高齢40歳・低AMHの私が3回目の体外受精(顕微授精)で妊娠!成功の理由を振り返る

●39歳になり年齢的に妊娠リミットが近づいている中、不妊治療を開始。
●AMH(アンチミューラリアンホルモン)が0.88ng/mLで、卵巣年齢は実年齢以上に高齢だった。
●何度も採卵・移植を繰り返したが、すぐに授かることができなかった。
●体外受精が成功するきっかけになったのは、子宮のコンディションを整えるために不妊治療を休んだこと。
●とうとう40歳半ばにして、体外受精が成功。無事に妊娠することができた。
●自分自身の経験から、子宮の状態を良くすることが妊娠への第一歩だと実感。

年齢が原因で不妊治療をしていてもなかなか結果が出ない、そう悩んでいる方は多いのではないでしょうか。女性側、男性側、両方に明確な原因がなくても、年齢の問題だけで妊娠率は大きく下がってしまいます。
私が不妊治療を始めたのは39歳のとき。不妊治療を受けるため毎月のように病院に通い、あと何回ダメだったら諦めよう……と悩んでいました。私の場合は顕微授精でしたが、保険適用外なので費用もかかります。
しかし、ありがたいことに私は3回目の移植で赤ちゃんを授かることができました。無事に妊娠できたのは、通院中に担当の先生が変わり、方針を大幅に変更したことが大きかったからだと思っています。
そこで、どうして3回目で妊娠できたのか、1・2回目とはどう違ったのか、顕微授精が成功したカギは何だったのかを、自分の体験をもとに探ってみました。

体外受精(顕微授精)に成功!その理由は子宮にあった

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体外受精と顕微授精は、どちらも生殖補助医療の1つです。それぞれ別の治療法ですが、広義的にはどちらも「体外受精」として知られているため、ここでは顕微授精も含めて一般的に普及している体外受精という言葉を使ってお伝えしていきます。

結論からいうと、私が高齢にもかかわらず無事に妊娠できたのは、子宮環境を重視するという担当の先生の診療方針のおかげでした。

私の場合、何か特別な不妊の原因があったわけではありません。子宮や卵巣に異常はなく、夫にも問題はありませんでした。ただ、気がかりなことが1つ。それは「AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査」の結果が、0.88ng/mLと平均よりも非常に低い数値だったことです。AMH検査とは、卵巣内にどのくらい卵子が残っているかを調べる検査で、卵巣年齢検査ともいわれています。この検査の結果、私の卵巣年齢は実年齢よりもかなり高齢化しているということがわかったのです。

先生からは、卵子の質が良ければ妊娠には問題ないと言われていました。しかし、そう言われたところで安心できることではありません。私は妊娠のリミットが近づいていると実感し、早く結果を出したいという思いを最優先に体外受精をスタートさせました。

子宮のコンディションを整えたことが成功のカギに

体外受精は不妊治療の最終手段とはいえ、体外受精さえすればすぐに結果が出るというものではありません。私の場合も、すぐには結果が出ませんでした。

ところが、体外受精のために病院に通って半年ほど経った頃、たまたま担当の先生が変わるという転機が訪れます。私が通っていた病院は、先生ごとにそれぞれの診療方針で治療を行う病院だったので、先生が変わるということは転院することと同じくらい大きな出来事でした。

案の定、診療方針が大きく変わりました。それまでの先生は、私の希望もありスピードを重視した診療方針だったのですが、新しい先生はまったく違ったのです。体外受精よりも先に、子宮の状態を良くすることに重点を置いた診療方針になりました。子宮の状態を良くするといっても、何か特別なお薬があるわけではありません。では、どうするのでしょうか?答えはいたってシンプル。子宮が自然に回復するのを待つのです。

実は、これが私の体外受精の成功のカギでした。

先生の方針に従って、私は子宮のコンディションを整えるために「子宮を休ませる」ことに専念しました。新たに体外受精を再開するまで多少の時間がかかることになりましたが、その結果、無事に新しい命を授かることに成功したのです。

