「1人1アバター」の時代は訪れるのか?VTuberが見せる未来の可能性

●VTuberは今、VR/ARライブや地上波テレビ出演も行うなど、活動の幅を拡げている。
●一方で多くの企業が、広告塔としてVTuberに注目している。
●VTuberは「なりたい自分になれる」手段。
●VTuberのファンになることは、関連するVR技術に触れるきっかけにつながる。
●VR技術が身近になれば、個人個人がVR空間で活動するためのアバターが必要になる。
●VR空間で自分好みのアバターを使うことは、立派な自己表現といえる。
●自己表現という点では、誰もがVTuberのような存在になるのと同じ。そのような未来が来るかもしれない。

バーチャルYouTuber(VTuber)をご存知でしょうか?VTuberは2017年末に突如ブレイクした、バーチャルな体(CG)で活動する、新しい形態の動画配信者です。アニメのような外見を持ちながらも、動画のコメントやSNSを通じて、ファンと積極的に交流します。

引きこもりだった筆者は、2018年の2月頃にVTuberを知りました。そして、ひと目で夢中になり、必死になって追い続けた結果、VTuberを含めたVR技術の今後に大きな可能性を感じたのです。この記事では、そのワクワクを伝えるべく、拡大しつつあるVTuberの活動やVRの今を紹介すると共に、VTuberとVRの未来について妄想していきたいと思います。

活動の幅を拡げるVTuber

動画配信を通じて若者を中心に認知を拡大してきたVTuberですが、最近はトップランナーを中心に、いよいよ活動の幅を拡げています。具体的にどのような活動をしているのか、実際の動画を交えて、いくつか紹介します。

AR/VRライブ

「ARライブ」は、その名の通り、AR(拡張現実)技術を使った音楽ライブやトークイベントです。多くの場合、ライブハウスなどにAR機材を持ち込んで、VTuberのパフォーマンスを映し出す形で行われます。

「VRライブ」はVR空間で行われるライブです。観客はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着することでVR空間へアクセスし、ライブに参加します。

VTuberにとって、VR空間は“ポテンシャルを最大限に発揮できるホームグラウンド”です。従来のライブでは実現できなかった自由な演出、例えばVTuberが自分の目の前でパフォーマンスをする、会場そのものが変化するといった、新しい体験を提供してくれます。

地上波テレビ番組への出演

最近では、一部のVTuberが地上波テレビ放送に進出し始めています。2019年1月3日には、NHKがVTuber特番『NHKバーチャルのど自慢』を放送し、話題を呼びました。

現在放送中のVTuber出演番組を2つ、簡単に紹介したいと思います。

・テレビ朝日『超人女子戦士ガリベンガーV』
2019年1月17日~毎週木曜日25:29 – 25:59(30分)
レギュラー出演:電脳少女シロ

・テレビ東京 ドラマ25『四月一日さん家の』
2019年4月19日~毎週金曜日24:52 – 25:23(30分)
主演:ときのそら、猿楽町双葉(さるがくちょう ふたば)、響木アオ(ひびき あお)

自由にデザイン可能なバーチャル広告塔

いくつかの大企業は、広告塔として自社オリジナルVTuberを運用しています。企業VTuberは、その企業のイメージが反映されたデザインとなっているのが特徴です。

例えば「水と生きる」をキャッチフレーズとするサントリーの公式VTuber「燦鳥ノム(さんとり のむ)」は、白と水色が多く使われた、清らかさや清涼感があるデザインとなっています。

このように姿形や服装、髪型に至るまで、自由にデザイン可能な点はVTuberの大きな利点です。

ゲームとのタイアップを行うVTuber

VTuberを使った広告として、ゲームタイトルとVTuberのタイアップが多く見られます。その内容は、VTuberがキャラクターとしてゲームに出演する大掛かりなものから、単純にVTuberがそのゲームをプレイする様子を配信するものまで、さまざまです。

