歴5年の踊り子目線で分析。よさこいを「ツウな観客」として楽しむための3つのコツ

●よさこい踊りには、チーム間や観客と踊り子の垣根を越えられる全員参加型の踊り「総踊り」と、チームの特徴が色濃く出るオリジナルの踊り「チーム演舞」がある。
●観客として楽しむのであれば、タオルとタイムテーブルは必須アイテム。
●チームの本質を知るため、作品の変化を楽しむためにも、同じ作品を3回以上見ること。
●チーム全体の動きや作品の構成が見たい場合は「引き」で、踊り子の表情やよさこいの臨場感を味わいたい場合は「寄り」で見るのがおすすめ。
●チームごとの比較がしやすい、楽曲に入っている同じ「民謡フレーズ」にも注目。

突然ですが、皆さんは”よさこい”を見たことがありますか?筆者が初めてよさこいを見たのは5年前でした。きっかけは、買い物帰りに偶然見かけたパレード。踊り子さんのひたむきさと会場の熱気に感激して足を止め、気がつくと涙を流していました。それは運動音痴でミーハーだった筆者が、よさこいを踊りたいと思ったきっかけでもありました。

当記事では、「読者の皆さんにもぜひよさこいを見てもらいたい!」「でも、ただ見るだけではもったいない!」という思いから筆者が5年間で培ってきた、“観客としてのツウな楽しみ方”を3つのポイントに分けて特別にお伝えします。

そもそもの話。“よさこい”って何?みんな同じ踊りなの?

語源と発祥

よさこいの語源は「夜さ(り)来い」。もともとは「今晩・夜にいらっしゃい」という意味ですが、最近では“よさこい”=「よさこい鳴子踊り」や「よさこい祭り」などを指すことが多いようです。高知県が発祥で、1954年に第1回よさこい祭りが開催されました。よさこい祭りは8月9日~12日の4日間にわたって行われ、現在では毎年200チーム、約2万人が踊りを披露しています。現在では各地で多様性が出てきましたが、全国共通していえるのは、よさこいには「総踊り」と「チーム演舞」の2つがあるということです。

総踊りとチーム演舞の違い

・総踊り

よさこい祭りなどで踊る“全員参加”の踊りのこと。チーム間や”観客と踊り子”という枠を越えて、全員で踊りを楽しめる点が魅力です。
全国各地で制作されており、誰でも踊れるように簡単な振り付けになっています。ドラマ『金八先生』で生徒が取り組んでいた「南中ソーラン」もそのひとつ。学校の授業で練習をした方もいるのではないでしょうか。

・チーム演舞

チームがオリジナルで制作する踊りや作品のこと。自分好みのチームを見つけて作品を楽しめる点が魅力です。
振り付け・衣装・曲など、すべてがオリジナルであり、チームごとの個性が色濃く出ます。地域によっても違いがある点も特徴です。曲などはプロに依頼をして制作するのが主流ですが、メンバーが自力で行う場合もあります。

【準備編】必須アイテムをそろえよう。ポイントは2つの「T」!

よさこいをもっと楽しむためのポイントをお伝えする前に、まずは持ちものをそろえましょう。絶対に欠かせないのは2つのアイテム、“タイムテーブル”と“タオル”です。

タイムテーブル

タイムテーブルとは、すべてのチームの出演時間が会場単位でひとつにまとめられた表のこと。お祭りの公式ホームページなどから取得可能です。別名「TT(ティーティー)」と呼ばれることも。当日あたふたしないためにも、あらかじめ用意しておくのが得策です。事前に印刷をして、マーカーペンで目当てのチームにチェックを入れましょう。

大抵のよさこい祭りは1日を通して行われ、会場数や出場チーム数も多いため、出演時間が押したり巻いたりすることが多々あります。「今踊っているチームは目当てのチームの前なのか、後なのか」「見逃した場合、ほかの会場で見ることができるのかどうか」なども、タイムテーブルがあれば一目でわかります。

タオル

フェイスタオル、もしくはバスタオルがベストです。前述のとおり、よさこい祭りは長期戦になることが予想されます。夏場であれば汗拭きや紫外線対策に、冬場であれば大きめのタオルで防寒にもなって便利です。筆者はカメラで撮影した写真をチェックする際、野外だと見えづらいため、タオルで影を作っています。レジャーシートがないときは、お尻の下に引くこともできる万能アイテムです。1枚は持って行きましょう。

その他、必要であればカメラを持って行くと良いでしょう。望遠レンズが付いていると、踊り子の臨場感あふれる写真が撮影できるので、なお良しです。

【実践編】ここに注目!演舞を見る際の3つのポイント

ポイント1:同じ演舞は最低でも3回見る!

