みなさんは、「ストレス」と「体臭」が密接な関係にあることはご存知でしょうか。ストレスと聞くと、「イライラ」や「注意力の低下」、「うつ病」などといった症状や精神疾患を思い浮かべる方が多いのですが、実はストレスが原因で体から臭いを発してしまう場合があるのです。
筆者である私が職場で従業員のストレスマネジメントを行っていると、様々なストレス要因やストレスに伴う症状に遭遇しますが、体臭に関する悩みも少なくありません。特に女性や20代~30代といった若い方は、体臭を気にするあまり会社に来られなくなってしまったり、人との交友関係を断ってしまったりするほど思い詰められてしまう場合があります。
これほど深刻に悩んでしまう原因のひとつに、体臭の原因がストレスであることに気づけず、対処方法に辿り着けないということあげられます。そこで当記事では、ストレスが引き起こす体臭の原因とセルフケアで改善する方法についてご紹介します。
ストレス臭の特徴を知ろう
体臭には「加齢臭」や「ワキガ臭」などがあり、それぞれに臭いの特徴がありますが、「ストレス臭」も同様です。ストレス臭の特徴を知ることで、自分の体が発している臭いがストレスに起因するものかどうかを切り分けることができます。
ストレス臭はどんな臭い?
ストレス臭のひとつに、口から発せられる「腐敗臭」があります。ストレスは内臓の様々な箇所に悪影響を及ぼしますが、腐敗臭は胃の働きが悪いときに起きる症状です。胃の働きが悪いと食べたものを上手く消化できず、食べたものが胃の中に長時間残ってしまうため、腐敗臭となるのです。
また、腸内環境が悪いと「自分が食べたものの臭い」を皮脂腺から発するのも特徴です。食べてから数時間後に臭うこともあれば、2日前に食べたものの臭いがするなんていうこともあり、何日分もの食べたものの臭いが混ざり合った体臭になります。
アンモニア臭は疲労臭を併発している!?
ストレス臭は、疲労臭を併発していることが多くあります。疲労臭の特徴は「アンモニア臭」で、汗の臭いとなります。疲労で肝臓や腎臓の機能が低下すると、尿と一緒に排泄されるはずのアンモニアが体内に残って血液中に流出してしまいます。
ストレス臭は体調不良のサイン
ストレス臭にはストレスによる内臓機能の低下が大きく関わっていることがお分かりいただけたと思います。しかし、ストレスが悪影響を及ぼすのは内臓機能だけではありません。また、内臓機能の低下はストレス臭以外にも様々な悪影響を及ぼします。
自律神経のバランスの乱れはストレス臭を悪化させる
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の働きで成り立っています。
交感神経=緊張状態や興奮状態
副交感神経=リラックス状態
それぞれには役割があり、どちらの働きが多いから良いというものではなく、バランスが大切なのです。しかし、強いストレス状態にあると交感神経が過剰に働くため、緊張状態が続いてしまいます。
このように、自律神経のバランスが乱れると、血液の流れが悪くなりますので、頭痛やめまい、不眠などの症状が出るのです。また、緊張状態は内臓機能の働きが抑制されますので、ストレス臭を悪化させる原因にもなります。
腸内環境の悪化は体臭だけに留まらない
腸内環境が悪化すると、便秘や肌荒れはもちろんのこと、免疫力の低下や高血圧、大腸癌の原因にもなります。ストレスで自律神経のバランスが乱れると、大腸のぜん動運動が鈍くなり、悪玉菌が活性化しやすい環境になってしまうのです。普段から乳酸菌などを摂取し、善玉菌を増やすことを意識しましょう。
悩みすぎは危険?精神疾患に発展するケースも
体臭は自分だけの問題ではなく、周りの人に迷惑をかけるという思いから萎縮してしまい、恥ずかしいという感情から誰にも相談することができず一人で抱え込んでいる方が多くいます。このような状況はストレスの悪化に繋がります。
また、体臭を消したくて香水などの強い匂いでごまかそうとした結果、余計に臭いが気になってしまうという悪循環に陥るようなケースも。「努力をしているにも関わらず改善されない」という気持ちは、さらに強いストレスとなるのです。
強いストレス状態が続くと、精神疾患を引き起こす可能性があります。精神疾患は自分で治すことはできません。専門医の治療が必要になりますので、必ず病院へ行きましょう。
ごく一部ですが、症状の特徴をいくつかご紹介します。
うつ病
真面目で責任感の強い人や内向的な人が発症しやすく、完治に時間がかかり、再発しやすいのが特徴です。
自律神経失調症
めまいや立ち眩み、動議などの症状が続くのが特徴です。
睡眠障害
眠れないのはもちろんですが、夜寝ているにも関わらず昼間に我慢できないほど眠くなるのも睡眠障害です。
ストレス臭を改善させる3つのセルフケア
ストレス臭を改善するにはストレスをなくすことですが、ノンストレスで生きていくのは難しいでしょう。しかし、ストレスと上手に付き合っていくことならできます。
ストレスの予防と対策は質の良い睡眠であることは有名ですが、他にも日常生活の中でストレス臭を改善する方法があるのです。
【1】食生活はストレス臭の改善への第一歩
たんぱく質の摂り過ぎには注意しましょう。たんぱく質を多く含む食べ物は体内でアンモニアを大量に発生させますので、特にお肉の食べ過ぎはNGです。
ストレス臭を改善してくれる食べ物は以下のようなものです。普段の食事に積極的に取り入れて、内臓機能を正常にしましょう。
胃の消化を助けてくれる食べもの
大根・キャベツ・長いも
腸内環境を整える食べもの
きのこ類・豆類・海藻・ごぼう・レンコン
肝臓・腎臓機能を正常にしてくれる食べもの
緑黄色野菜・果物・しじみ・ヒラメ
【2】トイレの我慢は絶対NG
仕事中など、ついついやってしまうのがトイレの我慢です。トイレの我慢は、アンモニアを体内に溜め込んでいるということですので、ストレス臭や疲労臭の原因になります。水分をこまめに摂るようにして、アンモニアを速やかに体外へ排出しましょう。
【3】バスタイムはストレス臭撃退のチャンス
バスタイムはシャワーだけで済ませずに、湯船にゆっくりと浸かりましょう。ぬるめのお湯に15分程度浸かると、発汗やリラックス効果が期待できます。また、体の疲れも取れますし、血流も良くなるので、ストレス臭の改善に繋がります。
ストレスをコントロールしよう
ストレス社会で生きる私たちは、ストレスをコントロールできるかどうかが健康を保つための鍵となります。原因の分からない体の異変は不安で恐ろしいものですが、体の不調を知らせてくれるサインなのですから、しっかり受け取りたいものです。
ストレス臭を改善するにはストレスを発散することも大切ですが、体の中から健康になることも重要です。「食事・排出・発汗」で予防・改善をしていきましょう。