「ブルジョア」な先入観は捨てるべし!老若男女問わず楽しめる「馬術」の面白さ

●お金持ちのスポーツといったイメージのある馬術だが、意外と費用がかからずハードルの低いスポーツ。
●オリンピック唯一の男女混合競技で体力を必要としないため、老若男女問わずおすすめ。
●全身運動になり、体のコリがほぐれたり内臓機能がアップしたり、健康のために良い。
●有酸素運動でダイエットにも良いとされる。
●馬と触れ合うことで癒し効果が得られる。
●馬は昔から人間の暮らしとは切り離せない生き物のため、人との触れ合いに慣れており、よほどのことがない限り蹴ったりしない。
●大きな黒目が魅力的で、毛足が柔らかく、触ると気持ちいい。
●体の大きな馬でも、きちんと意思の疎通ができていることが感じられる。

「馬術を習っている」と話すと、「え~!すご~い、かっこいい!」とよく言われます。憧れのスポーツといったイメージを持つ人も多いでしょう。逆に、お金持ちのスポーツでハードルが高すぎると思う人もいるかもしれません。

しかし馬術は意外なことに、さほど費用がかからず、しかも体力を必要としないスポーツなのです。その証拠に、馬術はオリンピック唯一の男女混合競技。2008年に行われた北京オリンピックでは、選手団の最高齢が馬術の選手であり、その年齢は67歳でした。この最高齢の日本人選手は、1964年の東京オリンピックにも出場しています。これほど選手生命が長いスポーツは、ほかになかなかありません。

当時乗馬はブームになり、乗馬クラブには60~70代の人たちがチラホラと見学に来ていました。しかし「馬術はブルジョアなスポーツ」といった固定概念だけを持っている人がほとんど。馬術はスポーツであり、ダイエットにもストレス解消にもピッタリということはあまり知られていないのです。

そこで、馬歴25年以上の私が実体験をもとに馬術の魅力をご紹介します。「馬ってかわいい!」きっと、そう思ってもらえるはずです。

馬は臆病で人懐っこい生きもの

何といっても馬がかわいい!

馬が颯爽と走る姿は非常に美しく、多くの人を魅了しています。「馬が走る姿が好きだから競馬が好き」という人もいるほどです。

馬術は美しい馬を自分で操作し、その美しさを最大限に生かしたスポーツです。動作の正確さ、美しさなどを競う採点競技のため、乗り手がいかに馬の魅力を引き出すかがポイントとなります。また、馬の瞳はとても優しくてつぶらです。白目が少なく黒目の部分が多いと、子どものように愛嬌のある眼差しに見えます。さらに馬はまつ毛も長く、美しさとかわいさを兼ね備えた生きものなのです。

意思の疎通が図れる

「馬って蹴らない?危なくない?」と聞かれることもありますが、馬は人間を絶対に踏まないといわれている動物です。人に対して危害を加えるときは、馬自身が危険を察知したときだけ。人間が馬に優しく接していれば、絶対に暴力的なことはしません。

また、馬は草食動物でとても臆病です。古来より畑を耕したり、重い荷物を引っ張ったりと、人間と一緒に暮らしてきました。そのため、人懐っこさも持ち合わせています。特に、乗馬クラブの馬は人に慣れていることが多く、なでられることに抵抗がありません。毛の流れに沿って首や頬あたりをなでてみると、毛の流れが非常に心地よく、毛並みの良さや体温、肌の柔らかさなどが感じられます。

馬自身も愛情を持って接してもらっていることがわかるので「もっといい子いい子して~」と言わんがばかりに顔を近づけてきます。馬と心が通じる瞬間を感じられるでしょう。

体力がなくてもOK!子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで

馬は力ずくでは動かない

調教された馬は、正しい扶助(指示・合図)を出さないと指令通りに動いてくれません。つまり、力ずくでは馬は動かないのです。これが「馬術に体力がいらない」といわれる理由でもあります。正しい扶助ができるようになるまでは、人間の努力が必要です。そこが馬術の難しさでもあり、醍醐味ともいえます。馬が指示通りに動いていてくれたときが、「自分の馬術技量が上達した」と実感できるポイントでもあるのです。

前述したように馬術は体力を必要としないため、乗馬クラブの会員の年齢層もさまざまです。小学生から70代まで、馬術を通じて幅広い年齢層と触れ合えるのも、馬術の良いところでしょう。

