「還元率」「節税」に惑わされない!お得な「ふるさと納税」のコツ

●ふるさと納税はマネー情報に敏感な人たちに人気が高く、年末は盛況となる。
●それに合わせるかのように、「還元率」を掲げた情報記事が増える。
●「還元率」や「返戻率」という用語がお得感をあおるために使われているが、計算根拠が不明確なことがあり、うのみにすると危険。
●元から高還元率な仕組みなので、ふるさと納税ならではのお得感を探ったほうが幸せになれる。

マネー情報に敏感な人たちに人気が高い「ふるさと納税」。所得税や住民税の還付または控除を受ける関係から、締め切りとされる毎年12月は大盛況となります。今年も返礼品をもらって、お得にふるさと納税をしよう!と情報収集をされている方も多いことでしょう。

情報記事には、お得度を計る目安といわれる「還元率」や「返戻率」というキーワードが踊っていますが、これ、うのみにすると損をするかもしれない数字であることをご存じですか?今回は「ホントに節税になる?」という疑問にお答えしながら、ふるさと納税サイトにライターとして3年間関わり、満足やクレームなどの声を裏から見聞きして知った、“ふるさと納税をお得にするコツ”をお伝えします。

ふるさと納税は元から高還元率。あまり気にしなくても大丈夫

ふるさと納税でいう還元率とは、寄付をした金額に対する返礼品の価格の割合だと一般的にいわれています。例えば、1万円の寄付に対して返礼品の金額が5,000円なら「還元率は50%」というわけです。この率が高ければ高いほどお得とされることがありますが、実はここには3つのマジックが隠されています。

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【マジック1】計算がいい加減なことがある

返礼品の金額が市場価格か、仕入価格か、ネット価格かで、還元率はたやすく変わってしまいます。よくあるのが「ネットショップの会員限定など爆安価格で計算しているケース」や「カタログ価格を使っているケース」です。同じものであっても、当然、後者のほうが高還元率になります。特定の返礼品をお得に見せるために、意図的に混在させている記事もあるようです。

【マジック2】「高還元率風」返礼品が存在する

有名メディアでも還元率の比較が行われ、還元率の高い返礼品が評価されることがあります。報道の影響で寄付も増えるので、そういった返礼品を企画開発している自治体・事業者がいるのも事実です。

認知向上を狙った出血大サービスならよいのですが、なかには同一ブランド内でグレードを下げ、量をただ増やしただけ……という品も。お得に釣られて寄付をして“脂身だらけで量が多いだけの肉”が届いてガッカリ、ということにもなりかねません。

【マジック3】返礼品に「還元率」は間違いかも……

ふるさと納税とは、応援したいと思った自治体に寄付をすると、制限はありますが原則として「寄付金額から2,000円を引いたお金」が翌年の所得税や住民税から還付、または控除される制度のこと。ある意味、元から高還元率なのです。
どういうことか簡単にいうと、1万円の寄付をすると、翌年8,000円が戻ってきます。この場合の還元率は80%です。もし、3万円寄付したら2万8,000円戻ってくるので約93%になります。さらに、自治体から返礼品がもらえます。寄付をする側からすれば、2,000円を超える価値の返礼品をもらえば、損がないのがふるさと納税です。

ふるさと納税を司る総務省では還元率や返戻率という表現を使わず、そのまま「返礼品の価格の割合」などと表現しています。メジャー新聞では「返礼率」と記していることが多いようです。

毎年、ふるさと納税の制度は調整されています。利用者にとって大きいのは返礼品に関する部分で、現在では、原則、返礼品における価格の割合は「3割まで」という流れです。今後は、あまり気にしなくてもよいかもしれません。

金額だけで見ると、ふるさと納税は2,000円払う分節税にはならない

ふるさと納税をすると、翌年、原則として「寄付金額-2,000円」が戻ってきます。金額だけでいえば、2,000円払うことになるので節税にはなりませんが、返礼品がもらえるので、そのお得分が実質節税と解釈されています。

