ひと昔前、芸能人や有名人の間でも話題になったバス釣りは、時代の波に即して今や2種類のブラックバスをターゲットとする本格プロスポーツへと進化しました。そのうちのひとつである「スモールマウスバス」釣りは、個体のそのどう猛な性格ゆえ、引きの強さや希少性も相まって、多くのルアーマンたちの憧れの的です。いまだにどのような場所でどんな釣り方が一番有効なのか、未解明の部分も多い“未知なるターゲット”のひとつといえます。
今回、そんな「スモールマウスバス」釣りの奥深さや魅力をより多くの方に伝えたいと思い、バス釣り歴40年の筆者が、2種類のブラックバスの違いや、確実に釣れるコツを解説します。この記事を読めば、皆さんもエキサイティングなバス釣りの世界に魅了されるはず。すぐにでもフィールドに繰り出し、まだ見ぬ未知の釣りにチャレンジしたくなることでしょう!
「スモールマウスバス」釣りの魅力
「スモールマウスバス」とは、北米原産の外来魚で気性が荒く、とてもどう猛な魚です。とはいえ、人を襲ったりするほど危険な魚ではありません。昨今のバスフィッシングブームでは「ラージマウスバス」と並んで、アングラー(釣り人)に人気のターゲットのひとつ。
その引きの強さは「ラージをも上回る!」と称されるほどのファイトっぷりなのです!1度釣ったら病み付きになるといわれるほど、ルアーゲームでは魅力的な魚として有名です。
スモールマウスバスとラージマウスバスの違い
国内に生息するブラックバスという魚に2種類現存するのは前出の通りです。個体差を比較してみると「ラージマウスバス」は、別名「オオクチバス」とも呼ばれています。口が大きく魚体の側偏に黒い楕円形の模様がいくつも連なっており、色は茶褐色です。
対する「スモールマウスバス」は、一見するとヒョウ柄やトラ模様とでもいうべき派手な琥珀色の模様で、口が小さく「コクチバス」とも呼ばれています。容姿の違いもさることながら、同じ河川に生息する魚でも「スモールマウスバス」には日中を通してスクール(回遊)する習性があるなどの違いが見られます。派手目の魚体がさらに希少性を高め、釣り人の好奇心をあおる一因となっているのは間違いないでしょう。
スモールマウスバスの生息域
「ラージマウスバス」は日本全国の比較的温暖な河川や湖沼といった止水域を主な生息域 としているのに対し、「スモールマウスバス」は流れのある河川の中流域、北海道を除く関東より以北の冷水域に多く生息しています。
今もなお、米国から持ち込まれた経緯など不明な点が多く、同じブラックバスである「ラージマウスバス」と比べると、生息域はおろか食性や性格にまで大きな違いがあるのです!
釣るために必要な「縦の釣り」と「横の釣り」
バス釣りでは、ルアーという疑似餌を使って魚を誘いますが、釣るためは「縦の釣り」と「横の釣り」という概念を意識すると、おのずと釣果が変わってきて奥深さを探求できます。「縦の釣り」とは、ルアーをある一点の狙ったポイントに落とし、水中のさまざまな層を縦に探る釣り、いわば点で捉える釣り方です。
これとは対照的に、投げたルアーを広範囲に動かして魚の好奇心をあおる釣り方が「横の釣り」と呼ばれるもの。前者の「点」に対して「面」で探る釣りともいわれています。
これら2つの概念を、シーズナルパターン(魚の季節の動き)と照らし合わせて効果的に使い分けることにより、みるみる釣果が伸びていくのがバスフィッシングの面白いところです。
「スモールマウスバス」の狙い方
それでは、実際に「スモールマウスバス」はいったいどんな場所にいるのでしょうか?具体的に狙う場所や釣り方を簡単に解説しましょう!
