【超入門】これまでの人工知能とは何が違うのか?5分で分かる「ディープラーニング」の仕組み(ITライター)

●今までの人工知能は「命令文」が中心の思考回路を持ち、ディープラーニングは「ネットワーク」が中心になっている。
●ディープラーニングを使った人工知能の思考回路は人間にも分からない。
●映像・音声・言語認識能力に優れており、関連技術が急激に進歩している。
●人工知能が搭載される製品・サービスは増え、私達の生活が大きく変わる。

ここ最近、ビジネスの世界で人工知能が取り上げられる機会が増えてきました。その要因となっているのは「ディープラーニング」と呼ばれる技術の登場です。

この技術が広く知られる以前、私は就活の際に「人工知能を米国の大学で学び興味を持ったので、日本の仕事にも活かしたい」と言ったことがあります。それは日本人なら誰でも知っている企業での最終面接、面接官も技術に疎い人事担当ではなく技術部門の方でした。しかし反応は芳しくなく、どちらかと言えば残念な顔をされたように思います。もちろん選考には落ちました。今では笑い話ですが、今や時の人となった人工知能の専門家、東京大学准教授「松尾豊」氏も若い頃に同じような体験をしたと著書の中で語っています。

なぜなら、人工知能というものは数年前までは「終わった技術」もしくは「SF世界の夢物語」だと思われていたからです。しかし、それが今大きく変わろうとしているのです。ここまで大きく社会を変えた「ディープラーニング」というものは、今までの人工知能とは何が違うのでしょうか?

ディープラーニングは人工知能技術のうちのひとつ

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既に知っている方も多いと思いますが、まずは簡単にディープラーニングについておさらいをしましょう。
ディープラーニングとは、人間の脳内にあるニューラルネットワークと呼ばれる神経細胞を参考にして作られた人工知能技術のうちのひとつです。また、ディープラーニングは「機械学習」と呼ばれる人工知能が自ら学んで成長するメカニズムを持ち、その分野に特化しています。原案は昔からありましたが、インターネットの発達とビッグデータの活用によって賢くなり、大きなブレイクスルーを果たしました。

囲碁で人間を破った「AlphaGO」やゲームを自力でクリアする「Deep-Q-Network」も、ディープラーニングを使って作られた人工知能です。この他にも、映像解析や言語翻訳においてディープラーニングは大きな成果を上げています。

ディープラーニングは今までの人工知能と「思考回路」が違う

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ディープラーニングについて簡単に説明しましたが、正直なところ、詳しく説明されたとしても専門家でなければ分からないと思います。とはいえ、当記事においては、ざっくりとどんなものなのかについて把握していただければ十分でしょう。問題は「ディープラーニングが今までの人工知能と何が違うか」という点にあります。実は、この2つは思考回路の作りが根本的に異なっているのです。

今までの典型的な人工知能は、基本的には膨大な数の「命令文」に従ってきました。言ってみれば、頭の硬いマニュアルワーカーです。「ああいうのパターンが出てきたらこういう動作をしろ」という命令文に従って行動していました。もちろん、機械学習によってパターンの見分け方や動作のバリエーションを増やすことができますが、基本的には人間の命令文の枠内です。

ディープラーニングを使っている人工知能でもいくつかの命令文は使います。しかしながら、その数は圧倒的に少なくなっており、ディープラーニングの思考回路にあたるニューラルネットワークを学習によって進化させることで、高度な問題を解決する人工知能を作っています。つまり、思考回路のメカニズムが「命令文」か「ネットワーク」かの違いがあるということです。

ディープラーニングの人工知能は何を考えているのか人間にもよく分からない

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命令文というものは非常に論理的であり、機械だけではなく人間にとっても分かりやすいものとなっています。しかし、ネットワークによる思考回路は非常に複雑であり、人間が見ても理解できません。
ディープラーニングのなかで人間が作ったのは「思考するネットワークが作られるしくみ」だけです。人間の脳と同じく、学習を経てネットワークが作られた後の回路については作った人間にもよく分かりません。ディープラーニングが使われている人工知能では、人工知能が「具体的に何を考えているのかよく分からない」のです。

そのため、人工知能が間違いを起こした場合、ネットワークをちょちょいといじれば直るわけではなく、学習をやり直すことによって間違わないように再教育する必要があります。以前の人工知能であれば、間違いの原因になったと思われる命令文を修正すれば良かったので、ある意味では面倒になったと考えることもできるかもしれません。
とはいえ、命令文を書き換えられるのはその道のプロだけです。問題集を解かせるだけで済む再教育の方が実は簡単なのです。これもまた、ディープラーニングが注目される理由のひとつと言えるでしょう。

ディープラーニングで機械の「理解力」が向上する

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ディープラーニングが登場した事によって大きく変わったのが「映像・音声・文章」の理解力です。普通の計算だけではなく、アナログで曖昧な要素を理解できるようになったことで、機械の能力が大きく進歩しました。

まず、映像認識力が向上したため、「人の顔」「文字」「物体」について映像を見ただけで理解できるようになります。人間の姿や顔を認識し、看板の文字を読むことができるようになれば、自動運転などの技術が大きく進歩するでしょう。
これは、メンテナンスや不具合発見にも繋がります。部品の小さな亀裂や軋む音の変化から、不具合の予兆を検知し、技術者に通報できるようになるのです。

また、文章についての理解力も向上したため、人の言葉を聞いて理解し、本を読んで内容を理解することが可能になります。人工知能の「理解」のレベルについては議論の余地がありますが、少なくとも人間側の要望がハッキリとしていれば、簡単な指示には答えてくれるようになるでしょう。

ディープラーニングで私達の生活は便利になる

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一言で言えば、ディープラーニングによって私達の生活は楽になります。例えば、自動運転車が広まり、人間が運転する必要のあるケースが減ります。そして、自動ブレーキなどの安全装置も進化するので、事故件数も劇的に減るでしょう。
また、監視カメラで顔や動作を認識できるようになるため、犯罪行為そのものを監視カメラが理解できます。カメラに犯罪行為を捉えられたら最後、犯人が誰で、どこに逃げたのかまで分かるようになるはずです。

その他にも、人間の仕事が減ることは間違いありません。仕事の分担が進み、今までの仕事が飛躍的に速くなるはずです。荷物の当日配送が広がり、トラブル時のサポートも24時間即対応が当たり前になるかもしれません。単純に「人間が一人でできる仕事量が増える」ということです。もちろん、人間が必要なくなる仕事もあるでしょう。

すべての人に関わる人工知能の進化

このディープラーニングの登場から始まった人工知能の進化は、ありとあらゆる人に関係があります。「人工知能の入った製品を買うお金がないから自分には関係無い」ということもなく、公共サービスや企業サービス全てに人工知能が関わるようになります。

もはや、生活の全てが変わると言っても過言ではありません。急に色々なものが変わり始めるので、ぼーっとしていたらすぐに置いて行かれてしまいます。常にアンテナを張っておき、人工知能の進化についていけるようにしておきたいところです。

この記事を書いた人

【超入門】これまでの人工知能とは何が違うのか?5分で分かる「ディープラーニング」の仕組み(ITライター)

三津村直貴

ライター

福島出身。米国の大学でコンピューターサイエンスを専攻し、アプリ開発・人工知能・ネットワーク・職業倫理などを学び卒業。
日本の一部上場企業に就職後、IT関連製品の企画・マーケティングなどに従事。退職後はライターとして技術・医療・軍事関係のコラムやWEBコンテンツなどの幅広い執筆活動を行う。
電子書籍『人工知能<超入門> (ImpressQuickBooks)』などを執筆。

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