普段の生活でも子宮環境改善を意識

病院に通う以外に、自分でも不妊治療に役立ちそうなことは積極的に取り入れました。例えば、ホットヨガで代謝を改善したり、鍼灸院に通って不妊治療のための施術もしてもらったりもしました。食生活でも、血液を作る赤身肉やレバーを意識して食べるようにするなど食事の内容を見直し、規則正しい生活を心がけることはもちろん、体質改善にも励んでいきます。

そして、最も気を付けていたことは、ストレスを溜めないことです。とにかくストレスを感じないよう、心安らかに過ごすことを心がけていました。「これをやれば必ず妊娠できる」という明確な正解はありませんが、妊娠できたのは普段の生活の心がけもあったのではないかと思います。

体外受精の一般的な流れを知ろう

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「体外受精を1回行うのに、どの程度の時間がかかるの?」と思う方もいらっしゃると思います。そこで、体外受精の仕組みを簡単にまとめてみました。

【1】採卵

排卵日に合わせて卵子を取り出す作業です。自然に排卵する1つの卵子を取り出す場合と、ホルモン剤を使って人工的に卵胞を刺激し、複数の卵子を取り出す場合があります。

【2】受精

卵巣から取り出した卵子と精子を受精させます。受精法には2種類あり、従来の体外受精と新しい受精法である顕微授精があります。

【3】培養

受精卵を培養させます。受精した卵子は胚と呼ばれます。

【4】移植

胚が成長したら子宮に移植します。胚は、凍結する場合と凍結しない場合があります。また、どの程度成長した胚を移植するかで、初期胚移植と胚盤胞移植に分かれます。

移植後、子宮の中で受精卵が無事に着床できたら妊娠成立です。

胚を凍結せずに移植する場合、採卵~移植までを1ヵ月以内に行うことが可能です。これが、最短のスケジュールになります。また、採卵と同周期に胚移植まで行う方法を「新鮮胚移植」といいます。私は、2回目の移植をこの方法で行いました。

ちなみに、採卵周期に胚を移植せずに凍結し、翌周期以降に凍結した胚を融解して移植することを「融解胚移植」といいます。実際には、採卵周期は採卵のために使用した薬などの影響で子宮環境が整わないため、胚を一度凍結して、翌周期以降に融解胚移植をするケースの方が多いようです。

人によってスケジュールは異なる

現実的に体外受精のスケジュールは最短で1ヵ月あれば可能ですが、それが体外受精の一般的なスケジュール感というわけではありません。採卵周期に使用する薬の種類によっては移植が翌周期以降になる可能性もありますし、実際のスケジュールは人によってまちまちです。

本人の希望によっても、スケジュールは左右されます。すぐに移植を行わず、十分な受精卵を確保するために採卵を連続して行う方もいるからです。なぜそうするかというと、受精卵を余分に凍結しておけば第2子、第3子を望むときに使えるというメリットがあるためです。

もちろん、余分に凍結しておいた受精卵を使って移植を連続して行う場合もあります。ただ、採卵も移植も排卵周期に合わせて行われるので、その周期を無視した採卵・移植はできません。 あくまでも、排卵日に合わせて採卵・移植をすることになります。そのため、1回の体外受精で2~3ヵ月はかかると見ておいたほうが良いでしょう。

結果を急ぐのは禁物!採卵から移植まで根気よく向き合おう

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私は体外受精による不妊治療を始めてから約半年間で5回採卵を計画し、2回移植をしました。

