知的障がい者の妹を持つ心理カウンセラーが教える正しい知識と上手な接しかた(ヘルスケアライター)

●知的障がい者の等級は、知能指数(IQ)によって診断される。
●見た目は健常者と変わらないが、精神年齢は小学生程度。
●軽度の方は職業訓練高に進学後、単純作業系の仕事に従事。
●会話のコツは、ゆっくり簡単な言葉で話し、話を否定しないこと。
●迷惑をかけることも多いかもしれないが、ぜひ温かい目で見守ってほしい。

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みなさんは、知的障がい者のことをどのくらい知っていますか?近年では企業による知的障がい者の雇用が増えており、職場などで関わる機会のある方も多いのではないでしょうか。しかし、接点は増えてきたとは言え、社会全体の理解はまだ深まったとは言えないでしょう。

著者である私には、軽度の知的障がい者をもつ高校3年生の妹がいます。周囲に妹の話をすると、「知的障がい者と健常者には、具体的にどんな違いがあるの?」「どのような社会生活を送っているの?」ということをよく尋ねられるのが現状です。

当記事では、心理カウンセラーであり、知的障がい者の妹を持つ私が、知的障がい者に関する正しい知識と上手な接し方について詳しくご紹介します。

知的障がいの等級は知能指数(IQ)で決まる

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知的障がい者の等級は、知能指数(IQ)によって分けられます。以下では、18歳以上の知的障がい者の方を例に挙げて、各等級の特徴を解説します。

IQ71~85:境界領域知能

こちらの領域は「境界領域知能」と呼ばれ、知的障がい者としては認定されません。IQも高い項目と低い項目があり、周囲からは”少し勉強が苦手な子”または、”少しコミュニケーションが苦手な子”などと認識されることも多く、大人になるまで境界領域知能であることに気付かないケースも多々あります。

IQ51~70:軽度知的障害

軽度知的障害の学力は、小学校5~6年生程度と言われています。臨機応変な対応は苦手ですが、少し会話する程度なら健常者との違いがわからないほどです。就業はほぼ可能とされています。
私の妹は、軽度知的障がい者と診断されています。

IQ36~50:中度知的障害

中度知的障害の場合、簡単な読み書きや金銭の計算などはできます。指導者がいれば、集団行動も可能です。単純作業であれば、仕事に就くこともできます。

IQ21~35:重度知的障害

ある程度の日常会話は可能であり、ひらがなの読み書きもできますが、計算などは苦手です。単純作業であれば、ある程度の仕事はできます。

IQ20未満:最重度知的障害

最重度知的障害の場合は、会話も困難です。そして、文字の読み書きや計算も難しいとされています。作業能力はほぼないとされています。

知的障がい者の特徴

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見た目は健常者と変わらない

知的障がい者に身体的な特徴はありません。話し方や動作も健常者とあまり変わらないため、一見するとわからないかもしれません。私の妹も見た目は今どきの女子高生であるため、「妹さん、健常者とどこが違うの?」とよく聞かれる程です。

精神年齢は小学生程度

知能レベルは小学生程度であるため、複雑なルールがある遊びや深い会話が苦手です。私の妹はゲームが好きなのですが、RPGなどといったアイテムを集めてストーリーを進めていくものは苦手です。順序立てた会話も苦手であり、基本的に話にオチをつけるといったことはありません。

感情のコントロールが不得意

感情のコントロールが不得意で、ヒステリックを起こしやすいです。自分の思い通りに事が進まないと、感情的になってしまうことも多々あります。私の妹の場合は、見たいテレビが見られなかったというだけで泣き叫びだす、というケースも日常茶飯事です。

知的障がい者の学業・就業事情

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軽度の方は職業訓練校へ進学

軽度の知的障がい者の方は、支援学級がある小中学校に通うケースが多いです。そして卒業後は、知的障がい者のための職業訓練高校に入学します。こちらには受験もあり、人気校では倍率が3倍になることも。そこで挨拶の仕方などの礼儀作法や銀行口座の開設方法などを学び、自分に合った就職先を探します。

就職先は単純作業系

就職先は、現場実習をしながら決めていきます。知的障がい者を受け入れている会社で実習をし、会社から声がかかれば採用、という流れです。近年では障がい者雇用を積極的に行っている企業も多く、就職先は年々増えています。

主な就職先

  • 清掃員:オフィスや施設の清掃
  • 事務:郵便物や商品券の仕訳
  • 食品:洗い場や料理の簡単な盛り付け
  • 福祉関係:介護施設、保育所、病院などでの介護業務

 

知的障がい者との会話のコツ

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【1】簡単な言葉でゆっくり話そう

難しい言葉、言い回しは苦手です。ゆっくりと簡単な言葉で話しかけてあげましょう。健常者よりも知能指数が劣っているため、言語処理に時間がかかります。幼い子に話しかけるようなイメージで、優しく話しかけていただくと良いと思います。
大きな声や、ケンカ腰の話し方も良くありません。相手に影響されやすいので、こちらが怒っていれば相手も怒り、冷静に話せば相手も落ち着いて話してくれます。

【2】否定せずに話を聞こう

会話の目的としては、「理解を求めている」というよりも「自分の話を聞いてもらいたい」という気持ちの方が大きいようです。否定されるとヒステリックを起こすケースもありますので、極力否定はせずに落ち着いて話を聞いてあげましょう。
間違っていると思う箇所は、話にある程度共感してから優しく指摘してあげてください。ちなみに、こちらは性格の問題もあるかもしれませんが、私の妹の場合は否定されるとヒステリックを起こしてしまいます。

【3】話は最後まで聞こう

反論や注意があっても、まず話をすべて聞いてあげましょう。話をさえぎってしまうと、怒ってしまったり話の内容を忘れてしまったりすることがあります。また、相槌を打つことも大切です。話していて意味がわからないことがあったとしても、その時に聞き返すのではなく、話が終わってから質問しましょう。
妹と会話をしていて、この部分が一番難しいと感じます。妹の場合は、話をさえぎってしまうと機嫌が悪くなって本題に戻ることが難しくなるので、途中で聞きたいことがあっても我慢しています。

【4】質問はひとつずつしよう

複数のことを同時に聞くと、情報処理が追い付かなくなり、混乱してしまうようです。質問はひとつずつして、ひとつずつ答えてもらうようにしましょう。質問に答えるテンポも健常者に比べて遅いので、急かしたりせず答えを待ってあげてください。
私の妹は、答えを急かすと考えるのがめんどくさくなってしまうようで、答えてくれなくなってしまいます。

身内として伝えたいこと

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精神年齢や知能指数は健常者より低いですが、彼ら彼女らも自分自身で考えながら生きています。あまり身構えず、気軽に接してあげてほしいと思います。
なんでも素直に受け取るため、空気が読めないと感じることも多いかもしれません。それでも、その素直さや純粋さから学べることも多いと私は感じています。周囲に迷惑をかけることもあるかもしれませんが、ぜひ温かく見守っていただけると嬉しいです。

この記事を書いた人

知的障がい者の妹を持つ心理カウンセラーが教える正しい知識と上手な接しかた(ヘルスケアライター)

桑名ユウキ

ライター

東京都出身・在住。22歳の新人ライター。認定臨床心理カウンセラーの資格を持つ。
前職では不動産会社の広報として、主にSNSでの発信を担当。趣味は瞑想、読書、海外旅行。

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