一生寄り添う筆記用具!万年筆愛好家が語る「金ペン」万年筆のすすめ

●万年筆にはスチール製の「鉄ペン」と金が使われている「金ペン」の2種類が存在する。
●素材の違いは筆記感の差につながるため、ペンを買うときに気にする愛好家も多い重要な要素である。
●金ペンは手が疲れにくく、金の配合量によって書き味が変わるなどバリエーションにも富んでおり、デザインも秀逸で見ているだけでも楽しめる。
●国内メーカーの金ペンと海外メーカーの金ペンにはそれぞれ長所があり、どちらを選ぶかは好みなので好きなものを選ぼう。
●一番大切なのは、メーカーやブランドではない。自分の手に一生寄り添ってくれるような万年筆を自分の手で選んで、ゆっくり育ててあげることである。

筆記用具なんてなくても、パソコンやスマホで文章が書けてしまうデジタル全盛時代。手書きで文字を書くという機会が激減している今の世の中で、静かに「万年筆ブーム」が広がっていることをご存知でしょうか。

ブームの火付け役と言われているのが、パイロットが2013年に発売した子ども向け万年筆の「カクノ」です。1,000円台という非常に安価な価格、しっかりとした書き味、そしていい意味で万年筆らしくないポップなデザインで、子どもだけでなく大人からも人気を集めました。

当記事ではそんな初心者向け万年筆から一歩踏み込んで、憧れの高級万年筆への第一歩である「金ペン」について万年筆収集歴8年目の筆者がご紹介したいと思います。万年筆をもう使っているという方はもちろん、これから万年筆の購入を検討している方にもおすすめな金ペンの魅力をたっぷりとご紹介します。

万年筆は「金ペン」と「鉄ペン」の2種類に分けられる

一見どれも同じように見える万年筆のペン先ですが、素材ごとに大きく分けて2種類に分けられます。カクノのような安価なペンにはペン先にスチールが使われているため「鉄ペン」、これから紹介する金が使用されているペンは「金ペン」と呼ばれています。
どちらが優秀か?という話は一概には言えません。価格も金ペンの方が高いことが多いですが、高価な鉄ペンもあれば安価な金ペンもあります。ただし素材の違いで書き味心地が大きく変わってくるため、購入時に「鉄ペンか金ペンか」という部分を必ず確認する、という愛好家は多いです。

金ペンならではの魅力

紙へのあたりがソフト

金は柔らかい金属のため、紙にペンを当てたときになめらかにすべり引っかかりを感じません。細字の万年筆でもすらすらと抵抗なく文字を書けます。この感覚は金ペンでしか味わえない筆記の醍醐味です。

手が疲れにくい

紙へのあたりが柔らかいため、手に負担がかからず疲れにくいです。高級な万年筆は重心も計算して作られているものが多いため、長時間筆記を続けても手が痛くなりません。手紙や日記などしっかりと書き物をしたいときはもちろん、ビジネスシーンでも手に負担をかけずに素早く筆記ができます。

ペン先の種類と金の配合量によって書き味が変わる

一口に金ペンと言っても、金ペンの中にもさらにたくさんの種類があります。
まず金の配合量によって「14金」「18金」「21金」「24金」の4種類あり、さらに細字か太字か、特殊ペン先か(漢字に特化したペン先など)によっても書き味が異なってきます。
この膨大な組み合わせの中から、自分の理想の書き味をかなえてくれる1本に出会えたときの喜びは計り知れません。

デザイン性に優れたものが多い

金ペンは高価なものが多く、安価な万年筆と比べると見た目の高級感がはっきりと違います。安価なものと比較すると重厚感があったりスタイリッシュだったりとデザインが凝っており、思わず人に見せびらかしたくなるような美しいデザインの万年筆も金ペンに多いです。

筆者が愛用しているおすすめの金ペン3選

プラチナ万年筆「♯3776センチュリー」

国産メーカー「プラチナ万年筆」のスタンダードモデルです。ペン先には18金を使用しており、柔らかさとしっかりした書き味を併せ持っています。中字のペン先でやや多めにインクが出てくるため、インクの影が美しく落ち着いて見えるようにブルーグレー系のインクをチョイス。家計簿やメモ書きなどこまごました書き物に使用しています。

名前の「3776」という数字は富士山の標高の数字であり、日本一高い山のように日本最高峰の品質を目指すという意味でつけられているそうです。(プラチナ万年筆公式サイトより)
飾り気のないいぶし銀なデザインですが、日本最高峰を目指したその名に恥じない精緻な作りと、長時間使用しないときでもインクの乾燥を防いでくれる「スリップシール機構」がついたキャップがとても優秀で手放せなくなります。

