〝汚くて当然〟は昔の話!真摯に革新を続ける「JR大阪環状線」のイマ(浪速のライター)

●JR大阪環状線はこれまで、汚くてボロいのが当たり前だった。
●2014年春から「大阪環状線改造プロジェクト」を立ち上げて改革に着手。
●駅舎の整備から駅メロの導入まで、乗客が快適に楽しく利用できる仕組みを導入。
●取り組みの進捗状況や乗客からの声、今後の改造スケジュールはすべて公開している。
●おすすめの駅は「玉造駅」「大正駅」「福島駅」。

「西の山手線」とも言える大阪の交通網・JR大阪環状線。これまで当路線には、「汚いのが当たり前」というイメージがつきまとっていました。しかし、今から2年ほど前に久しぶりに環状線に乗ってみると「あれ?この駅こんなに綺麗だったっけ?」「トイレが改装されてる!」といった気付きがあり驚きました。それもそのはず、「大阪環状線プロジェクト」なるものが始動していたのです。

JR大阪環状線が抱えていた課題

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JR大阪環状線は、大阪市内中心部に円を描くかのように走る19駅を繋いだ路線であり、北は大阪駅、南は天王寺駅が中心となっています。通勤・通学用途を中心に日々多くの乗客に利用されている大阪の要とも言える交通網ですが、数年前までは汚いことが当たり前でした。どの駅も総じて駅舎が古くてトイレが汚く、「大阪環状線は暗い・汚い・ボロい路線」と言われていました。また、有名な駅を多く抱え、駅ごとに個性がある東京の山手線と比べても、大阪環状線は各駅の特徴も少なく、地味でした。

便利ではあるが少し残念だった大阪環状線ですが、2014年春を境にそのイメージが一新されはじめました。「利用者にとって使いやすい機能を充実させ、環状線の魅力を増すことで、より多くの人に環状線を使ってもらいたい」という想いのもと、JR西日本は「大阪環状線改造プロジェクト」を立ち上げたのです。

乗客の意見が反映された駅構内

改造プロジェクトではまず、駅構内の整備から着手しました。老朽化していた駅名看板は刷新されてシックな雰囲気になり、それぞれの駅にちなんだシンボルの絵うっすらと入れられています。

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また、これまで汚いと不満が寄せられていたトイレの改装にも取り組みました。一目でトイレと認識できるようなわかりやすいビジュアルにし、全体・個室ともに空間を広くしてお年寄りや障がい者、子ども連れの親にも配慮された設計にするなど、利用者皆にとって快適に利用できるようなトイレになっています。こちらは平成29年度中には全駅で整備される予定です。

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また、「全19駅で異なる発車メロディを導入する」という面白い取り組みも行っています。選曲も、大阪やその駅にゆかりのあるメロディを採用しています。

(例)
大坂城公園駅
法螺貝。「大坂夏の陣」を想起させる法螺貝にビブラフォンを組み合わせた、オリジナルメロディ。

新今宮駅
交響曲第9番「新世界より」。通天閣でおなじみの観光地「新世界」の最寄り駅であるため。

西九条駅
アメリカン・パトロール。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの乗り換え駅であるため。

駅舎やトイレ改装の進捗状況や駅メロの紹介などは、すべて大阪環状線改造プロジェクトの特設ページに掲載されています。加えて、「オレンジ白書」という大阪環状線のお客様満足度調査結果も公開し、乗客からのダメ出しを真摯に受け止め、「これじゃいけない!◯◯駅を全面改装します!」といった決意も随時発信しています。

JR大阪環状線のおすすめ駅・おすすめスポット

【1】真田丸ゆかりの地「玉造駅」

玉造駅から10分程度歩いたところにある三光神社は、大阪冬の陣に幸村が築いた真田丸の跡地と伝えられています。境内にある幸村の銅像も見どころです。
好評を博した2016年NHK大河ドラマ「真田丸」効果もあり、近頃は多くの人がこのスポットを訪れています。

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【2】大阪で沖縄気分に浸れる「大正駅」

大正駅付近は、「リトル沖縄」とも呼ばれ、沖縄出身者が多く住んでいる地域です。その証拠に、駅付近の裏道を散策していると、沖縄料理屋がたくさん点在したり、普通の居酒屋でもオリオンビールを提供していたりと、やはり沖縄色が強い模様。京セラドームへの最寄り駅としても利用される駅でもあります。

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【3】大阪キタを代表する呑み屋街「福島駅」

大阪駅から環状線外回りで一駅の福島は、大阪キタを代表する呑み屋街のひとつです。大阪駅周辺ほど混んでいないので、手軽にいい店を見つけやすくなっています。オシャレなお店も多いので、デートや女子会利用にもうってつけ。コスパよくオシャレに飲みたいときにはおすすめです。

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この他にも、言わずもがな大阪の中心として駅周辺が進化し続けている大阪駅、日本一高いビル「あべのハルカス」がそびえ立つ天王寺駅、日本一長い商店街「天神橋筋商店街」の中心に位置し、市場や庶民的な呑み屋が軒を連ねる天満駅、焼肉屋が密集した大阪のコリアンタウンがある鶴橋駅など、見どころはたくさんあります。大阪観光の際に困ったときは、環状線に乗って各駅を回り歩くのも面白いですよ。

大阪環状線の改革はまだまだ続く

進化・変化に踏み切った大阪環状線を支えるのは、JR西日本職員の「もっと多くの人に愛着を持たれ、利用される路線に」という切なる想いです。「汚いけど、便利やし乗るわ」ではなく、「綺麗やし楽しいし、しかも便利やから乗るわ」と言われるような路線になるために、お客様第一で改造を進める大阪環状線のこれからが非常に楽しみです。

この記事を書いた人

〝汚くて当然〟は昔の話!真摯に革新を続ける「JR大阪環状線」のイマ(浪速のライター)

倉本祐美加

ライター

香川県出身、大阪府在住。IT企業でのインサイドセールス経験を活かしたマーケティング系記事や取材記事が得意分野。100人以上の友人にインタビューを行った経験も。
関西人以上に関西を愛し、飲み歩きや食べ歩きが趣味。

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