私は一昨年、家族(私と妻、1歳半の息子)で沖縄県の宮古島に移住しました。宮古島は移住したい土地ランキングで常に上位にランクインするほど、住むところとしての需要が高い場所。青い海、白い砂浜、常夏の島。それを求めて移住したいと考えている人は決して少なくないでしょう。
宮古島に移住する前は、全国転勤ありの食品メーカーの営業として勤務していた私。一昨年に晴れて結婚をしたのですが、結婚当初から妻は東京、私は広島で単身赴任というイレギュラーな新婚生活が続きました。そして昨年には息子が誕生。お互い共働きの継続を希望しており、また家族と一緒にいたいという想いもあったため、住居について夫婦で悩んでいました。
そんななかで浮上したのが、宮古島への移住です。妻の会社が宮古島に支社を立ち上げるとのことで、そこで夫婦共々お世話になることに。自宅は、とりあえず事務所の一部を間借りして住むことに。その後、再度引越しをしたり(島内での引越し)、私はフリーランスとして独立したりといろいろな経験をしました。
これらの経緯を踏まえ、当記事では宮古島への移住検討者に向けて4つのアドバイスを贈りたいと思います。
【1】まずは移住の計画。移住後を具体的にイメージしよう
移住には、まず計画が不可欠です。仕事はどうするのか? 住むところは? 子育てはどうする? などなど……。決めないといけないことが山ほどあり、途方に暮れるほど。恵まれたことに私の場合、仕事も自宅も事前に決まっていましたが、たいていの場合はそうはいかないのではないのでしょうか。
移住をしたいと考えている方は、まず一度宮古島に1カ月ほど滞在して、いろいろとリサーチをするのがベストだと思います。仕事などの関係で「1カ月なんて無理だ」となれば、1週間でも結構です。
移住をする前に必ず、ここに住むんだという気持ちで滞在することをおすすめします(観光気分ではなく)。と言うのも、移住の目的や事前の計画、実際の生活イメージをもっと具体的に膨らましておけばよかったというのが私の一番の反省だからです。
例えば、朝起きてから寝るまでの生活を想像してみたり、1週間の流れを想像してみたり。そうすると、どこで普段買い物をして、どこに病院があって、ゴミの収集はどうなっている、なんていうことも気になってきます。
気をつけなくてはいけない点は、移住は旅行ではなく、生活するということ。振り返ってみると、私は「とにかく、宮古島に行くんだ!」という想いが先走りしていたように思います。それも無理はありません。今までであれば、大金をはたいて旅行に行くような場所に住もうとしているんですから。当時の自分に伝えたい、「一歩立ち止まり、冷静になってもっと具体的に計画を立てなさい」と。
【2】家探しは地道な努力によって切り開かれる
移住計画の際にまず一番にやらなければいけないこと。それは家探しです。宮古島は横に長い島で、さらに周辺には大小あわせて5つの島が存在します。そのどこに住むのか、おおよその見当をつけるといいでしょう。市街地に住むのか、それとも田舎に住むのか。
ただし家探しは意外と難しく、移住者の増加やリゾート開発などで空き物件が少ないのが宮古島における住宅事情の現状です。空き家は結構あるのですが、それが市場に出回っていません。
そういったなかでの家探しファーストオプションは、まず不動産屋にとにかく当たってみること。家探しの王道です。宮古島にも何軒か不動産屋がありますが、そのなかでもまずは、「ひろし不動産」さんと「アパマンショップ宮古島店」さんに問い合わせることをおすすめします。
なんでも、宮古島の住宅物件の大半はこの2社が管理しているとのこと(某不動産屋さんのオーナー談)。この2社はホームページも持っているので、そちらも要チェックです。
ただし、そのぶん競争率も高いため、空き物件がホームページに公開されてもすぐに埋まってしまいます。私が今住んでいる自宅も、ひろし不動産さんを介していますが、ホームページを毎日チェックして、よさそうな空き物件を見つけたので即決しました。契約前の内覧もできなかったので、ドキドキでしたが。
また、その他の不動産屋も物件数は多くありませんが、問い合わせる価値は大いにあります。自社のホームページを持っていないところが多いので、そのぶん競争率が低め。宮古島市のタウンページに、ほとんどの不動産屋が掲載されているので、調べてコツコツ地道に電話してください。また、現在建設中のアパートなども数多くあるので、新築物件についても必ず聞くことも忘れずに。宮古島での家探しは、こういった地道な努力と巡り合わせによって切り開かれるでしょう。
【3】宮古島は労働力不足、ただし賃金相場は高くない
なんとか家探しにめどがついたら、今度は仕事探しです。家探しは難航することが予想されますが、仕事は比較的見つけやすいと思います。ただし、選ばなければという条件付き。
意外に思うかもしれませんが、宮古島市は沖縄県で唯一、人口が減少している市です。特に労働人口が減っています。その一方で、観光客数は毎年前年比2桁増で右肩上がり。したがって、働き口は多いように感じます。
ただし、賃金相場は高いとは言えません。一般的な相場で正社員は月給20万円前後、アルバイトで時給800円前後。職種は観光客向けの仕事(ホテル、マリンショップなど)や保育・介護の仕事、一般事務などが多くを占めています。
探し方は、ハローワークが一番手っ取り早いでしょう。求人数も圧倒的な多さです。また知人から仕事を紹介してもらうというパターンも宮古島では結構あるので、まずはアルバイトや契約社員として働いて、その後、腰を据えて探すのもひとつの手だと思います。
いずれにせよ、収支のバランスをよく考えておく必要があるでしょう。
【4】引越しは手間をかけて費用を抑えよう
住むところや仕事など、おおよその生活スタイルが決まったら、残るのは引越し作業。宮古島への引越しは隣町に引越すのとは訳が違います。時間もかかるし、お金もかかる。
私の場合、家族3人で広島市にある2Kのアパート(35㎡ほど)から宮古島に引越しをしました。まずは、複数の引越し業者に見積もりを依頼。すると、100万円オーバーの驚きの金額! コンテナで運ばなくてはいけないので、どうしても高くなってしまうとのこと。これに面を食らった私は、なんとか安く済む方法はないかと模索しました。
そこで見つけたのが、ヤマト運輸の「らくらく家財宅急便」と郵便局の「ゆうパック」の合わせ技でした。らくらく家財宅急便は、1個単位で大型の家電や家具を運んでくれるサービスで、ベッドや冷蔵庫などの大きなものまで運んでくれ、梱包・開梱もしてくれます。例えば2人掛けソファであれば2~3万円ほど。費用と価値を比較して、見合わなければ、現地で買い換えるという選択肢もあります。
こまごまとしたものは、段ボールに詰めてゆうパックで送りました。手間はかかりますが、これが私なりの最適解でした。その甲斐もあり、引越し費用はしめて60万円。ぼちぼちの結果ではないかと思っています。発送する場所や量によっても差があるので、こんな方法もあるということを知ってもらえたらと思います。
とにもかくにも移住のイメージを固めよう
宮古島に移住と聞くと、とても優雅なイメージを想像しがちです。しかしながら、宮古島に旅行するのと実際に生活するのとでは、そこには大きな隔たりがあります。夕日に照らされた海を見ながら、ビールを飲み、穏やかに暮らすというイメージもいいのですが、決していいことばかりではなく、移住にはいろいろな課題がつきもの。だからこそ、自身の移住の動機や目的、また移住後のイメージをより具体的にすることが一番大切です。
最後に言いたいのは、宮古島はいいところです!