奥さんのため、赤ちゃんとのコミュニケーションのため、思い出のためなど……。現代では立ち会い出産を希望するパパさんも多いのではないでしょうか。出産は夫婦の問題です。「血を見て倒れた」「耐えきれなかった」など、体験談では情けない姿がピックアップされることの多いパパさんですが、実際はどうなのでしょう。
立ち会い出産を体験したての新米パパである筆者が、出産当日の3つの場面より、恥ずかしながら自身の失敗と共に教訓をお伝えします。
いつ起こるかわからない破水のために前もって準備をしよう!
「破水」とは、出産直前にお産が近くなることで卵膜が破れ、お腹の中の羊水が性器から母体の外に出てくることをいいます。体外に出る羊水の量は個人差があってまちまちですが、妊娠37週~41週の臨月の時期であればいつ起きてもおかしくありません。我が家の場合も、羊水は少なかったものの出産予定日より早く破水が起こり、産婦人科へ行ってすぐ入院→陣痛→分娩→出産という形になりました。
【反省】各方面への連絡の際にバタバタしてしまった
先に述べたとおり、我が家の場合は流れ出た羊水量が少なく、破水かどうか不明瞭だったそうです。「破水した場合は産婦人科へ」というのは通例ですが、子宮の収縮運動である陣痛が先ではないこのような場合、痛みがないので判断するのは難しいです。
幸いにも通院している産婦人科が自宅からすぐ近くにあるため直行したところ、順番待ちを飛び越して即診察。医師の判断で、その場で入院となりました。到着時に何ともなく冷静だった奥さんも徐々に痛みが出てくるようでしたが、様子見をせずに病院に直行するという判断をして本当によかったです。破水の瞬間に奥さんがたまたま義母と一緒にいたのも幸いしました。
ちなみに、入院決定後に義母へ連絡する際、私は直接的な連絡先がわからず診察の事後連絡を取るまで時間がかかり、身近な人の連絡先を把握しておく必要があると痛感しました。さらに苦労したのは、出産自体が予定日より2週間近く早まり、出産に立ち会うために仕事関係であちこちへ急な連絡が必要になったことです。後から振り返ってみると、フローを整えていない中での急な行動でしたが、連絡漏れがなかったことは幸運だったと思います。
【教訓】破水後の行動フローを決めておくべし
破水の状況は突然やってくるので、事前に行動フローを決めておく必要があります。
・どうやって病院へ行くのか
・一人で行くのか/誰がが付き添うのか
・入院に必要なものが準備されているか
・準備されているものは家のどこにあるのか
・どこに連絡するのか など
パパ目線で言うと「急に仕事を休む(早退する)場合になにをすべきか」も追加されるでしょう。自然分娩だと出産日を自分で選ぶことはできないわけですから、仕事の調整をすべて事前に行うのは難しいです。少なくとも「誰に何を相談すれば病院へすぐに駆けつけられるか」のフローは、確認しておく必要があります。
また、奥さんはすでに出産モードですで、義実家や親戚への連絡はパパが行う場合があります。実際に私がそうでした。手早く連絡ができるよう、事前のチェックは必須です。
そして、交通手段の確保も重要なミッションです。病院が遠くにあり車を呼ぶ必要がある場合は、タクシーの連絡先を調べておくことも必要だと感じました。容体に関わることですから、どこに連絡先をして、どこから来て、病院まではどれくらいの時間で到着するのかを把握しておかなければなりません。
ママの痛みに共感するには事前学習が必要!
陣痛は、先に述べたとおり、赤ちゃんをお腹の外に出すための子宮の収縮運動です。赤ちゃんが外に出てくる準備が整うと、陣痛が起こります。一般に一定の間隔、およそ10分以内に痛みがやってくるようになると分娩の開始時期とされています。その痛みはよく「鼻からスイカが出てくるほど」といったように表現され、耐えがたいとされます。
【反省】どれくらい痛いのか想像が難しかった
分娩室に入って直接産む瞬間よりも、入院してから分娩に至るまでのだんだん強くなってくる陣痛のほうが、本人にはつらそうでした。お産が終わった後に本人も「この陣痛だけはもう一度は耐えられないかもしれない」と語っています。確かに相当つらそうに見えましたが、パパとしての反省点はどれぐらい痛いのか想像が難しかったことです。
【教訓】陣痛の苦しみを共感するために事前に映像などを見ておくべし
つらそうな表情は見ていたものの、奥さんが感じている痛みのイメージの共有は、感覚の問題なので難しいです。そのような状況が何時間も続く(人によっては1日以上の人も)ので、奥さんが共感してくれない私にイライラして喧嘩になりそうになりました。確実に大変なのは奥さんのほうですで、共感してあげられないのが申し訳なかったです。今はYouTubeでそのような映像を発信されている方もいるので、事前に見ておけばよかったと思います。痛みのわからない旦那として認定されないように、皆さんは準備をしてあげてください。
食べられるときに食べておけ!ゆっくり食事をとる時間はない
最後は、ついに赤ちゃんが出てくる分娩です。陣痛を超え、奥さんの痛みも最高潮。この分娩も人によりますが、赤ちゃんが簡単に出てこないときもあります。パパの立ち位置は、基本的に奥さんの後頭部周辺位置になります。よって、私もそうでしたがおそらく分娩そのものを直接見ることはありません。そのため、あまりやることがないのが正直なところです。
パパのメインの仕事は「赤ちゃんを産んでくれる奥さんに感謝の心で寄り添うこと」で、サブでやることは「奥さんが時々喉を湿らせるための水分を持つドリンクホルダーになること」です。また、赤ちゃんが生まれる瞬間は血が結構出るので、耐性がない人は気を付けましょう。
【反省】食事のタイミングを逃してフラフラになってしまった
我が家の分娩の場合は血は割と平気でしたが、夜7時から3時間を超え、終了する頃には安心と空腹でフラフラでした。確かに奥さんも痛みで食べるどころではないですが、支える側が倒れてしまっては安心感を与えられません。こればかりは、想像力の欠如だったと思います。
【教訓】分娩前にできれば栄養補給をしておくべし
一旦分娩室に入って分娩の体制に入ると、終了するまではかなり時間がかかります。単純にママの調子を見ながら分娩を完了させるので時間がかかる場合もありますし、生まれてからも写真を撮ったり、体重を量ったり、病室に行ったりもします。つまり、生まれてすぐに終了にはならないということです。
もしあなたが立ち会い出産に臨む場合、可能なら分娩が始まる前に栄養を補給して、まずは憔悴するママの代わりにパパが万全の体制で我が子を迎えてあげることが必要です。さらにいえば、夜遅くに赤ちゃんが生まれることも珍しくありません。介抱や仕事、事務手続きなど翌日のことを考えて備えるためにも、パパ自身が適度に栄養補給を行っておく必要はあるはずです。
3つの教訓をもとに立ち合い出産に備えよう
ここまでの教訓をまとめておきます。
【教訓1】破水時の行動フローを準備しておくべし
【教訓2】陣痛の苦しみを共感するために事前に映像などを見ておくべし
【教訓3】分娩前にできれば栄養補給をしておくべし
以上3つが大切な点であるといえます。
お産を実際に行うのはママですが、命の現場ですのでパパだって不安です。経験がないならなおさらでしょう。大切な赤ちゃんを迎えることを自分事として考えられる優しいパパさんに、この3つの教訓が少しでも助けになれば幸いです。