続かない健康法は卒業!“アーユルヴェーダ的”食事・入浴・睡眠のコツ

●昨今は“人生100年時代”といわれている。健康法に関するさまざまな情報が飛び交うなか、新しい習慣を取り入れるのは負荷が大きく、なかなか長続きしない人が多いのが実情。
●毎日行う「食事・入浴・睡眠」などの習慣をほんの少し工夫するだけなら、始めやすく、続けやすい。そのコツを教えてくれる学問のひとつが“アーユルヴェーダ”という5000年以上消えることなく受け継がれてきた伝承医学。
●アーユルヴェーダでは、体質は3つのエネルギー(ドーシャ)である「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」のバランスによって分類され、それぞれに対して適切なセルフケアのコツがある。
●ヴァータ体質の特徴は「やせ型」「髪や肌の乾燥」「瞬発力」。乾燥・冷えを連想させる食べ物や行動を避けて、温めることや落ち着き、ゆとりを意識する。
●ピッタ体質の特徴は「情熱的」「胃腸の弱さ」「炎症」。身体に熱がこもらないように、刺激物や熱いお風呂などを避け、積極的にクールダウンを心掛ける。
●カパ体質の特徴は「落ち着き」「むくみ」「アレルギー」。心身を滞らせる油ものや怠惰に注意し、スパイスや朝風呂で日々にメリハリをつける。
●無理は長続きしない一大要因。まずは体質を知り、できることから一つずつ始めるのが「健康習慣」の第一歩。つらい不調に対しては、必ず医師の治療・指導を受ける。

生きていく上で、誰もが「健康でありたい!」と願うものです。しかし「健康のために何をしていますか?」と聞かれたら、どの健康法も長続きせず、結局何もできていないというのが現実ではないでしょうか。“人生100年時代”といわれている昨今、さまざまな健康法に関する情報が連日のように飛び交っていますが、長続きしにくいものが多く、定着することなく消えていってしまいます。

このような背景には「食べ慣れないものを食べ続けなくてはならない」「いきなり運動を始めなくてはならない」「値段が張るものを買わなくてはならない」など、普段の自分に対して負担をかけ過ぎてしまうことが挙げられます。しかし、毎日の習慣をほんの少し工夫するだけなら、簡単に始められて、さらに継続できる希望が見えてくるのではないでしょうか。

そのコツを教えてくれるのが「アーユルヴェーダ」です。アーユルヴェーダは、額にオイルを垂らす、ハーブのクセが強いといったイメージが先行し「ちょっと怪しいかも?」と思われてしまうことも少なくありません。しかし、約5000年もの間消えることなく受け継がれてきた伝承医学であり、年齢・性別・国籍を問わず実践できるセルフケアがぎゅっと詰まっています。

本記事では、日常生活の基本となる「食事・入浴・睡眠」に注目しました。日本と本場スリランカでアーユルヴェーダを学んだ筆者が、その知識から毎日の習慣を“健康習慣”にするコツをご紹介します。

自分の「体質」を知ることからスタートしよう

Photo by photoAC

アーユルヴェーダは、インド・スリランカ発祥の伝承医学です。サンスクリット語で「生命科学」という意味を持ち、そこでは宇宙の万物は5つの元素(空・風・火・水・地)から成り立っているとされています。なかでも、人間は5つの元素から生まれる3つのエネルギー(ドーシャ)である「ヴァータ(空・風)」「ピッタ(火・水)」「カパ(水・地)」に支配され、この3つのバランスにより一人ひとりの体質を分類できます。3つのうち最も優位なドーシャが体質に大きく影響するため、人それぞれ適切なケアが異なるのです。

また、最も優位なドーシャは増加しやすいという特徴を持っていますが、過剰に増え過ぎると調子を崩してしまうことも。そのため、増減を調整する行為がその人にとっての「健康習慣」となります。一番シンプルな方法は、自身の優位なドーシャの元素をイメージさせる食べ物や行動を控えつつ、ドーシャを落ち着かせる習慣を心掛けることです。

まずは、簡単なドーシャチェックで自分の体質を知りましょう。


【ドーシャチェック】

●ヴァータ
□冷え症である
□肌や髪がパサつきやすい
□寝つきが悪く眠りが浅い
□便秘しがち
□疲れやすい
□喜怒哀楽が変わりやすい

●ピッタ
□暑がりで汗かき
□肌に赤みや黄みがある
□暴飲暴食で胃腸が弱りがち
□のどが渇きやすい
□湿疹やじんましんができやすい
□まとめ役に回ることが多い

●カパ
□身体が重くてだるい、眠くなりやすい
□消化不良になりがち
□むくみやすい
□髪や肌がベタつきやすい
□花粉症などのアレルギーがある
□のんびりしているのが好き


