静岡県に生まれ、高校では山岳部に入部。世間に登山ブームが訪れる前に富士山登頂を果たし、「ひと足早い山ガール」となった私。
社会人になってからはアウトドア好きを生かして旅行広告のライティングを担当してきましたが、一番楽しい瞬間はやはり「山」のことを書くときでした。峰々を包む澄んだ空気、山頂から望む雲海……山には、登った人にしか味わえない魅力がたくさんあります。
中でも、富士山は日本一の山というだけあって格別です。神々しい御来光が見られることもあり、宿泊で行く方も多いでしょう。ただ、登山初心者の場合は「宿泊で富士山はハードルが高い」と感じるかもしれません。女性であれば、なおのこと不安が大きいはずです。
そこで今回は、私の過去の「トホホ」体験をもとに、富士登山に役立つ女性ならではの心得を3箇条にしてお届けします!
【心得1】メイクは薄化粧で挑むべし!
女性たるもの、できればメイクも普段通りでいきたいという方も多いでしょう。では、バッチリメイクで挑んでも良いものか?そもそも、登山に化粧はNGなのか?
私の過去の経験上、オススメは薄化粧です!
化粧をしても汗で落ちる
私が言いたいのは、”どうせ落ちるから洒落っ気は不要”ということではありません。化粧した顔をタオルで拭くと、タオルにべっとりとファンデーションやチークがついてしまうからです。
山に登る際、荷物は最低限のものに絞られているため、1枚のタオルがとっても貴重。富士山は砂埃が多く顔を拭く機会も多いので、次の日も使うタオルだと考えると、少しでも化粧品汚れは避けるべきだと感じました。
ちなみに私は、眉毛だけは何があろうと描いています。ここだけは!というメイクポイントを決めておくと、気分も上がるはずです。
メイク落としが使えない
登山において、水はとっても貴重です。よって、液体のメイク落としで顔を洗うのはNG行為。また、山小屋では夜の消灯が早め。翌日の準備をしているとあっという間に消灯時間になってしまうので、私は顔を洗うことすらままなりませんでした。
そのため、シートタイプのメイク落としで拭く程度にしておくと良いでしょう。液体のものは、気圧の変化によって染み出してザック中がべたべたになったという話も聞きますので、その意味でもシートタイプのメイク落としが便利であると言えますね。
日焼け止めだけはしっかりと
化粧は薄くてOKですが、日焼け止めだけはしっかり塗っておきましょう。私が特に大切にしているのは、UVタイプのリップクリーム。肌は入念にクリームを塗ったものの、塗り忘れた唇だけ日焼けしてガサガサになり、水ぶくれになったこともありました。何せ富士山は日本一の標高を誇る山。紫外線も強いので、これは大切なポイントです。
【心得2】ウェアはすぐに乾かすべし!
普段は当たり前の入浴も、当然ながら山ではNG行為。ただ、ずっと同じ服を着ているのはちょっと気が引けますよね。そんな中で私が導き出したベストアンサーは、「吸湿速乾ウェアを着ていき、山小屋で乾かしながら寝るときだけ別の服に着替える」です。
山での汗冷えをあなどるべからず
山を登っているとどんどん暑くなりますが、それは歩いている間だけ。その後に「汗冷え」が待ち構えていることを忘れてはいけません。
以前、荷物を減らすために着替えを持っていかなかったことがありましたが、山は夏でも防寒着が必要なほど寒くなるケースも多々あります。さらには汗冷えもプラスされ、寒さで眠れなくなることさえありました。下山して真っ先に土産物屋さんで「富士山 Tシャツ」を買って着替えたのも今では良い思い出。登山における体温保持の重要性を再確認できた一件でした。
ちなみにそのTシャツがこちら。裏に富士山がプリントしてあってかわいいんです!
吸湿速乾タイプなら翌朝にはさらさら
近年における登山ウェアの主流は、吸湿速乾タイプです。ただ、少しお値段が高めなので買うのをためらう方もいることでしょう。
汗を吸わない服は冷えますし、なにより私は汗の匂いが特に気になってしまいました。よって私は、吸湿速乾ウェアを強くオススメします!
山小屋に着いてすぐに脱げば翌朝にはちゃんと乾きますので、翌日も気持ち良く着られるはずです。
着替えの服はかさばらないものを
吸湿速乾ウェアを日中に着るために、夜の間は別の服に着替えましょう。下半身はあまり汗をかかないので、私は上しか持っていきません。着替えも簡単になりますよ。
天気が良ければ、翌朝にはあたりを朱赤に染める御来光に出会えます。
【心得3】「冷え」や「貧血」はアイテムを使って回避すべし!
「冷え」や「貧血」など、女子ならではの悩みは誰しもが抱えていることでしょう。私もその一人です。山では特に体調管理が難しいですが、ちょっとした工夫で軽減することができます!
貼るタイプのカイロで冷えを撃退
普通のカイロを大量に持っていったことがあったのですが、山では両手を自由に使える状態にしておくことが大事なので、ただ荷物になっただけでした。カイロは貼るタイプが断然オススメです。
せっかくなら冷えも解消したいと思って考案したのが、「背中に貼る」という作戦です。なんだか体が温まる気がして実践していたのですが、そこにはちゃんとした理由がありました。背中から腰に伸びる背骨の横には太い血管があるため、体の先端の方まで温まるのだそうです。
また、腰のあたりに貼ると、子宮に近いことから生理痛の緩和にも効果的です。
貧血は行動食を食べて解決
山に持っていく食べ物は、大切なエネルギー源です。最近ではチョコバーなどが主流ですが、だんだん飽きてきてしまい、気付けばテンションもダウン。
せっかくなら美味しくて貧血に効く食べ物を持っていけばいいのでは……と考えた結果、女子にベストな食べ物はずばり「デーツ」と「ミニトマト」という結論に至りました!
(1)デーツ
デーツとは、ナツメヤシの実のこと。高山病対策に効果的な鉄分をはじめとし、食物繊維やミネラルを豊富に含んでいます。普段とは違う環境で便秘になってしまうときなどにもオススメですよ。ドライフルーツなので、小さいポケットなどに入れておけば歩きながらでも手軽に食べられます。
(2)ミニトマト
意外だと感じる方も多いかもしれませんが、私は山で食べるミニトマトほど美味しいものはないと思います!当然ながら山での食べ物は、レトルト食品やゼリー飲料、手軽なクッキーなどに偏りがち。やはり女性としてはみずみずしい食べ物が恋しくなりますよね。そんなときに嬉しかったのが、ミニトマトでした。
手軽に食べられることはもちろん、実はミニトマトは普通のトマト以上に栄養が豊富です。鉄分やビタミンAは2倍近く含んでおり、疲労回復効果も期待できます。
快適な登山で人生に潤いを!
最後に、私が昨年の夏に富士山で見た天使の羽の形をした雲の写真を貼っておきますね。雲ひとつとっても、こんなに美しいものに出会えるのは霊峰富士だからこそと言っても過言ではないと思います。
ただ山に登る――。言ってしまえばそれだけなのかもしれません。それでも、富士山の頂に立ってみると、日々の喧騒に埋もれていた感性が覚まされるのを感じるはずです。ちょっと視点を変えるだけで色々なものが見えてくる……そんなことを気付かせてくれるのが「富士山」の魅力であると言えるでしょう。
今回ご紹介した3箇条を実践し、快適に富士登山を楽しんでもらえたら嬉しいです。