パイロット「キャップレスデシモ」

国産メーカー「パイロット」のノック式万年筆です。18金ペン先を使用しています。キャップレスという名前の通り、キャップがついていないのが最大の特徴です。ボールペンのようにノックしてペン先が出てくるため、使う前にキャップを取る必要がなく、ペン先が乾燥する心配もありません。
「デシモ」はスペイン語で「10」を指す言葉です。1963年にキャップレス式万年筆がパイロットから発売されて以来、モデルチェンジを繰り返しながら10代目の「デシモ」まで半世紀にわたって愛されてきました。現代的なデザインですが、意外に長い歴史のある万年筆でもあります。

一見して万年筆とは思えないスリムでスタイリッシュなデザインのため、ビジネスシーンでもボールペンと同じように気軽に使用できます。ペン先が非常に小さく細いのですが、18金ペンのため引っかかりなくサラサラ書けるのも大きなポイントです。
細かい字がとにかく書きやすいので、色のはっきりした濃い目のインクを入れて手帳用のペンとして愛用しています。ボールペンのような書き味で「もっと引っかからずに書けたらいいのに」という願いをかなえてくれる万年筆です。

ペリカン「スーベレーンM400」

ドイツの有名メーカー「ペリカン」の万年筆です。こちらは14金ペン先を使用しています。極細字ですが、国産万年筆の中字~太字くらいの太さです。インクがたっぷり出るので、なめらかに紙の上をすべるような書き心地を味わえます。軸の色と合わせた緑色系のインクを入れて日記を書くのに使用しています。

スーベレーンシリーズは万年筆愛好家の永遠の憧れとも言われる高級万年筆で、樹脂とセルロースを重ねて作られた半透明の美しい縞模様が特徴です。このスーベレーンシリーズには「M○○」というナンバリングが当てられており、数字が大きいほど大きなサイズのペンになっていきます。
中でも「M400」は誰でも握りやすく持ちやすいサイズで、ペン先も柔らかくしなやかに文字を書けることから手の小さい女性にもおすすめです。ペンを持ったときに重心がしっくりと手に馴染み、「なんでもいいから書きたい」と思わせてくれる魔性の万年筆です。

海外メーカーと国内メーカーの違い

万年筆にはペリカンやモンブラン等の海外メーカーと、パイロットやプラチナ等の国産メーカーがあります。メーカーごとにも細かな違いがあるのですが、ここでは国産メーカーと海外メーカーの違いをざっくりとご紹介します。

画像で筆跡を比較した通り、海外メーカーはアルファベットが書きやすいようにペン先が太めのものが多いです。またイタリアのアウロラなどデザインが芸術的で華やかなものも多く、見た目が美しいものが多いですが、その分価格は高めになります。
一方で国内メーカーは、漢字を書くために細字はボールペン並みに細いです。デザインはすっきりしたものが多く、海外のものに比べ安価で高品質なものが手に入ります。どちらも素晴らしいペンを作っていますが、個人的には書き味が良く比較的安価なプラチナ万年筆がおすすめです。

使う人の手に一生寄り添ってくれる万年筆

万年筆は使い続けるほどにペン先が使用者の癖に合わせて削れてくるため、使い込むほどに手に馴染む筆記用具になります。そのため、万年筆を購入する際はブランドや予算と相談することはもちろんですが、できるなら試し書きをして自分の手に合った使いやすいものを選ぶことが最も重要です。
特に最初のうちは、自分の手とペンの相性を確かめてから購入するようにしましょう。自分の手に合った万年筆は、使う人の手に寄り添い続ける優しい文房具になってくれます。

【参考文献/参考URL】

プラチナ万年筆/Century

キャップレス デシモ | 筆記具 | 万年筆 | 万年筆 | 製品情報 | PILOT

ペリカン「スーベレーン M400」の魅力に迫る!|ペンハウスお薦めのイチオシ商品!

この記事を書いた人

一生寄り添う筆記用具!万年筆愛好家が語る「金ペン」万年筆のすすめ

鈴森すずね

ライター

愛知県出身・在住のフリーライター。常に新しい分野に挑戦することを意識しながら、アニメやゲーム等のサブカルチャーから自身の発達障害の体験談を元にした記事作成まで、分野を問わず幅広いジャンルの記事を執筆している。

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