は安価です。例えば、弁当は10元(約150円)、ラーメンは12元(180円)、定食は20元(約300円)など。夫婦共働きが多い現状や自炊の労力と費用を考えると、外食した方が合理的かもしれません。

朝食

会社に出勤する前、もしくは始業時間後に近所の出店へ行き、お粥やスープ、パンなどといった比較的軽いものを食べます。朝食は家で食べるより外で食べる人の方が多いと言えるでしょう。

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上の写真は、私が朝食を買うために並んだ際に目にした風景です。ここではスープ類や中華まんなどが売られており、一品1.5~3元(23~45円)で買えるものがほとんど。朝食は大体10元以下(約150円以下)で済ませられます。

昼食

上海ではほとんどの飲食店でテイクアウトや出前ができるので、多くの人はこれを利用して会社で昼食をとっています。出前で注文できるものとしては、以下のような料理が挙げられます。

・麻辣汤(マーラータン:激辛野菜スープ)
・西红柿炒鸡蛋(シーホンシーチャオジーダン:甘い味付けの卵トマト炒め)
・黄焖鸡(ホァンマンジー:骨付き鶏肉料理)

その他、様々なものが出前で注文できます。

夕食

法律の関係上、中国では会社の残業・休日出勤がしにくい仕組みになっています。ゆえに、定時に家に帰り家族全員レストランで外食をすることが多いです。

上海の代表料理「ザリガニ」と「上海蟹」

上海現地住民は、ザリガニと上海蟹を好んで食します。今回はこのふたつを実際にいただいてみましょう。

ザリガニを食べてみた

夏場散歩をしていてふと目に付くのが、店先にあるザリガニの生簀です。活きの良さが大事ですので、歩行者に見えるように歩道に生簀を設置している店が多いです。ザリガニの活きが良過ぎて生簀から脱走し、気づいた店員に戻される姿もしばしば。

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生簀からガバッと取り上げられ、お店秘伝の特製油によって揚げられたザリガニ。遠目には大きいエビのようです。

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近くで見ると、正真正銘ザリガニです。ザリガニは油でベトベトなので、手袋と前掛けをしていただきます。

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ザリガニのアゴ辺りからグリッと回すように頭を押し上げて外し、身体の殻を足の付け根から剥がしていくと、下の写真のように食べられる部分が現れます。一匹当たりの大きさは7~10cm程度でそれなりに大きく見えますが、硬い皮を剥いてしまうと食べられる部分は甘エビ程度しかありません。

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この店で頼んだザリガニ料理は一人前500gで50元(約750円)と、一品としては値段が少々高めの部類になります。
※上海の昼食は一食10~30元(約150~450円)程度が一般的

このザリガニは、中国独特の香辛料・調味料で辛い味付けとなっています。素材の味はエビを茹でたものに近く淡白で、味噌の部分は薄い蟹味噌のような味がして美味しいです。後半になると辛さもクセになり、最後まで美味しくいただけました。

上海蟹を食べてみた

中国では、上海蟹のことを大閘蟹(ダージャーシエ)と呼びます。これはブランド名であり、主に中国江蘇省蘇州市にある阳澄湖(ヤンチャンフー:陽澄湖)と呼ばれる湖で飼育されたものを指します。

秋から冬が旬の時期で、通常のモズクガニは一匹10数元程度で売られるのに対し、上海蟹は一匹50元~80元(約750~1,200円)程度で売られています。通常のモズクガニを上海蟹として販売する偽物が出回るため、近頃の上海蟹には足にQRタグや印を付けられるようになりました。

売り場では、蟹が暴れて身体を傷つけないよう足を縛って並べられます。調理前に死んでいると身体に細菌が繁殖して食べられなくなるので、選別する際は蟹の目の付近を押して反応があることを確かめます。

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上海蟹を購入した際は、保存用のカゴを貰えます。新鮮なものであればカゴに入れたまま冷蔵庫に入れ、3日間程度保存できます。

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私は専用の器具を持っていないので、下の写真のように「ゆで卵蒸し器」を利用して調理しました。下処理をしたあと、甲羅を下にして15~20分程度蒸します。

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真っ赤に蒸された上海蟹。

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写真はメスの上海蟹。紐を解いて頭をパカッと開きます。身体の部分は穿ったり、割ったりして食べるのも良いのですが、現地の人は殻ごとバリバリ食べて最後に口から殻を出します。 メスであれば濃厚な卵や味噌を、オスであればトロトロとした白子を味わいましょう。足の身は細く味も薄いのですが、蟹酢を付ければ美味しくいただけます。

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上海には美味しい料理が盛りだくさん

上海の食文化、いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したザリガニ料理・上海蟹だけではなく、上海には様々な中華料理があります。ローカルな店での食事はハードルが高いと思われがちですが、品物やメニューへの指差しジェスチャーと、指での個数表現(ひとつ、ふたつ)だけで意外とすんなり注文できてしまいます。写真サンプルの表示が無いメニューで指差し注文をして、何が出てくるか分からないドキドキ感も、それはそれでワクワクするはずです。

この記事を書いた人

ザリガニ料理は贅沢品?知られざる上海の美味しい食文化のはなし(グルメライター)

赤澤康成

ライター

新潟県出身、中国上海市在住。
本業はシステムエンジニア、主に生産管理系を担当。
趣味は電子書籍でマイナーな漫画を読むこと、中国語・中国文化を勉強、ストレス発散の為のジョギングなど。

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