当時のスケジュールを振り返ってみます。

・1ヵ月目

採卵→2つ胚凍結

・2ヵ月目

凍結胚移植→失敗

・3ヵ月目

採卵→失敗

・4ヵ月目

採卵→新鮮胚移植→失敗

・5ヵ月目

採卵→失敗

・6ヵ月目

採卵→2つ胚凍結

とにかく早く結果を出すことを重視して、毎月のように不妊治療に取り組んでいたことがおわかりいただけるかと思います。余剰胚もありましたが、将来に備えて凍結保存していたので、採卵回数が多くなりました。実はこうして不妊治療に専念するうちに、体に異変が起こり、体外受精の結果も悪くなっていきました。具体的には、以下のような異変が私の身に起こったのです。

<私が実際に経験した体の異変・不調>

  • ホルモン剤を使って卵巣を刺激しても卵子が育たず、採卵ができない周期があった。
  • 周期に合わせて生理が来なくなり、生理を起こす注射に頼るようになった。
  • 周期に合わせて排卵しなくなった。
  • 採卵が成功しても採取できた卵子の数が次第に少なくなった。
  • 受精卵のグレードが次第に低くなった。


健康には自信があったものの、不妊治療を続ける度に不安になったのも事実です。

時間を置くことで子宮環境を整えることができた

担当の先生が変わってからは、まず子宮を休めることからスタートしました。結局、採卵から移植までに要した期間は5ヵ月。長かったな、と今でも思います。

当時のスケジュールを振り返ってみましょう。

・1ヵ月目

何もしない(お休み)

・2ヵ月目

ピルで子宮の調子を整える

・3ヵ月目

採卵→3つ胚凍結

・4ヵ月目

何もしない(お休み)

・5ヵ月目

移植→妊娠成立

年齢の心配もあるし、のんびりしたくないというのが本音でした。しかし、先生の指示に従ううちに、それまで不安に感じていた体の不調が改善していったのです。まず、注射を打たなくても生理が来るようになりました。採卵できた卵子の数も増えました。残念ながら受精卵のグレードはあまりいい状態ではありませんでしたが、凍結できた受精卵の数も今までで一番多い結果となったのです。

そして、無事に妊娠成立。

子宮を休ませることで、ここまで結果が変わるとは思ってもいませんでした。私にとっては不妊治療を休む時間を作って子宮のコンディションを整えることが、とても重要だったのです。

体外受精で子宮に無理をさせていませんか?休むことも大切です

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新たに担当になった先生は、常に子宮の状態をチェックしていました。子宮に採卵の傷跡があれば、その月は何もしないで子宮が回復するのを待つというスタイルでした。 採卵は卵胞に針を通して卵子を採取するため、卵胞には大きなダメージが残ります。普段の生活をしているとその痛みがないので、子宮が整っていないことには気が付きません。

しかし、私は時間をかけて子宮のコンディションを整え、子宮の回復を待つことが不妊治療を行う上で大切だということを、自らの経験から実感しました。高齢でAMHの値が低く、受精卵のグレードも低かった私ですが、それでも無事に妊娠することができたのです。

年齢の関係で、1日でも早く妊娠を成功させたいと思っている方は多いと思います。その気持ちは本当によくわかります。しかし、焦ることが決して良いこととは限りません。 体外受精で行き詰ったら、思い切って休むのも手です。もしかしたら私の場合と同じように、子宮が疲れているのかもしれません。もちろん自己判断は禁物ですが、理由もなく体外受精が失敗する場合には子宮のコンディションが影響している可能性があります。かかりつけの先生とも相談して、自分に合った不妊治療を模索していきましょう。もう無理かもと諦める前に、できることがあるかもしれません。

この記事を書いた人

高齢40歳・低AMHの私が3回目の体外受精(顕微授精)で妊娠!成功の理由を振り返る

ララ

ライター

宮城県在住。文学部出身にも関わらず宅建士、行政書士、司法書士の資格を保有。不動産会社に勤務し、これまで年間500物件以上の資料作成に携わってきました。資格や経験を活かした記事やアラフォー向けの記事が得意です。好きなことは美味しいものを食べることですが、年々弱る胃袋を何とかしたいと日々試行錯誤しています。

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