離婚がしたい!強くこう願ったとしても、スムーズに離婚することはまず無理な話です。夫婦だけで離婚について話し合っても大体はこじれ、もつれ、そしてますます関係は悪化……話は泥沼化していきます。
なるべくどちらともが納得できるように離婚したいのであれば、夫婦二人だけではなく早い段階から第三者の手を借りたほうがいいでしょう。その最たるものが弁護士ですが、お金持ちしか雇えないというイメージがありますよね。
でも大丈夫!日本司法支援センター「法テラス」を利用すれば、お金がなくとも弁護士を雇っての離婚は可能です。今回は、法テラスを利用してお金をかけずに弁護士を雇い、最小限のストレスで離婚する方法を筆者の経験を元にご紹介します。
法テラスの弁護士に相談する前に相談内容をまとめておこう
日本司法支援センター「法テラス」、離婚を考えているならこの名称をご存じの方も多いことでしょう。法テラスとは、お金がない人でも弁護士に依頼できるよう作られたありがたい機関です。
まずは法テラスの利用方法と、法テラスで見つけた弁護士に相談する際のポイントをご紹介します。
法テラスの利用方法
法テラスを利用したいときには、まず自宅近くで開催される法律無料相談会を地元の広報などで探してみてください。今すぐ相談したい方は、お住まいの地域にある弁護士会へ、法テラスを利用した無料法律相談の問い合わせ、および無料相談の予約をしてください。
法テラスを利用した法律の無料相談は、30分3回まで受けられます。この際、本当に収入がない又は少ないのか確認され、法テラス利用のための申込書に署名が必要となります。しかし難しい手続きはなく、法テラスへの手続きはすべて弁護士が請け負ってくれますので安心してください。
弁護士に相談するときのポイント
法テラスでの無料法律相談は時間が限られていますから、スムーズな相談のためにあらかじめ要点を整理しておきましょう。
・親権や財産分与についての確認
親権を必ず取りたい方は、離婚までに注意する点を聞いてください。また財産分与において、資産よりも負債が大きい方は負債の分担方法などもチェックしておくと安心です。
・相手方の有責の証拠について
相手方の不倫やDVなど、有責となる証拠があって離婚する場合には弁護士にその証拠も見てもらいましょう。自分では証拠となり得ると考えているものでも、法的にはまったく証拠にならないものも多いのが実際です。
・有責の証拠の取り方
まだ相手方が有責だという確実な証拠を握っていない方は、証拠の取り方を伝授してもらいましょう。証拠に使える日記の書き方、経済的DVの証拠の取り方など素人には難しい部分を教えてもらえます。
・いい弁護士には迷わず依頼!
相談をしてみて信頼できる弁護士だと感じたら、迷わず弁護を依頼しましょう。
弁護士に相談する際の注意点
弁護士に相談する際、これだけは気を付けてほしいということが1点あります。それは「絶対に弁護士に隠し事はしない」、これだけです。
相手方だけではなく自分にも有責となり得る事項がある場合には、包み隠さずその部分も相談してください。相談内容に虚偽があることが判明すると、大切な場面で弁護をしてもらえなくなる可能性があります。
離婚調停自体にはほとんど費用はかからない
続いて、離婚調停(夫婦関係調整調停)の申し立て方法について解説します。離婚調停という言葉の響きからハードルが高いと感じる方も多いようですが、協議離婚が難しそうだと判断したらすぐに離婚調停に進むことをおすすめします。離婚調停を行うことで、離婚にかける精神的・金銭的負担を軽くし、離婚までにかかる期間を最短にすることが望めるからです。
離婚調停に必要なもの
夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)、年金の情報通知書、印鑑(認印可)、収入印紙代1,200円と郵便切手代合わせて現金2,000円ほど。(別居中の調停申し立ては、相手方の住む地域の地方裁判所へ)
家庭裁判所では、夫婦関係調整調停申立書への記入を求められます。その場で記入、提出することも可能ですが、落ち着いて記入したい方は一度持ち帰り、後日提出しても大丈夫です。記入の際解らないことがあれば、裁判所の職員が親切丁寧に教えてくれます。
手続きが完了すると、申し立てから約1か月後に第1回調停が開始されます。調停の前には夫と妻の両方に裁判所から調停日時の案内が郵送で届きますので、こちらから相手方に直接連絡を行う必要はありません。このように、離婚調停はまったくの素人でも簡単に、しかもお金をかけずに開始することができます。
調停はすべて弁護士任せでOK!
離婚調停が開始されたら、後はすべて弁護士に一任しておけば相手方と一切顔を合わせることなく離婚することも可能です。特に相手方と顔を合わせることができない事情があるという方は、離婚調停を申し立てるときにその旨を伝えておきましょう。
・話し合い中に暴力を受ける可能性がある
・相手方によるストレスにより精神的疾患を持ってしまっている など
これにより、相手方と顔を合わせないように配慮した形での調停が開始されます。話し合いの場には申立人(自分)と相手方が交互に呼ばれ、待合室もバッティングしないよう離れた場所にしてもらえます。このスタイルをとると、相手方が調停員との話し合いをしている間こちらは待合室で弁護士と打ち合わせをすることができますし、精神的なストレスを大きく減らすこともできます。
一度の調停で決着がつかなった場合には、1か月間隔で最高6回まで調停が行われ、それでも決着がつかなければ審判へと移行しますが、大抵は調停で決着がつくでしょう。調停が終了すると、親権、財産分与、慰謝料についてなどの決定事項が記載された「調停調書」が発行されますので、大切に保管してください。
弁護士への報酬は調停終了後に支払うことになりますが、着手金・報酬は法テラスから弁護士に支払われ、法テラス利用者は法テラスへ毎月分割で弁護士費用を返済していくことになります。返済額は毎月5,000円からとなっていますが、経済的に困窮している状態であれば支払いについて法テラスが個別に相談に乗ってくれますので、安心してください。
筆者は離婚時入院加療中であったため、最低支払の5,000円よりも低い3,000円にしてもらえました。最後に、筆者が法テラスを利用し離婚調停した際にかかった実際の費用をご紹介します。
離婚調停と婚姻費用請求調停合計で197,000円、法テラスを利用しない場合の着手金ほどとなりました。親権・養育費・面会交流など離婚以外の調停も行った、慰謝料を受け取った等があれば筆者のパターンよりもその分費用は上乗せされます。
行動しなければ現実は変わらない!少しの勇気で離婚を勝ち取ろう
離婚したいと念じるだけでは、現実は変わりません。離婚調停は少しの現金があれば可能ですし、貯蓄がなくとも分割払いで弁護士に依頼することも可能なのです。法テラスへの支払いも融通が利きますので、金銭面に不安があり返済が困難な方は法テラスへ直接相談してみてはいかがでしょうか。