「パワー・スポット」や「ご朱印」のブームもあり、すっかり趣味のひとつとして定着した神社めぐり。読者のみなさまのなかにも、休日のたびに神社へ参拝に出かけるという方もいらっしゃることでしょう。
しかし、いざ参拝となったときに意外と困るのが、いったいどの神社を参拝したら良いのかという点です。なにせ日本国内にはコンビニエンス・ストアよりも多くの神社が存在するといわれており、参拝するにしてもあまりにも候補が多すぎて困ってしまうもの。
そこで当記事では、ブーム到来前から神社めぐりを趣味としてきた筆者が、実際に参拝しておもしろいと感じた東京23区内にある神社を紹介したいと思います。
赤羽八幡神社(北区)
いま話題の街・赤羽地域の総鎮守
ドラマ化もされたマンガ『東京都北区赤羽』が話題になり、「住みたい街ランキング」でも上位にランクインするなど、近年注目を集めている街、赤羽。その赤羽駅から徒歩で10分程度の位置にあるのが、最初に紹介する赤羽八幡神社です。この神社、全国的に知名度が高いわけではありませんが、実は見どころがたくさんあり、赤羽の隠れた名所となっています。
歴史上の人物からアイドルまで……幅広い人物との縁
ひとつめの見どころは、歴史があるという点。社伝によると、いまから1200年以上も前の784年、坂上田村麻呂が創建したと伝えられています。坂上田村麻呂といえば、征夷大将軍に任じられ阿弖流為と戦った武官として、日本史の教科書にも登場する人物です。そんな偉大な人物が建立した神社が、赤羽という都心にほど近い場所にあるというのですから驚きです。実際に境内を歩いてみると記念碑などが林立しており、たしかに伝統があることがうかがえます。
また、「鉄道の聖地」としての見どころもあります。この神社では境内の下を新幹線が通過しており、最近開通したばかりの北陸新幹線や北海道新幹線の最新車輛もばっちり見ることができます。在来線も埼京線や東北本線、京浜東北線などを境内から見ることができて、鉄道ファンならばいつまでもいられるのではないでしょうか。また、撮り方を工夫すれば、ちょうど鳥居のなかに新幹線が収まるという、なかなか珍しい構図での写真を撮ることも可能です。
そして最近では、関西を代表するアイドルグループのファンの聖地としても有名です。風水では2004年2月4日から2024年2月3日にかけて「下元八運期」にあたることから、当神社では8の字を横にした「∞」マークをあしらったお守りを頒布していました。すると、関西アイドルグループのロゴと共通していたことから、次第にファンが多く集まるようになりました。近年は月次祭でファンの健勝を祈るなど、神社公認で積極的に連携しているようです。
◆赤羽八幡神社
〒115-0053
東京都北区赤羽台4-1-6
03-3908-1764
http://ak8mans.com/
鳩森八幡神社(渋谷区)
文教地区・千駄ヶ谷を昔から見つめつづける神社
2020年にオリンピック・パラリンピックの開催を控え、現在急ピッチで工事が進められている国立競技場からも近い千駄ヶ谷地域。この一帯の総鎮守として建立されたのが、こちらで紹介する鳩森八幡神社です。
ぜひ登頂してほしい、都内最古の富士塚
この神社を参拝するとまず眼を引くのが、境内につくられた富士塚です。この富士塚は江戸時代から有名で、都内最古ともいわれ、東京都の有形民俗文化財にも指定されています。富士塚自体は標高も低く、普段着にスニーカーでも簡単に登れてしまうので、みなさんも気軽に挑戦されてみてはいかがでしょうか。ちなみに、社務所では登頂証明書を授与しています。
藤井四段が参拝していた可能性も?
このように歴史がある一方で、ものすごくタイムリーな神社でもあります。2017年、将棋界にスーパースター・藤井聡太四段が登場し、29連勝という未曾有の快進撃を続けて一躍将棋ブームが沸き起こりました。その大記録の舞台となった将棋会館の近くに位置するのが、この鳩森八幡神社です。多くの棋士たちに愛され、日本将棋連盟からは大駒を奉納され、現在では境内に建てられた将棋堂の内部に祀られています。藤井四段がこの神社を参拝されたかどうかはわかりませんが、歴史的な快挙に思いを馳せつつ参拝してみれば、なにか良いことがあるかもしれません。
◆鳩森八幡神社
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷1-1-24
03-3401-1284
http://www.hatonomori-shrine.or.jp/
須賀神社(新宿区)
昔から地域で親しまれてきた「酉の市」
最後に、新宿区にある須賀神社を紹介します。さきほど取り上げた鳩森八幡神社からもわりと近い、四谷地域の総鎮守になっています。
新宿区というと大都会のイメージがありますが、四谷のあたりは昔から寺町として知られ、多くの古刹が存在します。この須賀神社もやはり歴史があり、詳細な創建年度は不明ながら、寛永期にはすでに存在したとされ、『江戸名所図会』にも描かれるなど昔から地域のあいだで親しまれてきました。
また、この神社は「酉の市」が開催されることでも有名です。同じ新宿区には「花園神社」があり、どちらかというとそちらのほうが有名ですが、この神社でも毎年酉の市が開催され、縁起物の熊手や出店を目当てに多くの参拝客が訪れます。当日の賑わいは、参拝したことがないとなかなか説明しづらいと思います。ぜひ1度行ってみてください。
『君の名は。』のロケ地とのウワサも
そして、最近ではこの神社が急激に注目を集めています。なぜなら、あの超大ヒット映画『君の名は。』の舞台のひとつではないかとウワサされているからです。映画をまだご覧になっていない方でも、階段で主人公の男女2人が見つめあっているポスターはニュース報道などでご存知なのではないでしょうか。実はその舞台となっている階段が、須賀神社の正面にある階段ではないかとファンのあいだで話題になったのです。
製作者側による公式な説明がなされていないため、あくまでもウワサにすぎません。しかしながら実際に行ってみると、手すりの赤い色や階段の角度などがそっくりであるため、とても偶然の一致とは思えません。
主人公のひとりである立花瀧が神社近くの新宿区若葉に住んでいることは公式に説明されているので、筆者自身は真実なのではないかと思っています。映画に感動して「聖地巡礼」しようと思っても、もうひとつの舞台である飛驒地方には、東京からではなかなか遠くて行けない方も多いと思います。四谷であればいつでも行けるので、訪れてみるのも良いですね。
◆須賀神社
〒160-0018
東京都新宿区須賀町5
須賀神社
http://www.sugajinjya.org/
東京の神社でワクワク体験を
以上、3箇所の神社を紹介しました。メディアであまり紹介されない小規模な神社を意図的に取り上げてみたのですが、それでも多くの魅力があることがよく伝わったと思います。有名な神社や仏閣を参拝することもそれはそれで楽しいのですが、あまりふだん注目されていない神社にも、それぞれさまざまな魅力があると思います。筆者も趣味としてもう何年も神社を訪れていますが、あらたな神社を訪れるたびにさまざまな出会いがあり、毎回とてもワクワクします。これを読まれたみなさんも、まずは近所の神社からで良いので、ぜひワクワクを体験しに出かけてみてください。