注意したいのは、ふるさと納税をしたら必ず税の還付、または控除を受けるための手続きが必要だということです。「ワンストップ特例制度の申請」「確定申告」「還付申告」のいずれかを行わないと、ただの寄付になってしまい、お金は戻ってきません。

この手続きを意外と忘れてしまっている人が多いようで、毎年締め切り時期になると、自治体やふるさと納税サイトへの問い合わせが増加します。還付申告を使えば、最大5年間は手続きできるので焦る必要はありませんが、遅くなるほど面倒ですし、お金が戻ってくるのも先になってしまうので、気をつけてください。

返礼品の狙い目は「地域ブランド」「限定品」「高額寄付返礼品」

ふるさと納税は、元から高還元率で損をしにくい仕組みです。では、どのような返礼品が狙い目かご紹介しましょう。

【1】手に入りにくい地域ブランド品

販路の事情があって、ネット通販ではなかなか購入しにくかったり、地元でも長時間並ばないと手に入らないような品が返礼品になっていたりすることがあります。並ぶ時間や手間は金額に換算しづらいですが、ふるさと納税なら比較的容易に入手できるので試す価値ありです。

こういった地域ブランド品は正直、見つけにくいのが難点(自治体や事業者はコンテンツなどでもっとアピールすればよいと思います)。探すコツは、知名度がないと思っていたのにランキングで妙にチャートアクションがよいものとか、前年度、早々に品切れになったものの名前を検索することにあります。

出会ってよかったと思える品が多いのが、地域ブランド品の特長です。

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【2】早期予約的な品、限定品

例えば、初夏に人気のさくらんぼ。ネット通販でも予約販売で大人気ですが、ふるさと納税を使うと、それより早く少しグレードが上のものをお得に申し込めることがあります。ほかにも新米や農作物、海産品など、量に限りがあるものを先行して申し込めることがあるのをご存じですか?見つけるコツは、旬の半年くらい前からサイトでチェックすることです。

受け取れる日付を指定できないことが多いといった点を引いても、事実上の早期予約ができるのがうれしいところ。このように、フルーツや初鰹といった旬の品や、量に限りがあるものにはプライスレスなお得感があることが多いのでおすすめです。

また、マラソン大会や花火大会の参加券や鑑賞券などには「ふるさと納税枠」が用意されていて、一般枠よりもお得に申し込めることも。ただ、最近は人気があって、すぐに枠が埋まることもあるようです。

【3】高額寄付金への返礼品

多少の制約があっても高額の寄付をしたほうが、いろいろな意味でお得感が増すことが多いです。なぜお得かというと、まず単純に返礼品のグレードが上がることと、高額寄付をすると税関連の手続きが減って楽になるというメリットもあります。

高額寄付をする際に気をつけたいのは、返礼品の見極め。以前は大変でしたが、最近は「返礼品3割」のルールが守られ始めているので、判断しやすくなりました。そのため、地場で確立しているブランドであるかをふるさと納税ではないサイトなどで確認しておくと、納得感が増すと思います。

「情報にあおられないこと」がふるさと納税の最大のコツ

ふるさと納税を賢く活用するコツは、なんといっても「情報にあおられない」ことです。制度の変わり目や事実上の締め切りとなる年末には情報が錯綜しがちなので、冷静に見極めるのがポイントになると思います。

地方創生と災害支援に活用される、ふるさと納税。趣旨などの詳細は、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」などで確認して有意義に活用してください。

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この記事を書いた人

「還元率」「節税」に惑わされない!お得な「ふるさと納税」のコツ

おおきだいち

ライター・企画者

千葉県北西部在住。
“面白くて役に立つ記事”が発信できるライターを目指しています。取材を通じて、クライアント様の魅力と巡り会うのが好きです。
大学では心理学科でAIを学び、書籍編集者、ソフトウェア企画者、ポータルサイト運営ディレクター等々を経て、現在はフリーライター・企画者をしています。得意ジャンルは、ハードでないIT・スマホ関係、ふるさと納税等地方関連、プチ☆ギャンブルなどです。よろしくお願いいたします。

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