基本は河川の中流域、澱みや障害物に潜む
「ラージマウスバス」は温暖な地域の河川の下流や湖沼、溜め池などに生息しているのに対し、「スモールマウスバス」はほとんどが流れのある河川の中流域、澱みや岩などの障害物に身を潜め、獲物である甲殻類や小魚が来るのを待ち構えています。
ポイントは、流れがよれている場所や落ち込んでいるところ、水流に変化のあるところを素早く見つけることが重要です。
堰や積み石、テトラポッドにルアーを送り込み誘う
フィールドで筆者が今まで最もよく釣ってきた具体的な場所は、河川の下流域にある堰下や積み石などのボトム(川底)形状に変化のあるところ、川岸にあるテトラポッド(消波ブロック)の岩と岩の間、隙間などです。
このようなポイントにそっとルアーを送り込んだ瞬間、手元に来る「ガツン!」という強い魚の衝撃がまた、たまらなく快感なのです。
流れに任せた「ドリフト」釣法が効果的!
「ドリフト」釣法とは「スモールマウスバス」を釣るためによく使われるテクニックのことで、川の流れにルアーを漂わせるだけの、とてもラクチンな釣り方です。際立ったロッドアクションは必要とせず、弱った小魚が演出できる上に釣果も高いので、初めての方はぜひ1度試してみてくださいね!
確実に釣るための4つのコツ
1度釣ったら病み付きになってしまうほどの迫力あるファイトと、引きが楽しめるのが「スモールマウスバス」釣りの魅力です。豪快に水面をジャンプする「エラ洗い」を体験したら、途端にこの釣りにはまってしまうことでしょう!
いくら謎に満ちた魚といえど、よく釣れる方法というものは確実に存在しますので、筆者が今までの経験から学んだ4つのコツを伝授します。
【1】釣れる場所を知る
釣れる場所を知り、釣る場所を絞ることが最も大事。スモールマウスバスは、回遊性のある気まぐれな性格の持ち主といわれるほど、釣れる場所を絞るのがとても難しい魚です。
しかし、1度釣れたポイントは再度釣れる傾向が強いため、とにかくフィールドに繰り返し足を運んで開拓し、グーグルマップなどを使って釣れる場所を知っておくことが、確実に釣果を伸ばす最短距離となります。
【2】季節や時間帯を意識する
一般にシーズナルパターン(季節毎の魚の動き)とは、ラージマウスバス狙いの際に用いられる概念です。しかし、スモール狙いの際にも応用でき、夏場は流れのある涼しい場所を好み、冬場は温排水エリアなどの暖かいポイントに移動すると考えられます。
釣りをしている季節がいつなのか、過ごしやすい時間帯や魚の活性が高い時間帯を意識することにより、おのずと釣れる確率は高まることでしょう!「フィーディングタイム」と呼ばれる魚が活発にエサを追う時間帯は、特に釣りやすいことで有名です。
【3】フィールドや天候に合わせたルアーカラーをセレクト
フィールドによって水質が濁っていたり、透明度が高かったりと状況はさまざまです。一般に濁り気味の水質では、黄色や緑などの明るい「チャート系」と呼ばれる色のルアーが、水中で目立つため、魚の反応がよいといわれています。
反対にクリアー(透明度が高い)な水の場合は、魚に見切られないために、より自然の生物感に近い黒などの「ナチュラル系」カラーのルアーをチョイスするようにします。雨の日や曇りの日は視認性を高めるために派手目のルアーを、晴れの日は少し控えめなカラーを選ぶと、より効果が高いことを知っておきましょう!
【4】ライブベイトを知る
ライブベイトとは、日頃バスが捕食している甲殻類や小魚などの活きエサのことを指します。生息域によっても異なりますが、通常は河川にいるザリガニやエビ、ワカサギや稚鮎、ゴリなどが一般的です。
狙うフィールドのメインベイト(普段バスが捕食しているエサ)が何なのかを探り、それに似せた形状のルアーを使えば、一匹を手にできる確率は格段に高まるのです。
「バス釣り」という最もポピュラーで人気のプロスポーツ
「バス釣り」=「バスフィッシング」は、近年さまざまなプロ団体が設立されています。琵琶湖や霞ケ浦といった国内でも有名な湖で、トップトーナメンターによる大会が開催されている本格プロスポーツです。シーズンや開催地によっては、スモールマウスバスも対象魚に含まれ、検量により、大きさや重量も審査の基準となることで知られています。
ローカルトーナメントでは、一般のアングラーによる門出も開かれており、今後も高い認知度を誇って注目され続けることでしょう。ラージマウスバス狙いとはまた一味違った「スモールマウスバス」釣りの魅力に、1度ドップリと浸かってみてはいかがでしょうか。