こういったVTuberとのタイアップは、ゲームのダウンロード率や課金率が高くなりやすいという強みがあります。一般的にVTuberファンはエンゲージメント(VTuberへの愛着)が高く、金銭を投じることにためらいが少ないのが理由です。

VTuberがCMキャラクターに

VTuberが起用されているのは、ゲーム案件だけではありません。「キズナアイ」はブルボン、「輝夜月(かぐや るな)」は日清のテレビCMに抜擢されています。いずれも商品にあわせて衣装を変更するなど、VTuberの強みを活かした宣伝を行っています。

VTuberは「なりたい自分になれる」手段

2017年には数える程度しか存在していなかったVTuberですが、2019年2月末には7,000人を突破しています。一体なぜ、これほどまでにVTuberが増えているのでしょうか?

VTuberは、素顔を出さずに活動する動画配信者です。外見はコストをかければ自由に作ることができますし、2Dであれば比較的安価にモデルを用意することができます(20~30万円が相場)。

このように、VTuberは比較的容易に「なりたい自分になれる」手段です。また、いくつか無料でアバターを作成できるサービスも始まっていて、ますますVTuber化のハードルは下がっています。VTuberとして自己表現をする人は、これからも増え続けていくでしょう。

VTuberが見せる「1人1アバター」という未来

ここからは事実ではなく、筆者が考える未来の話をします。妄想や夢に近いものなので、外れたとしても怒らないでください。

VTuberが誘う、可能性に満ちたVR空間

VTuberのホームグラウンドは、やはりVR空間です。特に3DのVTuberは、生配信や動画撮影をVR空間で行うため、ファンは自然とVR技術に触れることになります。このように、VTuberはファンをVR空間へと誘う“導き手”としての役割も担っています。VTuberがより一般的な存在になれば、VRの普及に一役買うかもしれません。

VR空間での社会活動

VTuber以外にも、VRを利用したビジネスは世界中で展開されています。住宅情報サイトの「SUUMO」は、一部の物件をVRで確認できる「バーチャル見学」を可能にしました。また、アメリカの医療現場では、手術のシミュレーションやメンタルヘルスでのVR利用が研究されています。

より進歩的な例として、VR空間にオフィスを構えているナスダック上場企業も存在しています。その企業は、現実に存在するオフィスをほぼ保有しておらず、社員は出社する代わりに、VR空間上のオフィスにログインして仕事をするのです。

VR空間での「自分」

インターネットとVRは、どちらも大きな可能性を持っている点で似ています。インターネットは誰もが当たり前のように利用するインフラとなり、もはや欠かせないものです。やがてVRも、身近な存在になるでしょう。そしてインターネットと同様に、VR空間でも手軽に自己表現ができるようになるはずです。

VR空間での自由な自己表現

インターネットとVRは、どちらも大きな可能性を持っている点で似ています。インターネットは誰もが当たり前のように利用するインフラとなり、もはや欠かせないものです。やがてVRも、身近な存在になるでしょう。そしてインターネットと同様に、VR空間でも手軽に自己表現ができるようになるはずです。

VTuberはVR世界への導き手

自分好みのオリジナルアバターを用意して活動をする。それは、今多くのVTuberが実践している「なりたい自分になる」ことと同じです。
仕事とプライベートで公私を使い分けるのと同じように、公私でアバターを使い分ける人も出てくるでしょう。仕事で真面目なイメージに合うお硬い雰囲気のアバターを使う一方で、プライベートでは趣味の作曲を行うための少しおしゃれでそれっぽいアバターを使う。
これはすなわち、VR空間でのアバターそのものが自己表現になり得るということです。なりたい自分になって、やりたいことができる。誰もがVTuberと呼べる存在になる日が、近い将来訪れるかもしれません。

この記事を書いた人

「1人1アバター」の時代は訪れるのか?VTuberが見せる未来の可能性

らいてぃんぐSabra

ライター

横浜出身、横浜在住。
引きこもって生きていくことを目標に活動している、元システムエンジニアのVTuber大好きおじさん。
プログラムやサブカル以外の分野の記事も書けるように修行中。

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