メタルの帝王「Ozzy Osbourne」と彼を支えた”最高”のギタープレイヤーたち(音楽ライター)

●メタルの帝王「Ozzy Osbourne」は、優れたシンガーであるだけでなく、人材発掘も上手かった。
●Randy Rhoadsはクラシカルな抜群のメロディーセンスを持つ。
●Jake E. Leeは疾走感にあふれ、非凡な発想力がある。
●Zakk Wyldeは重厚な音と器用で正確なプレイが魅力。
●個人的に最高だと思うギタリストはZakk。

ヘヴィメタルの源流・元祖であるとも言われるのが、68歳になった現在でも精力的に活動しているOzzy Osbourne。悪魔崇拝を感じさせるような演出やコウモリを食べるなどの奇行により『マッドマン』と呼ばれているが、彼の楽曲はデビューからおよそ五十年経った今でも人々の心を掴んで離さない。
ロックやメタルというジャンルはギターが占めるウエイトが非常に大きく、優れた曲には優れたギターが必須である。1979年のソロ活動開始以来、Ozzyはオーディション等で有望な若手を見いだしてきた。その人材発掘能力によって彼のバンドは常に一流であり続けたのだ。

その中でも歴代最高のギタープレイヤーは誰か?

ファンの間でも意見が分かれる永遠のテーマである。それぞれが強烈な個性を持ち、確固たるスタイルを確立した名プレイヤーだ。是非、聞き比べていただきたい。今回はギター歴15年で中学時代からOzzyを聞き続けている筆者が、独断と偏見に基づいて選んだ3人を紹介していく。

【1】悲劇の天才「Randy Rhoads」

1982年、25歳の若さで飛行機事故により亡くなったRandy Rhoads。現在も彼をOzzyバンドの歴代ナンバーワンに推す声は多い(特におじさんたち)。
女性に見間違えられることもある華奢な容姿とギュンギュン飛ばすピッキング・ハーモニクスのアンバランスさは絶妙で、非常に華があるプレイヤーである。ギターオーディションで彼がチューニングしているのを見たOzzyが「お前に決まりだ」と即決したエピソードは有名だ。

母親が経営する音楽学校でクラシックギターの講師をしていたこともある理論派だが、荒々しいロックサウンドもまた素晴らしい。


Tribute(1987)に収録。

クリームホワイトのレスポールカスタムと並んで、彼のトレードマークになっているドット柄のフライングVを使用している。
今ではメタルの必須項目になっている速弾きに関しては、Paul Gilbertのような後の世代のテクニカルな面々と比べたら少し物足りないような気もする。しかし、この曲で注目すべきは構成力とメロディーセンスである。特にソロ部分ではクラシックの素養を持つRandyの才能が余すことなく発揮されているのだ。

この動画には前半・後半と2回ギターソロがあるが、対になるような構成になっているのが分かる。
2:17~はメジャー・ペンタトニック風のオーソドックスなロックギター。
4:20~はマイナーで、速さよりもメロディーを重視したヨーロピアンなRandyスタイルを堪能できる。

【2】LA感あふれる個性派「Jake E. Lee」

Randyの死後、次に発表されたスタジオアルバムBARK AT THE MOON(1983)から参加したのがJake E. Lee。アメリカと日本のハーフで、黒髪を振り乱すノリノリの演奏姿と疾走感あふれるリフは、見た者の記憶に残る。

よく歪んでいながら中音域がクッキリと聞こえる独特の音はかなり個性的で、何を弾いていても「Jakeの音だ」と分かるほど。そのLAを感じさせる乾いた雰囲気は、90年代以降の重厚なサウンドと比べるとかなりロック寄りだ。


BARK AT THE MOON(1983)に収録。

使用しているのはシャーベルのロゴが付いた白のカスタムストラトキャスターで、黒のピッグガードが印象的だ。各部に様々な改造を施されていることからも、細かい音作りに対する情熱が窺える。

2:09~のソロでは非常に勢いが良いロックフレーズが続いている。特に奇抜なことをするわけではないのにスリリングでトリッキーな音選びが秀逸で、凡人にはない発想の豊かさを感じさせる箇所だ。

ライブではアレンジが強いタイプであるため、映像によって違ったソロを聞けるのも嬉しいところ。

最強の完成系「Zakk Wylde」

筋肉隆々で髭だらけ。その名の通り「ワイルド」な風貌とスタイルが持ち味のZakk Wylde。Twitterをマメに更新してファンと交流していたり、サッポロ黒ラベルが好きすぎてバンドにBlack Label Societyという名前を付けたりと意外な一面もある彼だが、ヘヴィな音や豪快さと共に注目したいのが正確性と多彩さである。

常にレコーディングクオリティ、さらに速弾きからカントリーまでこなすZakkの妙技をフルに体感するには、ライブ盤をおすすめしたい。


LIVE AT BUDOKAN(2002)に収録。

「ブルズアイ」と呼ばれるサークルペイントが施されたレスポール。ピックアップはアクティブのEMG81と85が使われている。足元がシンプルなわりにヘヴィでパワフルな印象だが、超絶に太いゲージとEMGの影響が大きそうだ。

この曲でもRandy Rhoadsのプレイをほぼ完全にコピーしていることから彼へのリスペクトが感じられるが、イントロからの鋭いピッキング・ハーモニクスと安定感あるプレイはZakkらしい名曲の「正統進化」と言えるだろう。

3:14~のソロでは、抜群のテクニックが見られる。重く歪んでいながら潰れていない、伸びのある音も魅力だ。

スター揃いの歴代ギタープレイヤー、誰が最高か?

今回紹介した3人の他にもナイトレンジャーの「Brad Gillis」、ファイヤーウインドの「Gus G 」など一流プレイヤーがOzzyのバンドに参加していた過去がある。興味がある方はライブアルバムを中心に辿っていくと良いだろう。

当然、全員ギターが上手い。しかし……

・重たいサウンドがOzzyのダークな世界観にマッチしている。
・Randy Rhoads時代の名曲をパワーアップさせつつ、自身も多くの名曲を生み出している。
・安定感がある。
・マッチョでかっこいい。

などの理由から、個人的にはZakk Wyldeを推したい。特にLIVE AT BUDOKAN(2002)は歴史に残る名盤である。

この記事が、Ozzyを知らなかったメタル初心者が興味を持つきっかけになれば幸いだ。
そしてOzzyファンを見かけたら「誰が最高のギタープレイヤーだと思う?」と話しかけてみて欲しい。きっと、親友になれるか、殴り合いになるかの二択だろうけど。

この記事を書いた人

メタルの帝王「Ozzy Osbourne」と彼を支えた”最高”のギタープレイヤーたち(音楽ライター)

鷹崎 泉

ライター/放送作家

92年生まれ、放送作家。東京在住。専攻は法律。ギター、バイクとミステリー小説を愛する。

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