世の中には、数多くの“習いごと”が存在します。その中でも、親が子供にさせる習いごとと言えば、ピアノや英会話、スイミングスクール、学習塾などが挙げられるでしょう。
子供の可能性は無限大といっても過言ではありません。習いごとをさせる目的はなんであれ、子供は、教えたことをなんでもすぐに吸収します。そして、テレビでよく見る“天才キッズ”と呼ばれるような子供のように、時に大人の想像をはるかに超えた力を発揮するのです。
“天才キッズ”とまではいかなくとも、子供が習いごとで力をつけて一定の成果を上げるには、毎日の継続的な練習や学習が必要なのは、もはや言うまでもないかもしれません。私も幼い頃から習いごとの「そろばん」を続けていましたが、継続した練習がなければ、大会でいい成績をとることなど、きっとできなかったと思います。なにをするにも継続してこそ、その意味があるのではないでしょうか。
しかし、この“継続する”というのはかなり大変です。
今回は、習いごとの「そろばん」を6歳から11年間続け、多くの珠算大会で優勝してきた私が「どうすれば子供に習いごとを続けさせることができるのか」について、自らの経験を基に、その方法をいくつかご紹介していきます。
習いごとが続かないのは子供が悪いの?
「子供の習いごとが続かなくて困っている」という話はよく聞きます。親が子供を習いごとに通わせても、子供自身が、その習いごとに興味を失うと、「面倒くさい」などの理由で次第に辞めていってしまいます。
習いごとが続かずに辞めてしまうのは、子供だけが悪いのでしょうか?
確かに、飽き性の子供はいますし、習いごとを続けるためには、子供本人の努力が必要なのは言うまでもありません。しかし、子供が習いごとを続けるためには、子供の努力と同じくらい、親のサポートが大事であると感じます。
私の親は、私が習いごとであったそろばんを継続できるように、様々な方法でサポートし、“そろばん”に関心を持たせ継続させました。そのおかげで私は、高校3年生までそろばんを辞めずに継続できましたし、逆に親のサポートがなければ、途中で飽きて辞めていただろうとさえ思います。
そのような経験から感じるのは、「習いごとが続かないのは、子供だけが要因ではない」ということです。親が熱心にサポートすることで、飽き性の子供も習いごとを続けられるようになるのではないでしょうか。
まずは子供の習いごとに、親自身が興味・関心を持つことが大事だと思います。子供が習いごとを“辞めない工夫”を親が考えて、そして実行していきましょう。
習いごとを継続させるためには?
例えば、勉強していたのに、うるさくて集中できなければ、勉強を辞めてしまうかもしれませんよね。静かであれば勉強を続けることができたのに、“うるさい”という理由で継続できなくなってしまいます。
このような場合、子供は安心して習いごとを継続することができません。子供にやる気があっても、継続する“環境”が整っていないということでしょう。
“環境”とは、ただ単に場所的な“環境”をいうだけなのでしょうか。私は“子供の習いごとに対する親の姿勢”なども子供にとっての“環境”なのではないかと考えます。子供が習いごとに興味を持ち、楽しみ始めれば、自然と長続きしていきます。子供が習いごとに対して興味を持ち楽しめるように、親が工夫し、やる気を出させる姿勢も子供にとっての“環境”なのだと感じます。
このように、子供が習いごとを継続するために大事なのは、習いごとが継続できるような“環境”を親が整えてあげることではないでしょうか。
どのように“環境”を作り出せばいいのか?
それでは、親がどのような“環境”を作っていけば、子供が習いごとを辞めずに続けられるのでしょうか。私の親が実際に私に対して工夫して行った“環境作り”をご紹介していきます。
習いごとを生活の一部に組み込ませる
習いごとの時間を生活のサイクルの一部に組み込んでしまうのです。私の場合、学校から帰ってきた夕方の6時~8時くらいまでは“そろばんの時間”でした。物心ついた頃には、そろばんはすでに私の生活の一部でした。私の中では無意識のうちに“そろばんの時間”が作られていたのです。
一度生活の一部として組み込まれてしまえば、習慣なのでなかなか変わることはありません。しかし、生活の一部として浸透するまでが大変。親は、決まった時間になったら、習いごとをするように子供に促し、一定の課題が終わるまでちゃんと監視しなければなりません。「この時間は習いごとの時間」と子供に思わせることで、習いごとを習慣にしてしまいましょう。
楽しみを見つけさせる
習いごとでの練習を続けるのは子供にとっても大変なことです。しかし、時にご褒美を用意してあげることで目標ができ、それに向かって頑張ることができます。
私の場合は、コンクールなどの大会のたびに「優勝したらアレ、2位ならコレ、3位ならコレを買って」といったように、大会の結果によってご褒美をおねだりしていました。子供のやる気につながるのであれば、物で釣るのも悪くないと思います。そして、子供が結果を出したときには、快くご褒美を買ってあげましょう。
私は大会や試験のたびに、このご褒美を決めるのが楽しみでした。そして、親と相談して決めた後には俄然やる気が出ます。好きな物を簡単に買ってもらう口実になっていたので、目標に向かって必死に練習するようになったのではないでしょうか。
上達する喜びを感じさせる
成績が上がるとやり甲斐につながります。これは、大人も同じでしょう。私の場合は、始めて受けたそろばんの検定試験は7級でしたが、上達が早いとみると、検定試験もしないのに、先生が上位の級の問題集をどんどん渡してくれました。頑張れば頑張るほど、6級・5級……と上の級にあげてくれたので、とても嬉しかったし、やる気が出たことを思い出します。結局7級の検定試験の次に受けた試験は3級で、6歳の一年間で2級まで合格することができました。
このように、上のランクにどんどん挑戦させることが、上達する喜びにつながり、さらにやる気につながると思います。親は子供に「もっと上達したい」と思わせ、夢中にさせることが必要ということですね。
最終的には“辞める理由がない”を目指す
これまで書いてきたように、「親が“環境”を整えていけば自然と習いごとは続いていくのではないか」と経験上そう感じます。子供にとって、“意識していないけれど、自然になんとなく続いている”状態にもっていくことができればよいのです。子供自身が習いごとの楽しさや、やり甲斐を見つけることができれば、気づいたときには習いごとを辞める理由はなくなっていることと思います。
私もそろばんが生活の一部であり、毎日の練習が当たり前だと思っていました。毎日そろばんの練習をするうちに、“続ける理由もないが、辞める理由もない”という境地に達していたのです。
もし、ご自身の子供がそのように感じているのであれば、その時点でかなり継続しているでしょうし、かなり力をつけてきているのではないかと思います。
是非、子供に習いごとをさせている親の方々は試してみてください。「習いごとが続かない」と悩むことがなくなるかもしれません。