「今回はどこが違うかな?」と変化に着目して見ると、一味違った楽しさを味わうことができます。チーム演舞は作品が完成したらおしまいではなく、同じ作品でも「もっとこうしたい」という想いがある限り、表現方法が常に変化しています。参加するお祭りごとに曲のフレーズや振り付けが変わっていたり、技術が向上していたり、道具が増えていたり……。

また、披露する会場の大きさや当日何度目の演舞なのかによっても、受け取る印象は変わります。よくあるのは、“本番1回目の演舞は緊張からか表情や振り付けが固く、同日2回目の演舞を見ると1回目よりダイナミックに感じる”といったパターンです。つまり、変化を楽しむだけでなく、そのチームの本質を知るために、同じ演舞を3回見るのです。

ポイント2:「引き」と「寄り」をうまく使い分ける!

筆者の場合は「『ピシッと揃っている隊列』に感動する」という人には引きで見ることを、「『踊り子一人ひとりの熱意や表情』に感動する」という人には寄りで見ることをおすすめしています。

・こんなときは「引き」で見るのがおすすめ

*チーム全体の動き方や道具の使い方などの構成が見たい。
*作品のストーリーを楽しみたい。 
*よさこいを見るのは初めて。

・こんなときは「寄り」で見るのがおすすめ

*踊り子の表情が見たい。
*よさこいの臨場感や一体感を楽しみたい。
*推しの踊り子がいる。もしくは見つけたい。

ポイント3:楽曲に入っている民謡フレーズを見つけてニヤニヤする!

多くのお祭りでは、チームオリジナル楽曲の中に民謡のフレーズを入れることがルールになっています。北海道のYOSAKOIソーランであれば「ソーラン節」、愛知のにっぽんど真ん中祭りであれば「地元の民謡」などなど。アレンジは自由なので、チームごとの違いを感じられるのも面白いです。

今回は高知の民謡「よさこい鳴子踊り」を例に、筆者おすすめチームのアレンジを2つご紹介します。同じフレーズでも受け取る印象はアレンジによってさまざま。ぜひ目だけでなく、耳でも楽しんでいただけたらうれしいです。

・元ネタ:高知の民謡「よさこい鳴子踊り」

・ほにや「はんなり しゃなり いざ候う」※民謡フレーズ2:39~

高知のチーム。楽曲を起承転結で表すならば、「転」の部分を民謡フレーズを使って見事に表現しています。軽快なメロディーからの切り替えがとても素敵です。

・百物語「大妖~八岐九尾の鎮魂歌~」※民謡フレーズ3:40~

東京のチーム。こちらの民謡フレーズは短調になっており、かなり不気味で妖しい雰囲気が作風にピッタリ合っています。

あなたも「よさこい」を見にいこう!

まずは、お近くのお祭りへ足を運んでみてはいかがでしょうか。総踊りを一緒に踊るも良し、チーム演舞をじっくり見るも良し。上記3つのポイントを踏まえて演舞を見ると、きっと新たな発見があるはずです。そして読者の皆さんが観客として、より一層よさこいを楽しんでいただけたら筆者も幸せです。

この記事を書いた人

歴5年の踊り子目線で分析。よさこいを「ツウな観客」として楽しむための3つのコツ

たむこ

ライター修行中

愛知県出身・在住。
英語科卒業。アパレル店員、商社での貿易実務を経て、現在は総務・経理として日々奮闘中。執筆は今回がはじめて。
よさこいとディズニー、そしてリスをこよなく愛す。マイブームはスターウォーズ。得意なジャンルはトラベルとグルメ。将来の夢はママさんライターになること。

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