一番チェックの数が多いドーシャが、あなたの体質に最も影響を与えます。チェックの数が同じドーシャがある場合は、それらが同等に優位な体質です。チェックの数が2つ同じ場合は、両方の習慣を実践しながら体調と相談してバランスをとりましょう。チェックの数が3つとも同じ場合は、最もドーシャのバランスがとれていると同時に、最もバランスを崩しやすい体質でもあります。そのため、食事・入浴・睡眠の3つの習慣に偏りがないよう注意することが必要です。

体質別に「食事・入浴・睡眠」のコツをチェック

Photo by photoAC

ヴァータ体質:風と空の元素からなるエネルギーが優位

特徴:やせ型体型・髪や肌が乾燥しやすい・冷えやすく、お通じが滞りがち・想像力が豊かで柔軟性はあるが、気分屋な一面もある・良いと思ったらすぐ行動できる瞬発力がある
→乾燥、冷えに注意し、一呼吸ついてから行動を開始するよう心掛けましょう。

食事

蒸し野菜、煮物やスープなど、適度に油分が使われた身体が温まる食べ物を積極的に摂りましょう。白湯を飲むのもおすすめです。また、身体を冷やす生野菜、アイスクリームやドライフルーツなどの乾燥した食べ物は、ヴァータが増え過ぎてしまうため摂り過ぎに注意。

入浴

意識的にゆっくり湯船に浸かって温まることが大切です。また、季節に関わらず、入浴後は熱を逃さないよう特に気を付けましょう。

睡眠

落ち着かず眠りが浅い傾向があるため、身体をしっかり温めて就寝しましょう。また、好きなアロマを焚く、落ち着いた音楽をかけるなどの入眠儀式を大切にするのもおすすめです。

ピッタ体質:火と水の元素からなるエネルギーが優位

特徴:体型は中肉中背・髪や肌は柔らかくしっとり・情熱的だが暑さには弱い・暴飲暴食で胃腸が弱りやすい・知的でリーダーシップを発揮することが多い・集中力が高い
→暑さや炎症など熱が身体にこもらないよう注意し、刺激物は避けましょう。

食事

生野菜やコールドプレスジュースなど、野菜を中心に身体をクールダウンさせてくれる食べ物がおすすめです。逆に塩辛いものや油もの、アルコールといった身体を温める食べ物の摂り過ぎに気を付けましょう。

入浴

暑さに弱い傾向があるため、長風呂や熱いお風呂で温まり過ぎるのは避けましょう。シャワーだけの日が多くてもOKです。

睡眠

ピッタ体質の人は睡眠に関する影響が出にくいですが、睡眠時間は6~8時間をキープし、極端な寝過ぎや、睡眠時間を削るのは避けましょう。

カパ体質:水と地からなるエネルギーが優位

特徴:ふくよかな体型・色白で艶やかな黒髪・むくみやすい・アレルギー性の鼻炎が起きやすい・穏やかで落ち着いた辛抱強い性格
→むくみやだるさが起きやすいため、デトックスや気分転換などでメリハリを意識しましょう。

食事

スパイスをしっかり使ったカレーライスや、ショウガをふんだんに使った鍋料理などを積極的に摂るのがおすすめです。一方、揚げ物などの油を多く使う食べ物や、アイスクリームなど甘くて冷たいものの摂り過ぎには注意しましょう。

入浴

朝風呂でリフレッシュすると、すっきりと一日を始められます。熱めのシャワーを浴びるのもおすすめです。

睡眠

寝ることが大好きな傾向があるため、寝過ぎや特に休みの日の寝だめは控えましょう。多少の夜更かしはOKですが、早起きを心掛けるようにしてください。


体質ごとの特徴は、あくまでも傾向です。まったく当てはまらない場合は、インターネットや書籍などで詳しくチェックしてみましょう。質問が多岐にわたっているものもあるため、より細かい視点で自身のバランスを見ることができます。

無理をしないことが「健康習慣」への第一歩

Photo by pixabay

この方法は、毎日の食事・入浴・睡眠の習慣を少し工夫するだけなので始めやすくはありますが、急な変化はストレスのもとになりやすく、逆効果になってしまうことも。したがって、いきなりすべてを実践する必要はありません。避けたい習慣は体質ごとに異なりますが、完全にNGというものではなく「やり過ぎないこと」が大切です。ドーシャチェックで自身の体質を理解し、できることから一つずつ工夫していきましょう。

ご紹介した健康習慣は、あくまで健康維持のためにおすすめしているものです。病気やケガを治すものではないため、つらい不調を感じたときは無理をせず、必ず医師の治療・指導を受けてください。

この記事を書いた人

続かない健康法は卒業!“アーユルヴェーダ的”食事・入浴・睡眠のコツ

mura

ライター

北海道出身、千葉県在住。
アロマやハーブなどを扱う会社で販売や販促、スクール運営などを経験する中で、
「素敵なヒト・モノ・コトを伝える仕事がしたい!」と一念発起。
2019年からWEBデザイン修業と共に、ライター活動をスタートしました。
自然や植物、暮らしにまつわるジャンルを得意としています。
趣味はカフェでのんびり過ごすこと、暮らしの知恵集め。

このライターに記事の執筆を相談したい

関連記事