郷土料理「セビーチェ」をご家庭で!簡単でおいしいペルー料理のレシピ(グルメライター)

●豊かな国土に恵まれたペルーは、食材豊かな郷土料理がたくさんある。
●代表的なペルー料理と言えば、セビーチェ!ペルーの魅力と歴史がたくさんつまっている。
●セビーチェの味付けはとてもシンプル。好きな具材で家庭でも簡単に作れる。
●人気のパクチーをふんだんに使ったパクチーソースを、家庭でも作ってみよう!
●ペルー人は辛い料理が大好き。トウガラシのソースはあらゆる料理に欠かせない。

ペルーと聞いて、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?海外旅行がお手頃になった現在でも、南米ペルーはおせじにも近いとは言えません。それなら、料理を通じてペルーの魅力を堪能してみてはいかがでしょうか?料理は、その国を知るにはもってこいの手段です。
当記事では、日系ペルー人3世のママのもと、ペルーレストランで3年間働いた私が、おすすめのペルー料理をご紹介します。

ペルー料理の基礎知識

日本の3.4倍の広大な国土を持つペルーは、アンデス山脈が連なる高地、沿岸部、アマゾン川流域の三つに分けられます。山と海の両方に恵まれた国土のため、様々な食材がそろっています。さらに、先住民のインディオ、大航海時代に大陸に渡ってきたスペイン人、移民としてやってきた日本人、中国人、イタリア人等が持ち込んだ食文化が入り混じり、様々な郷土料理が生まれました。パクチー(スペイン語ではCulantro)が香辛料としてふんだんに使われているのも特徴です。
私とペルー料理の出会いは、ボリュームたっぷりの写真を見て、ここならお腹いっぱいに食べられそうだと思い、ふらりと近所のレストランに入ったことからです。その味のとりこになり、一年後にはアルバイトを始めることになりました。

ペルーの郷土料理「セビーチェ」

おいしいまかないと共に最高のアルバイト生活を送った私が、絶対におすすめするのが「セビーチェ」です。セビーチェは、ペルーを代表する郷土料理のひとつ。生の魚介と紫タマネギに、レモン、塩、コショウ、おろしニンニクで味付けをし、パクチーをかけたマリネ料理です。
実は、ペルーの魅力と歴史がたくさんつまった郷土料理なのです。ペルーは、他の南米諸国と比べて新鮮な魚介がとれるため、生で魚を食べる習慣がありました。そこにやって来たのが、大航海時代のスペイン人。新鮮な魚介に、自国から持ってきたレモンをかけて食べたのが、セビーチェの始まりとされています。

こうして誕生したセビーチェは、「昼に食べる料理」としてペルー国民に愛されてきました。冷蔵庫がなかった時代に、生の魚介はすぐに食べなければ腐ってしまうため、昼のうちに食べる習慣が生まれたのです。冷蔵庫が普及した現在では、昼夜問わず食べられるようになりましたが、「新鮮な魚介を新鮮なうちに」というこだわりは、今も変わらず残っています。

また、セビーチェの一般的な食材としてタコがありますが、タコを食べる習慣をペルーに持ち込んだのは、我らの祖先である日本人です。それまでペルーではタコを食べる習慣がありませんでしたが、日系ペルー人がタコを入れたセビーチェをレストランで出したところ、人気となって広まり、現在ではセビーチェの定番の食材になりました。
レモンを使ったセビーチェは「酢の物」に味が近く、故郷を離れた日系人にとっても、日本の味に似ている料理として受け入れられ、さらにタコを入れるという独自のアレンジを生み出したのです。

ペルーでは、6月28日を「セビーチェの日」としています。首都リマや海岸沿いの街では、グルメフェスティバルが開催されるほどの賑わいだそうです。日本でいう、「29日の肉の日」に近いのかもしれません。ちなみに、お安くセビーチェを食べられるわけではないので注意です。

セビーチェの作り方

こうして国民食になったセビーチェですが、旬な食材で好きにアレンジができるため、地域や家庭によってその味は様々です。味付けも、分量にこだわらず自分の好みで大丈夫です!ペルーママから教わった、家庭で簡単に作れるレシピをご紹介します。

