「ポケットモンスター」略して「ポケモン」。日本は勿論、今や世界中でもファンの多い大人気作品です。ゲームやアニメを中心に、20周年を超えた今も多くの人に愛されています。そんなポケモンですが、まだまだ最初のポケモン世代より上の層では「ポケモンは子供向け」と認識されている人も多くいます。また、ポケモン世代であっても大人になるにつれ、今はポケモンから離れているという人も少なからずいるのではないでしょうか。
そんな方達に今一度おすすめしたい、大人になった私達が昔のように夢中になって楽しめるポケモン作品があります。それが、漫画『ポケットモンスターSPECIAL』、通称「ポケスペ」です!
かつて小学館の学年誌で連載されていたため、第一印象はそれこそ子供向けのように感じるかもしれません。しかし、子供だけでなく、大人になった今だからこそより楽しめる要素が沢山詰まった、ゲームやアニメとはまた一味違うポケモン世界がそこにはあります。今回はそんなポケスペの面白さを、大人になった今も愛読し続けているファン歴19年の私が皆さんにご紹介します!
長寿漫画『ポケットモンスターSPECIAL』
ゲーム「ポケットモンスター赤・緑」の発売翌年、1997年から『小学四・五・六年生』で連載開始したポケモン漫画。現在は全て休刊しているため、主に『コロコロイチバン!』『サンデーうぇぶり』で連載中。シナリオは日下秀憲氏、作画は真斗氏(1〜9巻)、山本サトシ氏(10巻〜)が担当。ゲームの発売に合わせその都度新章として続いていき、2017年で連載20周年を超えた歴史ある長寿漫画でもあります。ポケモン生みの親である田尻智氏は、コミックスの推薦文に「僕が伝えたかった世界にもっとも近いまんがです」と寄せており、まさに原案者の考えるポケモン世界を味わえる作品と言えるでしょう!
夢や能力、ポケモンとの関わり方も人それぞれ!個性的な主人公達
ポケスペの魅力を語る上で第一に挙げたいのは、何と言っても個性豊かな主人公達です!章毎に異なる彼らは、その夢や得意分野、ポケモンとどう関わり生きているかも人それぞれ。
ゲームでは「ポケモンバトルで強くなること」が主に私達プレイヤーに与えられた大きな目的です。しかし、ポケスペにはポケモンがいるその世界で生活する住人ならではの、沢山の夢や目標を持った少年少女がいます。そんな彼らの数だけ物語があるので、ポケモンという世界観をより深く、様々な視点から楽しむことができるのです!その例を一部ご紹介しましょう。
二章主人公、ポケモンの声を聞き癒す「イエロー」
行方不明になった一章の主人公を探すため旅をする謎の少年・イエロー。ポケモンの声を聞き癒すことができるという特殊能力を持っています。その力からもわかるように非常に心優しい性格で、ポケモンの世界において戦いや進化が苦手、むしろ好きではないという珍しいタイプの主人公です。自らのポケモン自体もあまり強くなく、そんなメンバーと共に悪とも対峙していきますが、ポケモンを「友達」だと言う彼なりのポリシーを持って戦います!
三章主人公の一人、捕獲の専門家「クリスタル」
ポケモン捕獲の専門家である、真面目で礼儀正しい少女・クリスタル。その技術を見込んだ博士からの依頼で、ポケモン図鑑の完成を目指し旅立つことに。鍛えられた足技で、手を使わずにモンスターボールを操り捕獲するのが特徴。連れているポケモンもそのための精鋭部隊です。ポケモンの戦闘以外の魅力「捕獲」という分野を極める少女のプロ根性が垣間見えます!
四章主人公、おしゃれ少年「ルビー」と野生児少女「サファイア」
おしゃれ大好きな少年・ルビーの目標は、ポケモンの可愛さや格好良さを競うポケモンコンテストの全制覇。そして野生児少女・サファイアは、ポケモンの強さを競うポケモンジムの全制覇を目指しています。他の媒体では男の子主人公がジム、女の子主人公がコンテスト担当になることが多い中、敢えて男女逆パターンに挑んでいるのは連載当時とても斬新でした!少年が戦う以外の方法でポケモンを競わせること、少女が戦いで強さを求めること、それぞれのポケモンとの関わり方は本当に真摯です。
全ては紹介しきれませんが、勿論他にも男女問わず個性的な主人公達が沢山登場するので、是非気になるキャラクターを見つけて、彼らのことを知ってみてください!
どんどん広がり繋がっていくストーリーと世界観
ポケスペの魅力として欠かせないのが、その壮大なストーリーと、ポケモンという媒体を基に構築された作者独自の世界観です!そんな読み応えある内容の中で、特に注目してほしい部分をご紹介します。
各章の繋がりと主人公達の成長
ポケスペは現在一四章まで続いており、それぞれ独立した漫画としても読むことができます。同時に各章は全て繋がっているので、順番に読むことで章を超えた各主人公同士の関わりや大人数の共闘等、より世界が広がった物語を楽しめる仕様になっています。また、章が進むと時間も進むので、アニメやゲームでは中々見られない、主人公達が成長していく姿も見ることができます(最長で11歳〜16歳)。
章が終わればそこで彼らの物語が終わるのではなく、新章でその後の様子を発見するのも楽しみのひとつと言えるでしょう。
ゲームやアニメの良い人が悪役になることも
ポケスペのオリジナル要素としてよく挙げられるのが、ゲームやアニメで善人側だった人物の悪役化です。悪役に選ばれるのはジムリーダーや四天王等、他の媒体でも人気のあるキャラクターばかり。悪になった彼らも彼らなりの理想や美学を持っているので、普段とは違った姿を見たい方には是非おすすめしたい要素です!
危険と隣り合わせなポケモンバトルの迫力
ポケスペはバトルの迫力も話題です。ゲームのようなターン制ではなくアニメのように戦況を見て次々攻撃していきますが、相手によってはポケモンに命ずる人間自身の方に攻撃を仕掛けることもあり、戦いは危険と隣り合わせでもあります。悪役側がそうするのはよく考えると理に適っていますが、他のポケモン媒体ではあまり描かれていません。ポケモンは優しいだけではななく、接する人間によって悪になったり、扱いを間違えると危険な存在になったりする、という部分まで描いているのがポケスペです。それでも主人公達と力を合わせて戦う姿は、とても格好良く感じられます。
大人が見ても楽しいポケモン
以上紹介してきたことから、私はポケスペを「大人が楽しめるポケモン作品」だと位置付けたいです。最近ではアプリ「ポケモンGO」等でより多くの人に広まったポケモンですが、より壮大な世界観や深いストーリーを求めている大人な皆さんは、是非『ポケットモンスターSPECIAL』で新たな旅に出てみてくださいね!