心と体の健康にもいい

引き締め・血流アップ効果

馬上で馬の体に合わせて動く馬術は、全身運動になります。適度な揺れがとても体にいいとされているのです。

1. 内臓に適度な揺れが加わり、消化・排出機能のアップ
2. 姿勢よく座るため、お腹周りの筋力アップ(引き締め効果)
3. 脚で馬に対する扶助を行うため、内ももの引き締め効果
4. 適度な筋肉運動と馬上の揺れで、血流が上がり代謝がアップ
5. 血流が上がることにより、肩・首・腰のコリが軽減

これらの体の変化は、たった1度の体験乗馬程度で実感できる人もいます。特に普段運動しない人は、コリや筋肉のハリが軽減し、よく汗が出るなど、血の巡りが良くなっていることを感じられるでしょう。

有酸素運動で基礎代謝がアップ

乗馬クラブに入会したきっかけが「痩せるため」という人は意外と多いものです。実際に、馬術のオリンピック選手や乗馬クラブのインストラクターには、ぽっちゃり体形の人はあまりいません。脂肪を燃焼させるには有酸素運動が最適です。有酸素運動とは、継続してできる運動、息切れしない運動のことを指します。馬術は息切れすることなく、継続できる運動のため、有酸素運動になるといえるのです。

また、馬術は適度な筋肉運動を持続して行うため、肥大化しない「遅筋」という筋肉が鍛えられます。筋肉がつきすぎることなく基礎代謝が上がり、結果として1日の消費カロリーのアップが望めます。そのため、脂肪燃焼効率の良い体質への変化が期待できるでしょう。

ホースセラピーによるいやし効果

アニマルセラピーと同じように、馬に触れることは「ホースセラピー」と呼ばれ、精神的な癒しやストレス解消につながります。馬の心地よい毛並みや温もりが人間の心を穏やかにし、不安やイライラを取り除いてくれるのです。

また、馬に的確な扶助を与えないと正しく運動できないため、コミュニケーションをとる社会性も養えます。お一人様の多い生活や成長期の子どもなどにとって、とても大切なことといえるでしょう。さらに馬に乗る場合「大きな動物を操作できた」という達成感や満足感を得ることができ、自信がつくようになります。この点は、ほかのアニマルセラピーでは感じられない部分です。

郊外の乗馬クラブなら意外とリーズナブル&送迎付

馬術を行うにあたり、気になるのが費用です。首都圏の乗馬クラブは土地の価格が高額なため、当然かなりの費用が必要となります。基本的な料金だけでも、入会金で20~30万円ほど、1レッスンで1万円ほど、ビジター騎乗でも7~8,000円程度かかってしまうでしょう。たとえ入会してもひんぱんに通えず、足が遠のいてしまうケースも多いです。

しかし、少し郊外に行けば入会金は1~3万円程度、1回の騎乗料・指導料は2~3,000円ほどで済みます。なかには、体験無料乗馬会といった催しをしているクラブもあります。郊外に行けば行くほど、ターミナル駅までの送迎をしてくれる乗馬クラブが多いのも特徴です。

さらに、必要な道具にかかる費用も気になるところです。ヘルメット、ブーツ、乗馬用ズボンが必要となりますが、これらはほとんどの乗馬クラブで無料、もしくは数百円でレンタルできます。このように、馬術はあまりお金をかけなくても始められるスポーツなのです。

馬上で感じる風は気持ちいい!

馬術の魅力は馬のかわいさだけではありません。体力が必要ないことや、体に良いこと、さらにダイエット効果まで期待できます。思っているほどお金がかからないのであれば、チャレンジしないのはもったないと思いませんか?

乗馬に慣れてきたら、野外での騎乗も楽しみのひとつ。野外では馬と一緒に風や草の香り、海の香りを感じることができるのです。私たち人間と同じように、馬がリフレッシュしていることも感じられるでしょう。まずは馬と触れてみてください。きっとあなたも馬から離れられなくなるはずです!

この記事を書いた人

「ブルジョア」な先入観は捨てるべし!老若男女問わず楽しめる「馬術」の面白さ

卯沙子靖子

ライター

東京出身・在住。
ホテル勤務、ネイリストを経てライターに。得意ジャンルは美容、筋トレ。趣味は読書と汗をかくこと。知的探求心が旺盛で、「何事も経験する」がモットーです。

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