TV番組『フリースタイルダンジョン』『高校生ラップ選手権』などが火付け役となり、再度ブームが到来している日本語ラップ。メディアへの露出もどんどん増えており、徐々に身近なカルチャーへと成長しています。ヒップホップ・ラップの最大の魅力は、ビートさえあれば場所を問わずできてしまう手軽さにあります。みなさんのなかにも、「実際にやってみたい」と思っている人もいるのではないでしょか。
ラップを始めようにもどうすればいいのかわからず悶々としている人もいるかもしれません。そこでオススメしたいのが、サイファーへの参加です。私自身、このサイファーに実際に参加して、ラップを思いっきり楽しんでいます!
とはいえ、私自身も最初はルールがわからず、常におどおどしていたように思えます。ガイドブックのようなものが無いのである程度は仕方ないのですが、はじめのうちは周りに迷惑をかけていました。そこで今回は、私が実際に参加して気付いた、サイファーに参加する際の心得を3つご紹介します。
そもそもサイファーってなに?
サイファーとは簡単に言うと、ラップを使って会話するというヒップホップ文化の原型のようなものです。複数人が輪になって、即興で好きなようにラップ(フリースタイルラップ)をします。
最近では、日本中のいたるところでサイファーが開催されています。『地名+サイファー』で検索すると案内などが出てくるので、参考にしてみましょう。
【心得1】ヒップホップ流のジェスチャーで挨拶すべし
サイファーに参加する際、『こんにちわ~』などと言って入るわけではありません。加えて言うなれば、みなラップをしているのでそんな余裕もない状態です。よってラッパーたちは、独自のジェスチャーによって挨拶を行っています。
基本型は、『手のひら同士で軽くタッチ⇒拳を付き合わせる』です。
地域によっては少しアレンジされているところもありますが、基本的には上記のジェスチャーで問題は無いでしょう。
ちなみに、私が参加しているサイファーでは「拳の部分で右太ももを触る」にアレンジされており、挨拶代わりにみなでじゃれ合っています。とても楽しいです。
初めて参加する場合は、無理せず口頭による普通の挨拶で良いでしょう。その後はどんな挨拶をしているのかを観察し、遅れてやってきた人がいれば、見よう見まねでもいいのでぜひ挑戦してみてください。
郷に入れば郷に従え――。周囲の真似をしてラッパーとしての登竜門をくぐり抜けて欲しいです。
【心得2】小節途中でのマイクパスは控えるべし
初めのうちは、リズムに乗り切れずラップがぐちゃぐちゃ、ということはよくあります。私も、始めたころのラップは聞けたもんじゃありませんでした。Like a 朗読です。
それでも、小節の途中でラップをやめてしまうのはあまり良くありません。なぜなら、小節の途中で渡してしまうと、次の人が入るタイミングがわかりづらくなってしまうからです。私自身、何度かこのミスしてしまったことがあり、『えっ!?』っという目で何度か見つめられました……。
とはいえ、音楽をやったことのない人にとっては小節という言葉自体さっぱりでしょう。私も最近知ったぐらいです。簡単に言うと『1,2,3,4,2,2,3,4』とリズムに合わせて数えていったときの、4の部分が1小節の終わりなので、そこで渡すということです。
ただ、知っていたとしても、何回かはミスをしてしまうとは思います。ちょっと難しいですが、繰り返してラップをすればビートに慣れてスムーズに渡せるようになるはずです。積極的に挑戦してみましょう!
【心得3】タイミングがカブっても譲らず押し通すべし
サイファーでは、基本的に時計回りで順番通りにラップをしていきます。ただ、たまに盛り上がると、他の人が割り込んできてラップをするという状況が発生します。私も、思い切って声を出したはいいが誰かと衝突。つい「僕のラップなんかより……」と譲ってしまうことが多々ありました。
そうすると、もし向こうが気を遣い譲ってしまったときに、沈黙の時間が生まれてしまい、場が冷めきってしまいます。正直、この空白の時間は非常に気まずいですし、かっこ悪いです。だからこそ、このような場合は譲らずに押し通して、沈黙を作らないことが大切です。初心者だからといって遠慮せず、ガンガン攻めていくのがヒップホップの流儀ですよ!
【応用編】ラップにはオチをつけるべし
ラップには、オチをしっかりとつけるようにしましょう。というのも、もしマイクパスした気でいたとしても、ラップに落とし所がないと、次の人が「まだラップが続くのかな?」と思いパスに気付かないことがあるからです。つまりは『えっ?終わったの?』という状態ですね。
こうなってしまうと気づくまでの数秒間、沈黙の状態ができてしまいます。ハッキリ言うと、この状況は非常にダサい……。ただ、ラップを始めたばかりだと、やることが多くて頭がこんがらがってそんな余裕はなくなるのが普通です。私も始めたてのころは、何度も落とし所のミスをしてしまいました。
私自身がこれを回避するためにやっていた方法は、「『マイクパス』というフレーズを言ってパスをする」というものでした。シンプルですが、かなり効果があります。相手にも終わったと知らせられるうえに、バシッとにシメることができます。積極的に使っていきましょう!
見学でもいいのでサイファーに行ってみよう
これらが、サイファーに参加するうえで欠かせない暗黙ルールです。ただ、右も左もわからない初心者が守りきれるかと言われれば、難しいところもあります。
しかし、守れなかったとしても出禁になるようなことはないので安心してください。もし不安であれば、最初は見学だけでも全然かまいません。みんなも歓迎してくれるはずです。少しずつルールを覚えて、一緒にサイファーを楽しみましょう!