第三次バイクブーム!?販売台数は減りつつもバイク業界が盛り上がっている理由(バイクライター)

●1970年代に起きた第一次バイクブーム。当時は、16歳になり自動二輪免許が取得できれば400cc以上の大型バイクに乗れた。免許制度や罰則規定の変更により、当ブームは終わる。
●1980年代に起きた第二次バイクブーム。鈴鹿8耐に注目が集まり、レーサーレプリカのバイクが飛ぶように売れる。バブル崩壊や、高校生に対する「3ない運動」によりブームは終わる。
●50代を中心としたリターンライダーが増加している。彼らは安全面や快適性を向上させる装備にお金をかけている。
●SNSの発展により、投稿ネタのひとつとしてバイクに着目する若者も増えている。
●車載カメラで撮影してバイク動画を配信する「モトブログ」というものも人気を博している。

いつの時代にも「趣味はバイクです」という人は少なからずいる。著者である私もそのうちの一人だ。様々な出会いがあり、最高の景色を見せてくれるバイクの楽しさを書き出したら永遠に終わらない程、バイクは楽しい。しかし残念なことに、バイク自体の危険性や国の規制、そして趣味の多様化などにより、近年ではバイクを楽しむ人が減少傾向にある。

これは、「若者の◯◯離れ」のひとつ「若者のバイク離れ」と言えよう。ライダーの平均年齢が上がっていることから「ライダーの高齢化」も顕著になり、バイクメーカー間では深刻な問題となっている。

そんな現代において、今のこの状況を「第三次バイクブーム」と表現する人が出てきた。なぜこのような矛盾が生じるのであろうか。当記事では、過去二回のバイクブームとは異なる「第三次バイクブーム」の実態について解説していく。

第一次・第二次バイクブームのおさらい

日本では、過去に2回のバイクブームがあった。この2回のバイクブームの特徴を簡単に述べると以下のようになる。

・第一次バイクブーム:1970年代。高校生が大型バイクに乗っていた。
・第二次バイクブーム:1980年代。誰しもが峠に通っていた。

それでは、この2回のバイクブームについて詳しく見ていく。

第一次バイクブーム

1970年代に起こった第一次バイクブーム。主役は高校生を中心とした若者である。当時は高校生が大型バイクを乗り回していた。大型バイクとは排気量400cc以上のバイクであり、現在の免許制度では大型自動二輪免許が必要である。
この大型自動二輪免許は、現在の法律では18歳以上しか取得できない。しかし、当時は現在と免許制度が異なっていたため、16歳になり自動二輪免許が取得できれば排気量に関係なく乗れた。また、今からすると信じられないことだが、当時はバイクにヘルメットを着用せずに乗れた。

つまり、当時は現在と比べて簡単にバイクに乗ることができたのである。16歳になると自動二輪免許を取り、バイクで高校に通学するということが普通であったのだ。しかし、1975年にヘルメット無着用の罰則化や免許制度の変更があり、大型バイクには容易に乗れなくなったため、このブームは終わったとされる。

第二次バイクブーム

1980年代、最も大きな盛り上がりを見せた第二次バイクブーム。主役はもちろん今回も若者である。このブームは俗に「走り屋」や「狂乱の80年代」などといった表現がなされる。現在でも三重県の鈴鹿サーキットで毎年行われている鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐)が若者の注目を集め、各メーカーによって公道用に改良されたレーサーレプリカが発売され、これが飛ぶように売れた。また、ホンダとヤマハが国内シェア1位を狙って競争した 「HY戦争」によって、製造技術も飛躍的に発達した。

若者たちはレーサーレプリカのバイクを買い峠に通い、いかに峠を早く走れるかを競い合った。しかし、バブル崩壊の影響や、高校生に対する「免許を取らせない・バイクを買わせない・バイクに乗らせない」という”3ない”運動によって、ブームは終焉を迎えることになる。

第三次ブームのキーワードは「リターンライダー」と「インターネット」

過去二回のバイクブームでは、バイクに乗る人が増えたが故にバイクブームと表現されている。しかし、第三次バイクブームと呼ばれる現代においては、バイクに乗る人が増えているとは言い難い。日本自動車工業会の調べによれば、バイクの国内販売台数のピークは1982年の328万台、そして2016年には33万台まで減少している。