材料1

白身魚のお刺身(ヒラメ、スズキ、タイなど)
タコ
ホタテ
エビ
紫タマネギ

材料2

レモン汁(贅沢にレモン2個がおすすめ)
塩(やや多め)
味の素(少量)
すりおろしにんにく(少量)

材料3

生トウガラシ 1~2本
パクチー 少量

作業1

材料1に、材料2を加えて、軽くもみながら味をしみこませます。「けっこう酸っぱいなぁ」と思うくらいが本場の味です。具がレモン汁に浸るくらいがおすすめです。

作業2

お皿に盛り付けます。生トウガラシを厚めの輪切りにして添え、刻んだパクチーをふりかけます。

作業3

お皿にレタスをしいて、茹でたジャガイモ(ペルーではサツマイモが主流)やトウモロコシ、ムール貝等を加えると、一気に豪華になります。

生トウガラシは、スーパーではなかなか手に入らないと思います。たいてい売っているのは乾燥したトウガラシです。生トウガラシがなくてもおいしく食べられますが、辛い物好きの方はぜひ入れて欲しいと思います。タイなどのアジア料理の材料を売っているお店に行くと買えますよ。

セビーチェおいしい食べ方

まずは数口、レモン汁のさっぱりした味を楽しんでから、生トウガラシをフォークでつぶします。さっぱりしたレモン汁に辛みが加わり、大人の味になります。生トウガラシは辛みが強いので、最初は少しずつ試してみてください(トウガラシは直接食べないでくださいね)。
私がアルバイトをしていた頃、セビーチェを頼むお客様には必ずスプーンも添えていました。最後に残ったレモン汁まで食べるためです。すべての具のうま味が凝縮したセビーチェのジュースを一滴残らず平らげるのが、ペルー流の食べ方です!

独特の風味がクセになる!「パクチーソース」のレシピ

パクチーソースは、煮込み料理によく使われます。ペルーのマーケットに行けば、缶詰で売っているほど。こちらはミキサーで簡単に作れます!

材料

パクチー 150g
にんにく 2~3片
塩 少量
コショウ 少量
オリーブオイル 大さじ4

これらをミキサーにかければ、緑色のパクチーソースのできあがりです。鶏肉などの肉料理にかけて食べてみましょう!

ペルー料理に欠かせない!「アヒソース」のレシピ

ペルー人は辛い料理が大好きですが、韓国料理やタイ料理と比べると、料理自体はさほど辛くはありません。「アヒ」と呼ばれる辛いソースを好みでかけて、辛さを調整します。アヒ(Aji)は、スペイン語でトウガラシという意味。アヒソースはその名の通り、トウガラシのソースです。ペルー人はお肉、ポテト、ライスにとにかくかけて食べます。アルバイトをしていたレストランでも、ペルーママが毎日アヒソースを作っていました。作り方も簡単です!

材料

食パン 2枚
タマネギ 半分
ニンニク 2片
生トウガラシ 3~5本
塩 少量
味の素 少量

こちらもミキサーにかけるだけで完成です。完成後は、水でとろみ加減を調整してください。トウガラシの量を増やせば、さらに辛くできます。
私はこのアヒソースにマヨネーズをミックスして食べるのがお気に入りです。マヨネーズの酸味でマイルドになったアヒソースを、揚げたてのフライドポテトでディップ。ぜひ、お試しあれ!

お気に入りのペルー料理を見つけよう

ここではほんの一握りの料理しかご紹介できませんが、ペルー料理には他にもたくさん種類があります。レストランに足を運んで頂いて、お気に入りの一品を見つけてください!日本にいながら、楽しいペルー体験ができますように!

この記事を書いた人

郷土料理「セビーチェ」をご家庭で!簡単でおいしいペルー料理のレシピ(グルメライター)

石井 絵美

ライター

生まれも育ちも東京郊外。たまに都心へ行くと都会のエネルギーに圧倒されて帰宅。趣味は一人旅行、英語、読書。愛読書は児童書からミステリーまで。生粋の本の虫。

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