激しくも切ない映画が目白押し!「香港ノワール」の魅力と傑作3選

●「香港ノワール」とは裏社会や犯罪をテーマに描いた香港映画のジャンル。
●香港ノワールに属する映画は日本であまり公開されていないため、少々マイナー。
●男たちの友情や対決を軸にした濃厚な人間ドラマが魅力。
●銃や格闘によるリアルかつ激しいアクションシーンも見どころ。
●オススメ作品は『男たちの挽歌』『ヒーロー・ネバー・ダイ』『SPL/狼よ静かに死ね』。
●切ないストーリーやハードな作風が好きな人にピッタリ。
●カッコいい俳優、渋い俳優も多く出演しているので女性にもオススメ。

皆さんは数ある映画のなかでも、「香港ノワール」と呼ばれるジャンルがあることをご存知でしょうか?香港映画といえば、ブルース・リーやジャッキー・チェンが主演するカンフー映画が日本でも大ヒットし、一昔前にはテレビでもよく放映されていました。しかし、カンフー映画ならともかく、香港ノワールといわれてピンと来る日本人はあまりいないでしょう。なぜなら、日本の映画館で香港ノワールに属する作品が公開されること自体ほとんどなく、DVDやブルーレイもあまり市場に出回らないことが多いからです。

そのため、残念ながら日本ではマイナーなジャンルと言わざるを得ませんが、マイナーだからといって面白くないというわけではありません。むしろ香港ノワールには、激しさと切なさが同居した濃厚な人間ドラマや、スタイリッシュで洗練されたアクションなど、邦画や洋画にはない独自の魅力が秘められていると言っても過言ではないのです!

そこで、ミニシアターに足を運んだり、プレミア価格がついたDVDを買い集めたりするなどして、香港ノワール映画を50本以上観てきた私がこのジャンルの特徴や魅力、さらにはオススメ作品を皆さんにご紹介します!

そもそも香港ノワールとは何なのか?

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香港ノワールについて簡潔にまとめるなら、「裏社会や犯罪を題材とした作品の総称」です。そもそも「ノワール」はフランス語で「黒」を意味していますが、このジャンルの起源は同様に社会の黒い部分を描いた「フィルム・ノワール」にあります。

フィルム・ノワールは、1950年代前後にアメリカやフランスで流行したジャンルです。アメリカ製作品が主人公の堕落や破滅、男女関係を重視していることに対し、フランス製作品は男同士の友情に重点を置いているなど、同じフィルム・ノワールでも国や時代によって指向が異なります。共通点としては、退廃的な世界観やもの悲しいストーリー展開の他、主な登場人物に警官やギャングが多いことも挙げられます。

これらをベースとして、1980年代に香港ノワールが誕生しました。作品の指向はどちらかといえばフランス製作品に近く、次のような特徴を持っています。

・主人公は警官、またはアウトロー(ギャングなど)である
・ほぼ100%といえるほど主人公は成人男性である
・男同士の絆や対決がストーリーの軸となる
・大団円的なハッピーエンドで終わることは少ない

以上の特徴を踏まえつつ、香港ノワールについてさらに掘り下げていきます!

香港ノワールの魅力はドラマとアクションにあり!

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続いては、香港ノワールが放つ独自の魅力についてご紹介していきます。裏社会や犯罪を描いていると聞いて、「怖い」「悪い」といったイメージを持たれたのではないでしょうか?確かにそういった面も見られますが、香港ノワールの真髄はむしろ「人間ドラマ」と「アクション」にあるのです。

熱き男たちが繰り広げる人間ドラマ!

香港ノワールでは、男同士の絆をもとに展開される人間ドラマが大きな見どころです。兄弟・親友・同志など絆の形はさまざまであり、時には裏切りや対決を生むこともありますが、そのなかで垣間見える想いや信念に、観ている側は感情を揺さぶられることでしょう。

先ほどお伝えしたように、香港ノワールでは主人公は男、その仲間も男、敵役も男と登場人物の大半が男です。もちろん女性がいないわけではありませんし、なかには主人公の家族や恋人といった重要な役割を果たすこともありますが、基本的に男だらけの世界観のなかでストーリーが進行していきます。

そして登場人物の多くは警官、またはギャングやマフィアのようなアウトローなど、何らかの形で裏社会と関わりを持っています。また、警官でも悪事に手を染めている人物がいたり、アウトローでも人間味あふれる人物がいたりするなど、単純な勧善懲悪が成立することは少ないです。登場人物も一筋縄でいかないキャラクターが多いため、思わぬ犠牲や予測がつかない人物関係など、衝撃的な展開が待ち受けていることもあります。

そのため、香港ノワール映画のストーリーは全体的に重く、エンディングも考えさせられるような切ない内容が多いのですが、だからこそ観ている側も映画に引き込まれやすく、結果的に心に残る感動が生まれるのです。

ゴマカシなし!ド迫力のアクションシーン

香港ノワールでもう1つ忘れてはいけない見どころが、銃撃戦や格闘戦といったアクションシーンです。21世紀以降の作品でもCGや合成を使わない、己の肉体で挑むガチンコアクションを多く観ることができます。

こう書くと昔のB級アクション映画みたいで「今観ても何かショボそう……」と思われるかもしれませんが、とんでもありません。むしろ、邦画や洋画にはないアクションが盛りだくさんとなっていますので、最後の最後まで飽きずに観ることができるのです。

・スーツやコートをなびかせた華麗な銃撃戦
・本物の武術家が繰り広げるキレキレの格闘シーン
・大爆発や舞い散るガラスといった、ド派手な破壊表現

こんなアクション演出に心惹かれるのなら香港ノワールは外せません!