【参考】日本自動車工業会 二輪車・生産

なぜ販売台数が減少しているのに「第三次バイクブーム」とささやかれ始めているのだろうか。これには「リターンライダー」と「インターネット」という2つのキーワードが大きく関係している。

50代を中心としたリターンライダーの増加

リターンライダーとは、結婚や子育てをきっかけにバイクを降りたが、子育てが終わり経済的に余裕が出てきたことにより再びバイクに乗り始めたライダーのことを指す。年齢層としては50代前後である。彼らがバイクに乗っていたのは20歳くらい、1980年代のことだ。つまり第二次バイクブームである。

彼らが再びバイクに乗る理由は様々であるが、そのうちのひとつとして大型バイクに容易に乗れるようになったことが挙げられる。第二次バイクブームの時代、大型バイクに乗るためには限定解除のための「一発試験」と呼ばれるものに合格しなければならなかった。この試験は司法試験より難しいと言われ、故に大型バイクの免許は憧れの的であった。現在は、規制緩和により教習所で大型自動二輪免許を取得できるため、以前よりも大型バイク免許が取りやすくなっている。

バイク乗りの特徴としては、いつの時代も変わらず「とにかくバイクにお金をかける」という点が挙げられる。この特徴はもちろんリターンライダーたちも当てはまるが、お金をかけるポイントが変わってきているようだ。
彼らは体の衰えを感じているためか、第二次バイクブームの頃のように速さを求めるのではなく、快適・安全にバイクを楽むことを優先している。具体的には、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やバイク用ナビ、着用エアバックなどといった、バイクをより安全・快適に楽しむ装備を購入しているのだ。これらの装備の多くは50代以上のライダー購入しており、その割合は20代のライダーの4倍以上だ。

【参考】日本自動車工業会 2015年度 二輪車市場動向調査

もちろんこのような最先端の装備は、過去のバイクブームの時代には存在しなかった。技術の発展により、リターンライダーによるバイク関連の消費が昔より増えたと言える。

インターネットを活用した新たなバイクの楽しみ方

「インスタ映え」という流行があるように、SNSの投稿ネタを探している若者は多い。その中で、バイクに目をつける若者がいる。バイクで海や山に行き、そこでバイクと風景が写った綺麗な写真を撮りSNSに投稿するという仕組みだ。私の周りにも、このような理由でバイクに乗り始めた友人が多い。

 

りんごさん(@moto8apple)がシェアした投稿

また、YouTubeを中心に「モトブログ」という文化も発達してきている。モトブログとは、車載カメラやGoProなどで走行風景を動画で撮影しながらヘルメットの中で会話し、それを編集してYouTubeなどに投稿するものである。チャンネル登録者が5万人を超えるモトブロガー、総再生数が1,000万回以上のモトブロガーもあらわれている。

インターネットの特徴として、不特定多数が閲覧できるという点が挙げられる。これにより、見て良し配信して良し、という新たなバイクの楽しみ方が確立されているのである。

やはり現代は第三次バイクブームである

第三次バイクブームと呼ばれる理由は、過去二回のブームのように、単にバイクに乗る人が増えたというものではない。リターンライダーが増加したこと、快適・安全にバイクを楽しもうとする人が増えたことにより消費が増えたこと、SNSや動画配信サービスの発展により新たなバイクの楽しみ方が確立されたことにある。
このように視野を広げてみると、バイク人口が減少している現在が「第三次バイクブーム」と呼ばれることは妥当であると言えよう。

この記事を書いた人

第三次バイクブーム!?販売台数は減りつつもバイク業界が盛り上がっている理由(バイクライター)

柏木 隼

ライター/大学生

:岐阜県出身在住。現役大学生。大学では法学を専攻している。バイク、車、鉄道、ミリタリー、アウトドア、歴史が得意。物心ついた頃から、動くものが好き。趣味はツーリングと乗り鉄。

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