香港ノワールはこんな人にオススメ!

ここまでの内容を踏まえて、どんな人に香港ノワールをオススメできるかまとめました。

・古き良きアクション映画が観たい人
・CGばかりのアクションはもうお腹いっぱいな人
・先の読めないストーリーが好きな人
・切ないビターエンドが好きな人
・香港独自の街並みが好きな人
・男の生き様を学びたい人
・男らしさではなく“漢らしさ”が観たい人

もし1つでも心当たりがある方は、香港ノワール映画をぜひご覧ください。

香港ノワールにおけるオススメ作品をピックアップ!

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香港ノワールの特徴や魅力を理解したところで、次は私が特にオススメしたい作品を3本ご紹介します。レビューサイトでも高い評価を得るなど、傑作と呼べる映画ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください!

元祖香港ノワール!『男たちの挽歌』(1986年)

香港マフィアの幹部を務めていた兄、それを知らずに警官となった弟、そして兄の親友であるマフィア、この3人の男が裏社会の陰謀に挑む様子を、家族や親友の絆を背景に描いた映画です。香港ノワールの始まりともいわれている作品ですので、これを無視して香港ノワールは語れないといえるでしょう。
胸が熱くなるストーリーや人間ドラマはもちろんのこと、スローモーション演出を取り入れたスタイリッシュかつ豪快な銃撃戦や爆破シーンに、大興奮すること間違いなし!30年以上前の作品ということもあり映像や音楽には多少時代を感じますが、それを踏まえても見応え抜群です。

2人の男の壮絶な生き様に涙せよ!『ヒーロー・ネバー・ダイ』(1998年)

伝説的な2人の殺し屋を中心に、香港の裏社会で繰り広げられる二大組織の抗争を描いた映画です。この2人はそれぞれ違う組織に所属しており、片やクール、片や明朗快活と人物像も対照的。敵同士ですので必要があれば命を懸けて戦う関係にありますが、お互いの実力は認め合っており、奇妙な友情さえ見せるシーンもあります。そんな2人を取り巻く環境が一変したとき、どのような運命が待ち受けているのか……といった感じでストーリーが進んでいきます。
20年ほど前の作品ですがアクションや演出は洗練されており、今観ても古さを感じさせません。また、日本人に馴染み深いあの曲がBGMとして流れる点もポイントです。

カンフーと香港ノワールの融合!『SPL/狼よ静かに死ね』(2005年)

絶大な支配力を持つ裏社会のボスと、彼を逮捕するためなら手段を選ばない警官たちの熾烈な戦いを描いた映画です。今までガンアクション中心だった香港ノワールに本格的なカンフーアクションを取り入れた、新境地的な作品でもあります。出演する俳優も武術大会での優勝経験を持つなど超本格的!そんな達人揃いのなかで繰り広げられる格闘シーンはまさに芸術品であり、あらゆるアクション映画のなかでもトップクラスの完成度となっています。もちろん、ストーリーも香港ノワールの本質をしっかり捉えており、何が正義で何が悪なのか、綺麗ごとなしのハードな作風が心にズシリと響きます。

見どころを押さえたらぜひ一度鑑賞を!

ここまで香港ノワール映画についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?題材が題材だけに、暴力的なシーンや悲しい展開が待ち受けていることもありますが、主軸はあくまで人間ドラマとそれに華を添えるアクションにあります。明るくハッピーな映画も魅力的ですが、あえて香港ノワールのように危うさや暗さを感じさせる映画を観てみることで、心に残る名作に出会えるかもしれません。

最初にお伝えしたように、日本ではあまりメジャーなジャンルではありませんが、今も香港ノワールに属する作品は制作されており、大きなシネコンではなくミニシアターに足を運べば、最新作も上映されています。カッコいい・渋い俳優もよく出演していますので、男性はもちろん女性の方も、ぜひ一度香港ノワールをご覧になってください!

この記事を書いた人

激しくも切ない映画が目白押し!「香港ノワール」の魅力と傑作3選

尾崎 兼太

ライター

大阪府出身・在住。
企業の専属ライターとして約2年ほど勤務。主に治療家・セラピスト向けの教材やセミナーに関するセールスレター、健康情報を発信するメルマガの執筆に従事。2018年11月よりフリーのライターとして活動開始。趣味は映画鑑賞・ゲーム・犬。たまにバイクも乗ってます。得意分野は整体関係・健康・映画・ゲーム。他のジャンルの執筆にもチャレンジしていきたいと実践を通して幅広く勉強中。

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